2021.06.16 「少年と犬」


 久し振りの雨で、
かみさんは、
”野菜には、恵みの雨だ!”
と喜んでいた。



 が、私には、
外仕事が出来ない、邪魔な雨だ。

 そこで、
映画鑑賞と、読書をすることに。

 こう言う過ごし方も、
たまには良いだろうし。


 読んだのは、
・映画にもなった「不夜城」などで有名な
  「馳 星周」氏の、
・「少年と犬」で、
・第163回「直木賞」受賞、
・キャッチコピー(謳い文句)は、
 「犬を愛する全ての人に贈る感涙作」
と言う、名作である。



 しかし、
犬を愛する人たちから叱られそうだが、
犬好きで、犬にも好かれる私だが、
この作品は、嫌だった。

 何故かと言うと、
主人公の犬「多門」に関わった人が、
決して幸せには終わらず、
死んだり、人を殺したり、
するからである。

 見掛けに依らずロマンチックな私は、
そう言うのが苦手なのである。



 とは言っても、
最後は救いが待っているので、
概要だけは書き残す。


 と言うことで、
本を読んだつもりで、
読んでやってください。



 では、次のページで、どうぞ。
http://komox2.sakura.ne.jp/nou-doku/dokusyo/syonen-inu/syonen-inu.htm



2020.03.30 読書&映画三昧



 「〇〇三昧」と言う時は、
〇〇を、思いっ切り楽しんでいる場合に使う言葉だ。

 でも、今は、本来の「三昧」ではない。
 新型コロナウィルス感染が怖くて、仕方無く外に出ず、
読書と映画視聴で、一日を過ごしているからである。

 ただ、結果としては、
凄い量の本と映画を鑑賞で来ているのも、事実だ。



 ただ、
映画は、Amazonプライム映画を観るので、外出不要だが、
読書は、本を借りに図書館に行かなければならない。

 本を借りて、5分以内に図書館を出ているから、
「不要不急の外出」と言わないでね。


 最近は、「江戸川乱歩賞」受賞作品を読んでおり、
・第65回(2019年度) 「ノワールをまとう女」 神護かずみ
・第64回(2018年度) 「到達不能極」 斉藤詠一
・第63回(2017年度) 受賞作無し、
・第62回(2016年度) 「QJKJQ」 佐藤究
・第61回(2015年度) 「道徳の時間」 呉勝浩
・第60回(2014年度) 「闇に香る嘘」 下村敦史
・第59回(2013年度) 「襲名犯」 竹吉優輔
・第58回(2012年度) 「カラマーゾフの兄妹」 高野史緒
・第57回(2011年度) 「よろずのことに気をつけよ」 川瀬七緒
・第56回(2010年度) 「再会」 横関大
・第55回(2009年度) 「プリズン・トリック」 遠藤武文
・第54回(2008年度) 「誘拐児」 翔田寛、
を、ランダムに借りて、読みまくっている。


 ところで、今日は、ちょっと恥ずかしい勘違いが有った。

 と言うのも、
・第60回(2014年度)大賞受賞作品の、
・「下村敦史」作、
・「闇に香る嘘」、
を借りる時、本棚に、
「闇に香る嘘」の「下」を見付けたが、
「上」が見付からなかったので、
図書館職員さんに、
”「下」は有るけど、「上」は出ているのかな?”
と尋ねた。


 すると、
コンピュータで、貸し出し状況確認をしてから、
申し訳なさそうな顔で、私に、
”済みません。
 この本の「下」は、作者の名字の「下村」の「下」で、
 残りの「村敦史」がラベルで隠れているんです。”
と言うではないか。


 本当だ。
 恥ずかしい。
 特に、図書館職員さんが素敵な人だったので、
余計に恥ずかしかったわ。(汗)



 さあ、恥ずかしさを払拭するためにも、
頑張って、借りた本を読もうっと。




2020.03.04 「QJKJQ」

 終日、雨だし、
新型コロナウイルスの感染拡大の中、
不要不急の外出は避けたいし。


 と言うことで、
・第62回「江戸川乱歩」賞受賞の、
・佐藤究(さとうきわむ)作、
・QJKJQ、
を、半日と言う高速で読み切った。


 とんでもない設定の、ミステリー小説だった。

 こんな本をいっぱい読んでいるので、
私の脳も異常を好むようになって来ているように
思える。


 まあ、殺人を犯すようにまではならないだろうけどね。


 と言うことで、簡単な粗筋とネタバレを作ったので、
次のページ(URL)で読んでやってください。
http://komox2.sakura.ne.jp/nou-doku/dokusyo/QJKJQ/QJKJQ.htm


2020.01.21 「記憶屋」エピソード4、終わりに

 今日は、終日、雨が降っていた。
 外に出る気力も湧かないほど、降っていた。


 となると、
小説「記憶屋」の粗筋とネタバレを完成させるには、
ピッタリの日だ。


 そんなわけで、何とか完成させることが出来た。
 いつまでも引き摺りたくないので、良かった。
 やれやれである。


 それにしても、切ない物語であった。
 見掛けに依らないロマンチストの私は、
「真希」に、感情移入してしまい、
ちょっと引き摺り気味である。

 でも、嫌いな小説ではない。
 と言うよりも、好きな小説であり、
私の心の読書歴に、残り続けそうだ。



 そんなわけで、エピソード4(最終章)は、次のページ(URL)で。
http://komox2.sakura.ne.jp/nou-doku/dokusyo/kioku-ya/04/kiokuya-04-fra.htm

 私の作品への感想や思い入れは、次のページ(URL)で。
http://komox2.sakura.ne.jp/nou-doku/dokusyo/kioku-ya/05/kiokuya-05-fra.htm

 全体を纏めたフレームページは、次のページ(URL)で。
http://komox2.sakura.ne.jp/nou-doku/dokusyo/kioku-ya/kiokuya-fra.htm


2020.01.20 「記憶屋」エピソード3

 今日は、小説「記憶屋」の粗筋とネタバレを完成させるつもりだった。

 ところが、今日は、かみさんの母親の命日と言うことで、
かみさんが、実家に、お墓参りに行くと言う。


 そして、
”貴方も、一緒に来てください。
 久し振りに、兄貴と会って話すのも良いでしょうし、
 買い物とかも付き合ってほしいし。”
と仰る。
 となると、断るわけにはいきませんがな。


 そんなわけで、朝9時からほぼ一日、
かみさんのアッシー君をさせていただき、
粗筋とネタバレを書く時間も無かったわけだ。


 でも、何とか、エピソード3だけは纏めたので、
アップします。


 と言うことで、エピソード3は、次のページ(URL)で。
http://komox2.sakura.ne.jp/nou-doku/dokusyo/kioku-ya/03/kiokuya-03-fra.htm

 全体のフレーム記述は、次のページ(URL)でどうぞ。
http://komox2.sakura.ne.jp/nou-doku/dokusyo/kioku-ya/kiokuya-fra.htm


2020.01.19 「記憶屋」ネタバレのフレーム化

 昨日からアップし始めた小説「記憶屋」の粗筋とネタバレを、
フレーム化したので、読んでください。


 なお、フレーム化するのは、追加記述し易いと言う、
私の事情からです。


 では、エピソード2は、次のページ(URL)で、
http://komox2.sakura.ne.jp/nou-doku/dokusyo/kioku-ya/02/kiokuya-02-fra.htm

 全体のフレームは、次のページ(URL)でどうぞ。
http://komox2.sakura.ne.jp/nou-doku/dokusyo/kioku-ya/kiokuya-fra.htm


2020.01.18 「記憶屋」

 今、
・ミステリー作家「織守(おりがみ)きょうや」氏の著書、
・「記憶屋」を原作にした、
・映画「記憶屋 あなたを忘れない」、
が公開されている。


 この映画は、
・ミステリーだけどロマンチックだし、
・「山田涼介」や「蓮佛美沙子」が出ているので、
観てみたいと思っている。


 と言うのも、「山田涼介」は、
・26歳で、
・「Hey! Say! JUMP(セイセイジャンプ)」
 と言うアイドルグループの一員だが、
・俳優としても優れた実績を重ねており、
   2008ドラマ・オブ・ザ・イヤー最優秀新人男優賞、
   第39回日本アカデミー賞新人俳優賞、
   第25回日本映画批評家大賞新人男優賞、
   第91回キネマ旬報新人男優賞、
 を受賞。
と言うマルチなタレントだ。

 私が印象強かったのは、
「ナミヤ雑貨店の奇蹟」での好演で、
男性アイドルには興味の無かった私だが、
かなり好きになってしまったものだ。

 また、「蓮佛美沙子」は、
・多部未華子と三浦春馬が主演の
 「君に届け」で、
・多部未華子が演じる「黒沼爽子」を助ける
 友人「吉田千鶴」を演じたのだが、
・足長のスタイル抜群で凄く格好良かったので、
すっかり気に入ってしまった女優だ。


 で、私が、
”人を愛することの切なさを描く小説が原作だけど、
 良い映画になっているみたいだし、観に行きたい。”
と言ったら、かみさんは、
”そんな切ない映画は観たくない。
 思いっ切り笑える映画を観たい。”
と言うので、私一人で観に行くかもね。



 さて、肝心のミステリー小説「記憶屋」に付いて、
書いて行きたい。

 但し、長文をここで書くのは大変なので、
別ページで書いていきたい。


 と言うことで、次のページ(URL)でどうぞ。
http://komox2.sakura.ne.jp/nou-doku/dokusyo/kioku-ya/kioku-ya.htm


2019.10.28 「最後の証人」

 私、
・「臨床心理」で「このミステリーがすごい大賞」を受賞し、
・「孤狼の血」で「日本推理作家協会賞」を受賞、
 この作品が映画化され、数々の映画賞を受賞、
などで有名な、「柚木裕子」さんの作品が好きで、
・検事の本懐、
・検事の死命、
・孤狼の血、
・狂犬の眼、
など、何作品も読んで来た。


 しかし、「盤上の向日葵」を読んで、
あまりにも人の善意が報われない内容に、
筆者の「柚木裕子」が、大嫌いになり、
”この女の書く小説は、二度と読まない。”
と決意し、そのことを、図書館の女性職員にも伝え、
”でも、この作者の小説は面白いですから、
 そんなことを言わずに、読んでください。”
と諭されたことが有った。


 女性に弱い私なので、その言葉に負けたわけじゃないし、
「柚木裕子」さんの小説が、やっぱり面白いこともあって、
昔の作品に遡りながら、
・元検事「佐方貞人」が弁護士として活躍する、
・「最後の証人」と言う作品、
を読み直してみることにした。


 ああ、やっぱり心を打たれる作品だわ。

 この作品が大好評で、
”佐方貞人を主人公にした作品を、もっと読みたい。”
との読者の熱烈な要望で、
・検事の本懐、
・検事の死命、
シリーズが生まれた原点の作品だから、面白いわけだ。


 そんなわけで、今回も粗筋とネタバレを書くことに。
 そう思ったのは、
・良い作品なので、書いてみたいと言う純粋な欲望、
・粗筋とネタバレを書いてから一ヶ月経っているので、
 文章力と記憶力、構成力を錆び付かせないため、
からである。

 と言うことで、次のページ(URL)でどうぞ。
http://komox2.sakura.ne.jp/nou-doku/dokusyo/saigo-syounin/saigo-syounin-20191028.htm


2019.09.29 「恵比寿屋喜兵衛手控え」完成

 見出しの小説の、粗筋とネタバレを、完成させました。

 フレームページは、次のページ(URL)でどうぞ。
http://komox2.sakura.ne.jp/nou-doku/dokusyo/ebisuya-kihei/ebisuya-fra.htm

 また、フレームではなく、1枚のぶっ通しページで纏めたのは、
長たらしいけど、次のページ(URL)でどうぞ。
http://komox2.sakura.ne.jp/nou-doku/dokusyo/ebisuya-kihei/ebisuya-matome.htm


2019.09.29 「恵比寿屋喜兵衛手控え」追加

 見出しの小説の、粗筋とネタバレを、
フレームページで作り直しました。

 まだ、未完成ですが、宜しければ読んでください。
http://komox2.sakura.ne.jp/nou-doku/dokusyo/ebisuya-kihei/ebisuya-fra.htm

 また、フレームではなく、1枚のページで纏めたのは、
長たらしいけど、次のページ(URL)でどうぞ。
http://komox2.sakura.ne.jp/nou-doku/dokusyo/ebisuya-kihei/ebisuya-matome.htm


2019.09.28 「恵比寿屋喜兵衛手控え」

 「佐藤雅美(さとうまさよし)」と言う、
時代劇を中心に、数多くのシリーズ物を出している
男性作家がおられた。


 そう。
「おられた。」
と言う過去形なのは、亡くなられたからである。
 今年の7月29日に、78歳で亡くなられたのである。


 佐藤雅美氏は、
直木賞を受賞されたことも有る、力を持った作家だが、
特に、江戸時代の「訴訟」「奉行所」「与力・同心」等の知識が深く、
私は、この作家の作品で、江戸時代の警察組織や裁判制度に付いて、
随分と知識を得させてもらったものだ。


 その作品の中でも、「物書同心居眠り紋蔵」は大好きで、
シリーズの15巻を全部読み通したほどだし、
他のシリーズ物も、殆ど読んでいるほどのファンである。
 だから、亡くなられて、新作が発表されないのは、寂しい。


 さて、見出しの作品は、一度読んでいるのだが、
亡くなられたと聞いて、もう一度読みたくなったのである。

 なお、佐藤雅美氏は、この「恵比寿屋喜兵衛手控え」で、
1994年に第110回直木賞を受賞されたのだが、
「直木賞」を受賞しただけあって、
先の見えない筋立てが読書欲を刺激し、
眠い目を擦りながら、深夜まで読み続けた。

 とても面白いミステリー小説なので、
皆さんにもお勧めします。



 その内容だが、簡単に書いておく。
http://komox2.sakura.ne.jp/nou-doku/dokusyo/ebisuya-kihei/ebisuya-20190928.htm


2019.08.24 「再会」粗筋追加

・第56回2010年度「江戸川乱歩賞」受賞の、
・横関 大(よこぜき だい)氏 作、
・「再会」
の粗筋に、追加をしました。


 良ければ、次のページ(URL)で読んでください。
http://komox2.sakura.ne.jp/nou-doku/dokusyo/saikai/saikai-fra.htm


2019.08.23 「再会」

 お盆が終わったら、ビックリするくらい天候が変化した。

 お盆の最中は、晴れや曇りの日が続き、暑くて暑くて、
六日間も泊まった孫たちは、エアコンを掛け捲りだったのに、
お盆が過ぎた途端、秋雨前線の所為か、毎日、雨が降る。

 早稲(わせ)の稲刈りが始まったのに、天候不順で、
皆さん、苦労をされている。
 ご苦労様だ。


 それに反して、田んぼは持っているけど、委託してる私は、
雨が降らなきゃ、草刈りか家周りの管理などの作業しかないが、
雨が降れば、それも出来ない。

 結果、雨の日は、
・インターネットなどを楽しむか、
・読書をするか、
などに限定される。


 と言うことで、今日の午前中は、
・第56回2010年度「江戸川乱歩賞」受賞の、
・横関 大(よこぜき だい)氏 作、
・「再会」
を、一気に読み終えた。


 最後まで、
”殺害犯人は誰なのか?”
分からない進め方は、上等だ。

 だから、読み始めたら、早く結末を知りたくて、
午前中で最後まで読み切ったと言うわけだ。


 ただ、この小説、
”そんなに都合良く物事を運ばせるなよ。
 いくら小説でも、やり過ぎなんじゃないの?”
と思わせる設定も有った。
 まあ、仕方が無いけどね。



 それはさておき、大まかな粗筋を紹介するので、読んでください。
 では、次のページ(URL)でどうぞ。
http://komox2.sakura.ne.jp/nou-doku/dokusyo/saikai/saikai-01.htm


2019.08.20 「盤上のアルファ(α)」 完結

 2010年に、第5回「小説現代長編新人賞」を受賞した、
・塩田武士氏の、
・「盤上のアルファ」、
の粗筋とネタバレを書き始めて、ほぼ二週間。


 こんなに長くなったのは、
・色々とやらなければならないことが有ったし、
・孫たちも来たりして、
・間が空くと、気力もヘタレるし、
などが重なり、粗筋とネタバレを書きたくても書けず、
どんどん日が過ぎ、今日になった。


 しかし、天候が不順で外での仕事が出来ないので、
一気に完成させた。

 「盤上の向日葵」と違って、
終わり方がハッピーエンドなので、
読み終わっても、嫌な物が残らない。
 良かった。


 結構な大作になったし、
将棋がらみのついでに、藤井聡太君の活躍も、
パクって纏めてみた。


 そんなわけで、一冊本を超速読で読むつもりで、
読んでみてください。


 では、次のページ(URL)でどうぞ。
http://komox2.sakura.ne.jp/nou-doku/dokusyo/banzyo-a/banzyo-a-fra.htm


2019.08.10 「盤上のアルファ(α)」 真田信繁の事情

「盤上のアルファ」の粗筋ネタバレ
に、「真田信繁の事情」を追加しました。


 次のページ(URL)で読んでください。
http://komox2.sakura.ne.jp/nou-doku/dokusyo/banzyo-a/banzyo-a-fra.htm


2019.08.09 「盤上のアルファ(α)」 秋葉隼介の事情

 昨日から書き始めた
「盤上のアルファ」の粗筋ネタバレ
に、「秋葉隼介の事情」を追加しました。


 次のページ(URL)で読んでください。
http://komox2.sakura.ne.jp/nou-doku/dokusyo/banzyo-a/banzyo-a-fra.htm


2019.08.08 「盤上のアルファ(α)」

 私、将棋が好きなわけではない。
 将棋も、駒の動かし方は知っているけど、とても弱い。
 まだ、囲碁の方が、ましかも知れない。


 そんな私が、二作続けて、将棋物の小説を読むことになった。

 一作目は、
・「柚木 裕子」の、
・「盤上の向日葵」で、
二作目の今回は、
・「塩田 武士」の、
・「盤上のアルファ」
である。


 この2つの小説には、
・少年時代が、
  母親を失い、
  父親がギャンブル依存症、
 で不遇。
・真剣師(賭け将棋師)が、
 主人公に大きく関わる。
・一度は将棋の道を諦めたが、
 再び、プロ棋士に挑戦する。
などの共通点が有る。

 なお、
・「盤上のアルファ」は、
  2010年に、
  第5回「小説現代長編新人賞」を受賞。
・「盤上の向日葵」は、
  2018年に、
  2018年「本屋大賞」2位を受賞。
なので、「盤上のアルファ」が先輩だ。

 だから、
「柚木裕子が、設定をパクった?」
と、チラッと思ってしまった。
 私、「柚木裕子」には厳しいからね。


 さて、「盤上のアルファ」の粗筋ネタバレだが、
続くかどうか分からないけど、書き始めてみようかと思う。

 と言うことで、次のページ(URL)でどうぞ。
http://komox2.sakura.ne.jp/nou-doku/dokusyo/banzyo-a/banzyo-a-fra.htm


2019.07.29 図書館のお姉さん

 「盤上の向日葵」の粗筋とネタバレを書き終えたので、
本を、図書館に返しに行った。

 本を借りるのは、ほぼ100%、その図書館だ。


 で、「盤上の向日葵」をカウンターに持って行ったら、
図書館の職員さんが、
「私も読みましたけど、
 この盤上の向日葵、良かったですよね。」
と声を掛けて来た。

 多分、結婚されていると思うが、笑顔の素敵な女性である。


 それに対して、嫌われたくないので同調すべきだが、
私の考えは貫き通したかったので、
「私、見掛けどおりのジジイだけど、ロマンチストで、
 ハッピーエンドか、未来が見える終わり方でないと、
 嫌なんですよ。

 それなのに、この小説は、
  ・主人公上条桂介を育ててくれ、名駒まで贈った
   唐沢光一郎の善意が、
  ・最終的に、桂介を死なせることになった。
 など、あまりにも設定が酷過ぎる。」
「もう、柚木裕子の小説は読まない。」
と反論してしまった。

 すると、その女性職員さんは、笑顔で、
「そんなことを言わずに、これからも読んでください。」
と言っていた。


 その後、私が、
「感動したり気に入ったりした小説や映画は、
 粗筋とネタバレを書いて、
 ホームページやブログにアップしている。」
などと伝え、スマートフォンでホームページを見せたら、
彼女も興味を持ってくれ、感心してくれた。
 嬉しい。


 そして、私が読んだお勧めの本を聞いて来たので、
・第17回 「このミステリーがすごい大賞」で、
 見事に大賞を受賞した、
・倉井眉介さんの、
・「怪物の木こり」、
を勧めておいた。

 読んでくれたかな?


2019.07.28 「盤上の向日葵」ネタバレ完成

 やっとこさ、気力を振り絞り、
「盤上の向日葵」の粗筋とネタバレを完成させた。


 こんな悲しい終わり方の小説の、
粗筋とネタバレを書き始めるじゃなかった。
 もう二度と、この小説には関わりたくない。
 と思いながら。


 とは言っても、それなりの労力を払って書き上げたので、
宜しければ、読んでやってください。


 では、次のページ(URL)でどうぞ。
http://komox2.sakura.ne.jp/nou-doku/dokusyo/banzyo-himawari/banzyo-himawari-fra.htm


2019.07.27 「盤上の向日葵」まとめ

 7月19日から書き始めた
・「柚木裕子」の、
・「盤上の向日葵」のネタバレ、
が、まだ完結していない。


 と言うのも、
・「盤上の向日葵」は、
・2018年の「本屋大賞」2位に選ばれた
人気の作品だけど、私は、
「こんな本、読まなきゃ良かった。」
と思わされてしまったからである。


 勿論、書店の店員さん自身が読んで、
「この本は、是非とも読んでほしい」
と思い、投票して選ばれるのが「本屋大賞」なので、
その2位に選ばれたと言うことは、
・面白い、
・読みごたえがある、
・作品的にも優れている、
ことに間違いはないだろう。


 だが、あくまでも私(交々)の個人的で我儘な感想だが、
「小説としては立派な作品なのかも知れないが、
 何で、ここまで主人公を陥れなきゃならないんや?」
「読み終わって、
 何でこんなに虚しい気持ちにならなきゃならないんだ?」
と思ってしまった。


 そして、
「この「柚木裕子」って言う女性の小説家、
 どんな性格をしているんや!」
「今後、絶対に、柚木裕子の小説は読まん!」
と思うほど、拒否してしまった。


 そんなわけで、嫌だけど、中途半端だけど、
「盤上の向日葵」のまとめだけはしておこうと思うので、
次のページ(URL)で読んでください。
 読んでもらわなくても良いですけど。

 先ずは、「上条桂介」の悲しい人生です。
http://komox2.sakura.ne.jp/nou-doku/dokusyo/banzyo-himawari/banzyo-himawari-02.htm

 粗筋とネタバレのフレームは、次のページです。
http://komox2.sakura.ne.jp/nou-doku/dokusyo/banzyo-himawari/banzyo-himawari-fra.htm


2019.07.19 「盤上(ばんじょう)の向日葵(ひまわり)」

 今、
・柚月裕子(ゆずき ゆうこ)さんの、
・「盤上の向日葵」、
と言う、小説を読んでいて、読み終わった。


 因みに、「柚木裕子」さんは、
・2019年現在で51歳の主婦でもあり、
・2008年に、「臨床真理」で、第7回「このミステリーがすごい」大賞。
・2013年に、「検事の本懐」で、第15回大藪春彦賞。
・2016年に、「孤狼の血」で、第69回日本推理作家協会賞。
・2018年に、「盤上の向日葵」で、2018年「本屋大賞」2位。
と言う受賞歴を誇る、実力と人気を持つ作家である。

 また、「孤狼の血」は、映画化され、
・第42回日本アカデミー賞で、
  優秀作品賞
  優秀監督賞(白石和彌監督)
  最優秀主演男優賞(役所広司)
  最優秀助演男優賞(松坂桃李)
  優秀助演女優賞(真木よう子)
 など、優秀賞を12部門で受賞。
・その他の多くの映画賞で受賞。
し、原作者として、名前を挙げた作家である。

 なお、「柚木裕子」さんは、女性だけど、
「仁義なき戦い」などのヤクザ映画が大好きだし、
書く小説も、ヤクザ物や刑事物が多いと言う、
過激な?人である。(笑)


 ところで、私、以前も書いたが、
素晴らしい小説や映画に出会ったら、
その粗筋とネタバレをを書いて来た。

 かなりの時間と手間が掛かる作業を、
何で続けるかと言うと、
1)私側の理由としては、
  ・文章能力や読解力の維持、
  ・集中力や持続力の維持、
  ・自己満足感の達成、
 などを得ていると思っている。
2)作品側では、
  ・こんな素晴らしい作品が有ると、知らせたい。
  ・素晴らしい作品を忘れたくない。
  ・後で読み返して、楽しみたい。
などの理由である。

 そんなわけで、ちっとも苦痛ではない。


 さて、「盤上の向日葵」だが、
この小説を読み進めて半分ほど読んだ時点で、
今回も、「粗筋とネタバレ」を書くつもりでいた。

 と言うのも、
・IQ140と言う頭脳を持ちながら、
 母を亡くし、酒浸りの父親と暮らし、
・貧しさの為、新聞配達をする小学3年生の男の子が、
 どのように育って行くのか、
期待を持って読み進めていたのである。


 しかし、この終わり方は嫌だ。
 主人公は、自分なりのけじめを着けたのだろうが、
悲し過ぎる。

 私は、ジジイだけど、かなりのロマンチストで、
小説でも映画でも、ハッピーエンドが大好きだし、
仮にハッピーエンドではなくても、
先が見える、未来を志向する終わり方にしてほしいのに、
この小説の終わり方は、私も予想してたけど、
やっぱり嫌だ。
 心に嫌な物が残る。


 だから、「粗筋とネタバレ」の準備をしてたのに、
書き続ける気力が無くなってしまった。
 ああ、どうしよう?


 まあ、最後まで書き通すか分からないが、
折角ある程度まで書いたので、読んでください。


 では、次のページ(URL)でどうぞ。
http://komox2.sakura.ne.jp/nou-doku/dokusyo/banzyo-himawari/banzyo-himawari-fra.htm


2019.07.12 「かわたれ時」

 今、
・畠中 恵さん著、
・「かわたれ時」、
を読んでいる。

 「畠中 恵」さんは、
・「しゃばけ」と言う、
 江戸時代の大店(おおだな=大商人)の若旦那を主人公にした
 妖怪物シリーズで、
・第13回日本ファンタジーノベル大賞優秀賞を受賞した、
人気作家である。


 その「畠中 恵」さんの、
・江戸の町の、
 町役人を務める「麻之助」を主人公にした、
・「まんまこと」シリーズの7作目、
 「かわたれ時」、
を読んでいるのである。


 とは言っても、今回は粗筋やネタバレを書くのではない。

 作者に失礼かも知れないし、逆に作者も同じ思いかもしれないが、
この小説は感銘や感動を受ける作品ではなく、
単純にストーリーを楽しむ小説であると思っている私だ。


 では、何に付いて書くかと言うと、
題名に付いて書くのである。

 と言うのも、
”「かわたれ時」とは、どんな時なのか?”
を書きたいのである。



<かわ(かは)>

 先ず、「かわ(かは)」に付いて。

 勿論、「川」や「皮」などではない。

 では、何かと言うと、
「彼は=かは」
なのである。

 「彼」は、
・明治時代までは、
 男女を問わず、離れた所に居る人を指す時は、
「か」と言う発音で使われたので、
「かは」=「あの人」
と言う意味になるようである。

<たれ>

 皆さんはどうか知らないが、私の周りでは、
「たれ」と言う接尾語?は、
あまり良い方向では使われない。

 例えば、
・鼻たれ、
・ウンコたれ、
・馬鹿たれ、
などなどで、悪いことを強調するように使われる。。

 でも、この場合の「たれ」は、
「誰=たれ=だれ」
の意味で、
昔は、「だれ」ではなくて、「たれ」と発音していたのである。

<結論>

 「かはたれ」は、
「かは、たれ?」=「彼は、誰?」
と言う意味で、
”良く見えないが、あの人は、誰だろう?”
と、分からない状況を表しているのである。


 以上を受けて、「時」が付いて「かわたれ時」になると、
・まだ十分に夜が明けず暗いので、
・ちょっと離れた所に居る人が誰か分からない、
時間、と言うことになるのである。


 と言うことで、使われるのは、朝方である。

 夕方の場合は、「黄昏時(たそがれどき)」と言う。



 以上、参考にしてください。


2019.07.09 「かがみの孤城」 最終

 私、感動した小説や映画の、
粗筋とネタバレを書いてアップして来た。


 何でそんなことをするのかと聞かれたことも有るが、
1)感動を忘れないよう、書き残したい。
2)みなさんに、作品の素晴らしさを伝えたい。
3)私の、記憶力や読解力、文章力を、
 いつまでも保ちたい。
などの理由からである。


 そんなわけで、今回も、凄く感動した、
・2018年「本屋大賞」1位に輝いた、
・辻村深月さん著、
・「かがみの孤城」、
の粗筋とネタバレを書き始めた。


 しかし、色々と忙しく、なかなか先に進まなかった。

 が、今日は、物凄い雨が降るし、体調不良のことも有り、
外に出られないので、このまとめをすることにし、
何とか、最後まで書き終えることが出来た。


 我ながら大作ですので、是非、読んでください。
 最初から読んでいただくと、1冊、本を読んだのと
同じほどの感覚を持っていただけるかも知れません。


 忙しい人は、
・喰われたみんな、
・救う、
・オオカミさま、
・エピローグ、
だけでも読んでください。


 では、全体を読めるフレームページは、
次のページ(URL)でどうぞ。
http://komox2.sakura.ne.jp/nou-doku/dokusyo/kagami-kozyo/kagami-kozyo-fra.htm


2019.06.21 「かがみの孤城」 追加

 昨日からアップしている、
・「辻村深月」作、
・2018「本屋大賞」1位、
・「かがみの孤城」、
の粗筋とネタバレの追加、「みんなの進路」をアップしたので、
読んでください。


 後は、時間が確保出来たら、追加アップします。

 では、次のページ(URL)でどうぞ。
http://komox2.sakura.ne.jp/nou-doku/dokusyo/kagami-kozyo/kagami-kozyo-fra.htm


2019.06.21 「かがみの孤城」

 日本全国の本屋の店員さんが、
自分が読んで、是非とも読者に勧めたいと思った作品を、
投票でランキングした「本屋大賞」と言う、文学賞が有る。


 その「本屋大賞」の2018年度「大賞(1位)」に選ばれたのが、
・「辻村深月」さん39歳の書いた、
・「かがみの孤城(こじょう)」と言う、
・ファンタジー作品、
である。


 それを読み出したのだが、2/3までは、
「読み出したのだから、最後まで読まなきゃ。」
と、半分義務のような気持で読んでいた。


 ところが、どんどんこの物語の終わりが気になって、
「明日、しんどくて倒れても良いわ。」
「心臓まひなどで死んでも良いわ。」
などと言う気持ちになって、
とうとう、午前2時まで掛かって読み切ってしまった。


 結果、
「こんなに美しい終わり方が有るんだ。
 最後まで読んで良かった。」
と感動したものだ。


 しかし、困ったことが。
 と言うのも、あまりにも真剣に読んでたので、
読み終わっても、神経が高ぶって寝られない。

 タブレットで時間を確認したら、午前3時15分だった。
 ちょっと焦ったね。

 その内、寝入ってしまったのか、目覚めたら午前6時10分。
 3時間ほどしか寝てない。
 で、
「今日は、重労働の作業は控えよう。」
と思った私だ。


 でも、この本は、本当に素晴らしいです。
 美しいです。
 読書が好きなら、何か本を読みたいなら、
絶対に、読む価値が有ります。


 「辻村深月」さんの作品は、今までも、
・「ツナグ」:第32回吉川英治文学新人賞受賞、
・「鍵のない夢を見る」:第147回直木三十五賞受賞、
などを読んで来たが、ますます、この作者が好きになった。


 と言うことで、
「気に入った小説や映画は、粗筋やネタバレを残したい。」
私なので、いつものように、書いていきます。


 なお、これまたいつものように、これからこの本を読みたい人は、
自己責任でお願いします。

 では、次のページ(URL)でどうぞ。
http://komox2.sakura.ne.jp/nou-doku/dokusyo/kagami-kozyo/kagami-kozyo-fra.htm


2019.05.27 「名画で学ぶ主婦業」

 主婦は、
・ハウスキーピング(家事・家政)、
・子育て、
・夫の世話、
・舅姑との付き合い、介護、
・近所付き合い、町内会付き合い、
・学校やPTA関係、
・場合によっては共働きの仕事、
などなど、疲れとストレスが溜まりまくっているそうな。
 ご苦労様です。
 お察し致します。


 ただ、かみさんには言えないけど、そのストレスが溜まってイラついている奥様に、気を使いまくっている夫の方も、なかなか大変なんだけど。

 さて、本題だが、日々、大変な思いをしてしている奥様方の気持ちを、有名画家が描いた名画に例えてパロディ化させた本が、ちょっと話題になっており、テレビでそのニュースを観て、直ぐに、インターネットで行き付けの図書館で予約し、借りることが出来た。

 なお、この本は、
・著者:「田中久美子」氏
・著書:「名画で学ぶ主婦業」
・内容:歴史に残る名画の解説をしながら、
     主婦の気持ちを被せて表現し、
     主婦業の大変さを訴えている。
ものである。


 その中に載っていた作品と主婦の気持ちを紹介する。
 著作権に引っ掛かる可能性が有るので、ちょっと気が引けるが、ご免なさいね。


 では、次のページ(URL)でどうぞ。
http://komox2.sakura.ne.jp/nou-doku/dokusyo/meiga-syuhugyo/meiga-syuhugyo-20190527.htm


2019.03.22 「怪物の木こり」ネタバレ完成

 「怪物の木こり」のネタバレを完成させたので、読んでください。

 私は、感銘を受けた小説は、時間と労力を掛けても紹介文を作りたくなる。
 人から見れば、
「そんなことをする必要が有るのか?」
と思われるかも知れないが。


 私は、こんな紹介文を書くことによって、
・文章能力や読解力の維持、
・集中力や持続力の向上、
・自己満足感の達成、
などを得ていると思っているので、ちっとも苦痛ではない。


 ところで、今回の「怪物の木こり」だが、第四部「脳泥棒殺人」に書いた、殺人犯人の動機を纏めている内に、涙が溢れて来た。
 高が作り話で、読んだ人は、
「何を大袈裟な。」
と思う人が居るかも知れないが、私は泣けた。
 だから、今回は、このネタバレを書いていても満足感が大きかった。


 そんなわけで、次のページ(URL)で、第四部「脳泥棒の犯人」を、読んでください。
http://komox2.sakura.ne.jp/nou-doku/dokusyo/kaibutu-kikori/kaibutu-kikori-sono4.htm

 また、第五部「その後」も読んでください。
http://komox2.sakura.ne.jp/nou-doku/dokusyo/kaibutu-kikori/kaibutu-kikori-sono5.htm

 そして、全体のフレームページは、次のページ(URL)でどうぞ。
http://komox2.sakura.ne.jp/nou-doku/dokusyo/kaibutu-kikori/kaibutu-kikori-fra.htm


2019.03.21 「怪物の木こり」続き

 「怪物の木こり」の粗筋とネタバレの続編を作りました。

 長くなったので、フレームページを作り、私自身も書き易く、また読み易くしてみました。


 では、第三部「脳チップ」を、次のページ(URL)でどうぞ。
http://komox2.sakura.ne.jp/nou-doku/dokusyo/kaibutu-kikori/kaibutu-kikori-sono3.htm

 また、全体を読めるフレームページは、次のページ(URL)でどうぞ。
http://komox2.sakura.ne.jp/nou-doku/dokusyo/kaibutu-kikori/kaibutu-kikori-fra.htm


2019.03.19 「怪物の木こり」

 久し振りの読書報告だ。

 と言っても、本を読んでなかったわけではない。
 報告を書きたい気持ちになる本に出会わなかったからだ。


 で、今回は、
・第17回 「このミステリーがすごい大賞」で、
 見事に大賞を受賞した、
・倉井眉介さんの、
・「怪物の木こり」、
を紹介する。


 なお、作者の意図や構成を無視して、分かり易く書いているので、これからこの本を読もうとする人は、自己責任でお願いします。

 では、いつものように、次のページ(URL)でどうぞ。
http://komox2.sakura.ne.jp/nou-doku/dokusyo/kaibutu-kikori/190319-kaibutu-kikori.htm


2019.01.17 「川瀬巴水」木版画作品集



 かみさんは、「何でも鑑定団」と言うテレビ番組が好きだ。

 家に伝わる家宝や、のめり込んで大金を叩いて買った骨董品などを、鑑定のプロが鑑定し、値段を付ける番組だ。
 で、鑑定の結果、数千万円の値が付くことも有れば、1千円ほどで終わることも有り、出品者の歓喜や落胆の表情が面白い。


 かみさんがその番組を観たがるので、ついつい私も一緒に観ることが多い。
 で、先日の放送で、木版画作家の「川瀬巴水」の作品が鑑定されていて、その作品を観た時、あまりもの素晴らしさに、衝撃を受けてしまった。


 で、インターネットで作品集を探し、Amazonで見付けたので、迷わず買ってしまった。
 因みに、この作品集は、
・縦が30cm、横が21cmの大判本で、
・370点ほどの作品が収録されていて、
・3,240円、
と、私にとっては、超お得本だった。


 載っている作品も素晴らしいが、木版画が、どのように刷られていくのかを例示したページが有り、それに感心してしまった。

 と言うのも、多色刷りの木版画は、
・風景や人物の輪郭となる線を、黒色で刷り、
・その後、色毎に、何回か分けて刷って行くのだが、
・「葛飾北斎」の有名な「凱風快晴(赤富士)」は7色刷りなのに、
 「川瀬巴水」の作品は、平均30色刷り、
なのだそうで、1色ずつ重ねて刷られて行く、その過程の説明に、凄く感動してしまったのである。


 そんなわけで、この作品集は、本棚に入れずに、こたつの上に置き、折に触れて眺めている。
 何度観ても、感心してしまう、素晴らしい作品集である。

 皆さんも、作品集は買わなくても良いですけど、一度、インターネットで「川瀬巴水」を検索し、作品を観てみてください。
 感心すると思いますよ。



 さて、江戸時代に大きく成長した木版画は、「葛飾北斎」や「安藤広重」などの有名版画絵師が生まれ隆盛したが、明治時代に入り、西洋から金属印刷、写真などが伝わって来て、手間が掛かり、大量印刷が不向きな木版画は廃れて行く。

 しかし、木版画を復興させようとした「渡辺庄三郎」は、「川瀬巴水」を重用し、次々と素晴らしい作品を発表させ、木版画が、再び注目されるようになる。
 また、外国でも、日本独特の木版画は、芸術的にも高い評価を受けるようになる。

 これからも残して行きたい、日本の誇る芸術の1つである。
 皆さんも、忘れないでください。


2019.01.14 「大家さんと僕」

 お笑い芸人コンビ「カラテカ」のボケ担当である「矢部太郎」をご存じだろうか?
 あまり売れてないので、有名なテレビ番組には出て来ることが少ないので、知名度は低いと思う。

 加えて、
・身長は160cm弱、体重は40kgと小柄で、
・とても気が弱くオドオドしているし、
・緊張すると、おチンチンを掴むチックの持ち主で、
とてもじゃないが、メジャーな存在にはなれないだろう人物だ。


 しかし、この人は、
・学費が払えず東京芸術大学を中退したけど、
・気象予報士の資格を持っているし、
・テレビ番組の企画が切っ掛けではあるが、
 5か国語を習得しているし、
・テレビの雑学大会で優勝したりもしている、
本当はかなりの才能の持ち主である。


 ただ、あまりにも気が弱く、自分を上手に表現出来ない所為で、お笑い芸人としては上に行けない人である。
 もっと別の人生を生きた方が良かったかもね?


 人物紹介は程々にして、本題に。

 この「矢部太郎」氏が描いた、
「大家さんと僕」
と言う、
「第22回手塚治虫文化賞短編賞」
を受賞した漫画が有る。


 以前から読みたかったが、行き付けの図書館でも人気が有って、なかなか順番が廻って来ず、今になった。
 なお、昔は何百冊も本を持ってたけど、私の家が日当たりの悪い所に建ってるので、全部の本がカビだらけになってしまい、それ以来、本は買わずに、図書館で借りることにしているので、こうなるのである。


 で、この「大家さんと僕」を読んで、本当に心が癒された。
 普段は漫画を読まないかみさんも、
「読み始めると、癖になって止められない。」
と、読み切ってしまった。

 正直者で繊細で優しい「矢部太郎」氏と、上品でお金持ちでゆったりと生きている大家さんが、間借り人と大家さんの関係を超え、人間同士の、家族のような関係を持つようになって、お互いが助け合い癒し合う生活をするようになった過程が、ほのぼのとしたエピソードで綴られている。


 こんな上品でお金持ちの大家さんに、「矢部太郎」氏のような良い人が関わることになって良かったよね。
 金持ち老人を食い物にする悪徳業者がいっぱい居るのに、よくぞまあ無事に今まで生きて来られたものと、他人事ながら感謝している私だ。


 それはさておき、ほのぼのとして、癒されて、笑わせてくれて、人間を信じることの良さを感じさせてくれる、読み易い、本当に素晴らしい漫画です。
 是非ともお勧めします。


2018.12.01 「オーパーツ 死を招く至宝」

 前にも書いたが、数ある文学賞の中に、「このミステリーがすごい大賞」と言うものが有る。

 この文学賞は、
・「宝島社」が主催し、
・大賞作品には、1,200万円、
 優秀賞作品には、200万円、
・「賞をとれなくても作品にしたい」と言う「隠し玉」の宝島社賞、
が与えられる。
 受賞作品の中には、映画化された物も多い。

 その「このミステリーがすごい大賞」の、第16回(2017年)大賞を受賞した、
・蒼井 碧(あおい ぺき)著作、
・十三髑髏の謎、
を読んだ。


 なお、「蒼井碧」と言うペンネームだが、代表作の「十三髑髏の謎」などの短編集で「このミステリーが凄い大賞」を受賞した時は、「水無原崇也」のペンネームだった。

 また、短編集の単行本としての名前は、
「オーパーツ 死を招く至宝」
と言うものである。


 さて、その粗筋とネタバレを、いつものように別ページで紹介しますので、次のアドレス(URL)で読んでください。
http://komox2.sakura.ne.jp/nou-doku/dokusyo/ooparts/ooparts-181201.htm


2018.11.26 「夜のピクニック」

 「恩田 陸」と言うペンネームの作家がいる。
 「陸」と言う男の子に多い名前だが、現在、54歳の女性である。


 この女性作家の書く小説が、凄く良い。
 特に、世界的ピアノコンテストへ参加し、トップを目指す新人ピアニストたちを描いた「蜜蜂と遠雷」は、
・156回「直木賞」、
・14回「本屋大賞」の1位、
を受賞し、
「この2つの賞をダブルで受賞した小説は、「蜜蜂と遠雷」が初めて」
と言う快挙を達成したのだよね。


 加えて、「恩田 陸」は、
・「夜のピクニック」で、第2回本屋大賞の1位、
・「蜜蜂と遠雷」で、第14回の本屋大賞1位、
を受賞しており、一人の作家が、2回も本屋大賞の1位に輝いたのも、この作家が初めてである。


 因みに、「本屋大賞」は、実際に本を売っている書店の店員さんの投票で順位が決まる文学賞なので、読者に愛される小説と言うことになるんだろうね。


 で、今回も、「夜のピクニック」の粗筋とネタバレを纏めたので、次のアドレス(URL)で読んでください。
http://komox2.sakura.ne.jp/nou-doku/dokusyo/yoru-picnic/yoru-picnic181126.htm

 なお、「蜜蜂と遠雷」と言う小説は、
”ピアノ演奏を、文章でここまで表現出来るのか!”
と、読む者を驚かせた作品だが、そのさわりは、次のアドレス(URL)でどうぞ。
http://komox2.sakura.ne.jp/nou-doku/dokusyo/mitubati/mitubatitoenrai-arasuzi.htm


2018.11.17 「検察側の罪人」

 ちょっと前まで、映画「検察側の罪人」が、上映されていた。
 本当は、映画館に行って観たかった。


 だけど、行かなかった。
 その理由は、ファンの皆さんには申し訳ないが、私は「木村拓哉」が嫌いなので、行かなかったのである。
 その代わりに、本で読むことにし、一日中雨が降っていたので、508ページ有った単行本を、一日で読み切った。


 その「検察側の罪人」だが、
・著者は、映画化もされた「犯人に告ぐ」で、
  第7回「大藪春彦賞」を受賞した、
 雫井 脩介(しずくい しゅうすけ)」で、
・この作品は、
  2013年「週刊文春ミステリーベスト10」国内部門4位、
  2014年宝島社「このミステリーがすごい!」8位、
 の人気作品、
である。


 ただ、ハッピーエンドではないので、苦い物が口の中に残った感じである。

 とは言っても、日本の法制度や法曹界、メディアなどへの問題提起なども有り、読んでみる価値は有った。

 そんなわけで、いつものように、粗筋とネタバレを書き残しておくので、次のアドレス(URL)で読んでください。
http://komox2.sakura.ne.jp/nou-doku/dokusyo/kensatugawa-zainin/kensatugawa-181117.htm


2018.11.05 「がん消滅の罠」ネタバレ完成

 見出しのネタバレを完成させたので、呼んでください。
http://komox2.sakura.ne.jp/nou-doku/dokusyo/gan-syometu/gan-syoumetu-wana.htm


2018.11.04 「がん消滅の罠」

 数ある文学賞の中に、「このミステリーがすごい大賞」と言うものが有る。

 この文学賞は、
・「宝島社」が主催し、
・大賞作品には、1,200万円、
 優秀賞作品には、200万円、
・「賞をとれなくても作品にしたい」と言う「隠し玉」の宝島社賞、
が与えられる。

 受賞作品の中には、映画化された物も多い。


 その「このミステリーがすごい」大賞や優秀賞を、全部読み切ってやろうと言う気持ちになって、折に触れて読んでいるが、今回は、
・第15回(2016年)大賞、
・岩木一麻氏著作、
・「がん消滅の罠」
を読んでみた。


 今回の小説は、かなり複雑で、単純に人を騙すだけの内容ではない。
 それを紹介しようと思う。


 では、次のアドレス(URL)でどうぞ。
http://komox2.sakura.ne.jp/nou-doku/dokusyo/gan-syometu/gan-syoumetu-wana.htm


2018.10.10 横山秀夫「影踏み」 第7話「行方(ゆくえ)」

 「横山秀夫」氏の小説「影踏み」の最終章 第7話「行方」をアップするので、読んでください。
 長期に渡ったけど、今日で終わりです。


 お義姉さん(かみさんの兄貴の奥さん)は読書家で、「横山秀夫」氏の作品のことも良く知っていて、
「ちょっと暗い作品が多いね。」
と言っていた。

 確かにそうかも知れない。
 辛い人生を歩む人のことが多く書かれているからね。

 この「影踏み」もそうだけど、しかし、それでも、前を向いて歩こうとする姿に、共感を覚えて、また読みたくなる作者である。


 では、第7話「行方」だけの粗筋とネタバレは、次のURLでどうぞ。
http://komox2.sakura.ne.jp/nou-doku/dokusyo/kagehumi/kagehumi-07-yukue.htm

 なお、「影踏み」全体の話のフレーム(構成)は、次のURLでどうぞ。
http://komox2.sakura.ne.jp/nou-doku/dokusyo/kagehumi/kagehumi-fre.htm


2018.10.06 横山秀夫「影踏み」 第6話「遺言(ゆいごん)」

 「横山秀夫」氏の小説「影踏み」の、第6話「遺言」をアップするので、読んでください。

 早く7話まで進み、他のネタで日記(ブログ)を書きたいんだけど、後ちょっとお付き合いください。


 では、次のURLで、第6話「遺言」の粗筋とネタバレをどうぞ。
http://komox2.sakura.ne.jp/nou-doku/dokusyo/kagehumi/kagehumi-06-yuigon.htm

 なお、「影踏み」全体の話のフレーム(構成)は、次のURLでどうぞ。
http://komox2.sakura.ne.jp/nou-doku/dokusyo/kagehumi/kagehumi-fre.htm


2018.10.05 横山秀夫「影踏み」 第5話「使徒(しと)」

 「横山秀夫」氏の小説「影踏み」の粗筋を書き続けていて、今日は、第5話「使徒」をアップするので、読んでください。

 最後は、女の子の手紙に、思わず瞼(まぶた)に、涙が溜まります。
 だから、「横山秀夫」氏の書く小説が好きなんです。


 では、次のURLで、第5話「使徒」の粗筋とネタバレをどうぞ。
http://komox2.sakura.ne.jp/nou-doku/dokusyo/kagehumi/kagehumi-05-sito.htm

 なお、「影踏み」全体の話のフレーム(構成)は、次のURLでどうぞ。
http://komox2.sakura.ne.jp/nou-doku/dokusyo/kagehumi/kagehumi-fre.htm


2018.10.03 横山秀夫「影踏み」 第4話「業火(ごうか)」

 「横山秀夫」氏の小説「影踏み」の粗筋を書き続けているが、
「楽しみにしている。」
と言ってくださる方がいらっしゃる。
 有り難うございます。


 と言うことで、他にも日記ネタは有るんだけど、今日も、「影踏み」の粗筋をアップするので、読んでやってください。
 まあ、小説そのものを読まれる方が良いんだけどね。



 では、第4話「業火」の粗筋とネタバレだけのページは、次のURLでどうぞ。
http://komox2.sakura.ne.jp/nou-doku/dokusyo/kagehumi/kagehumi-04-gouka.htm

「影踏み」全体のフレームへのリンクは、次のURLです。
http://komox2.sakura.ne.jp/nou-doku/dokusyo/kagehumi/kagehumi-fre.htm


2018.10.02 横山秀夫「影踏み」 第3話「抱擁」

 「横山秀夫」氏の書く小説は、本当に好きだ。
 人間の美しさが描かれており、思わず共感してしまう。


 例えば、必死になって出世しようとしていた警察官が、周りの冷たい視線を浴びながらも、目の前の出世を捨てて、人間として、警察官として正しいと思う道を選んでしまう。

 この「影踏み」のヒロイン「安西久子」も、いくらでも普通の生活と幸せを手に入れられるのに、「真壁修一」との縁を切れず、苦しみながらも、「修一」を待ち続ける。
 その健気さと儚さに、何とか幸せになってほしいと、感情移入してしまう。



 そんな「久子」のいじらしさが描かれた第3話「抱擁」を追加したので、読んでください。
http://komox2.sakura.ne.jp/nou-doku/dokusyo/kagehumi/kagehumi-03-houyo.htm

「影踏み」全体のフレームへのリンクは、次のURLです。
http://komox2.sakura.ne.jp/nou-doku/dokusyo/kagehumi/kagehumi-fre.htm


2018.09.30 横山秀夫「影踏み」 第2話「刻印」

 早速、第2話「刻印」を追加したので、読んでください。

http://komox2.sakura.ne.jp/nou-doku/dokusyo/kagehumi/kagehumi-fre.htm


2018.09.30 横山秀夫「影踏み」再構成

 台風で暇なのと、折角の作品紹介を徹底しようと思い、横山秀夫氏の「影踏み」を、フレーム構成にしてみた。

 順次、2〜7話も紹介するので、読んでやってください。

 では、「影踏み」のフレームページへ。
http://komox2.sakura.ne.jp/nou-doku/dokusyo/kagehumi/kagehumi-fre.htm


2018.09.29 横山秀夫「影踏み」

 台風の接近で、一日中雨が降っていて、外作業が出来ない。
 と言うことで、「横山秀夫」氏著作の「影踏み」を読んだ。


 横山秀夫氏の小説には、警察物や犯罪物が多いが、警察官や刑事の華々しい活躍を描くのではなく、警察官や警察組織の中で、人間として苦しみながら、それが自分の出世に繋がらなくても、自分の信じた道を歩こうとする姿を描いていることが多く、そこに惹かれるのである。

 さて、今日、読んだ「影踏み」だが、
・7つの短編集だが、
・その7話が、大きな物語の流れを作っていて、
・最後の謎を明かしていく、
と言うもので、双子の、強い結び付きや、災いとなる束縛、恋人を巡る苦悩、そして謎解き、などなど読み応えの有る作品だった。


 それを紹介したいので、次のページでどうぞ。
http://komox2.sakura.ne.jp/nou-doku/dokusyo/kagehumi/kagehumi-20180929.htm


2018.09.25 サナキの森 粗筋とネタバレ

 「新潮ミステリー大賞」と言う文学賞が有る。

 その栄えある第1回目大賞受賞作となった、
・彩藤アザミ氏の、
・「サナキの森」
を紹介しようと思う。


 自分としては、凄い大作に仕上がったと思うので、是非、読んでください。

 因みに、何でこんなにも時間と労力を払ってまで、小説の粗筋やネタバレを書くかだが、その理由は、
・文章を書く力を、出来るだけ長く保持していたいので、
 その為に、書くことを続け、力の低下を防ぎたい。
・読解力は優れていると思うので、その力も保持したい。
・気を惹かれた小説は、何とか自分なりの形で、残したい。
・読む値打ちが有ると思う小説を紹介したい、
・小説を読む気が無い人にも、こんな小説が有ると教えたい。
などである。


 とは言っても、自己顕示欲や自己満足が有ることは、否定出来ないけどね。

 では、次のページでどうぞ。
http://komox2.sakura.ne.jp/nou-doku/dokusyo/sanakinomori/sanaki-fre.htm


2018.09.08 「夏をなくした少年たち」ネタバレ

 「夏をなくした少年たち」のネタバレのリクエストが有ったので、書き残します。

 次のリンクでどうぞ。

http://komox2.sakura.ne.jp/nou-doku/dokusyo/natuwo-nakusita-syounentati/180910-natuwonakusita.htm


2018.09.08 「夏をなくした少年たち」

 小説を刊行する出版社は、昔からの名作を売っていても商売として成り立たない。
 と言うのも、
・若者たちの読書離れは凄いスピードで進んでいるし、
・若者たちは、名作古典に魅力を感じないから、
買ってくれないのだ。


 そこで、次々と新しい才能を開発し、世に出していくことで、読者の購買意欲を高めようとする。
 それは、テレビやインターネット、SNSなどで、次々とアイドルやアイドルグループが出て来るのと同じだ。
 常に新しい物を提供しないと、同じものでは飽きられるからである。


 で、出版社が採る方法の1つが、「文学賞」の創設である。

 そんなわけで、日本だけでも、「直木賞」や「芥川賞」などの有名な「文学賞」も有れば、聞いたことのないような「文学賞」も作られている。
 そして、明日の有名作家、人気作家を目指して、若いのから歳を取ったのから、腐る(失礼!)ほどの作家の卵が日本中に居て、色々な文学賞に応募している。

 なお、義理甥(私のかみさんの甥っ子)も作家を目指していて、幾つかの文学賞の最終審査まで行っている。
 1位(大賞)に選ばれれば、単行本として出版してくれるのだが、まだそこまでは行っていないのが、残念であり歯痒いところである。


 さて、昨日も書いたが、これから、「新潮ミステリー大賞」大賞作を読もうと決めて、
・第1回大賞の「サナキの森」を予約、
・第2回大賞の「レプリカの夜」を読んでガッカリ、
したのだが、それにもめげず、雨で何も出来ないので、第3回大賞「夏をなくした少年たち」を一日で読み切ってしまった。

 「レプリカの夜」は、義務的に「斜め読み」で最後まで読んだが、この「夏をなくした少年たち」は、凄く読み易く、また、早く先を知りたいと思わせる作品で、「レプリカの夜」の良い「口直し」になった。


 因みに、「夏をなくした少年たち」の作者だが、「新潮ミステリー大賞」は新人対象の文学賞なので、この作品が、最初の単行本化された作品になるのだが、
・新潟県在住で、
・1983年生まれの現在35歳だそうで、
・「新潮ミステリー大賞」応募の時は、
   「新下なおき」
   「グッバイ・ボーイ」
 で応募し、大賞受賞で製本化される時に、
   「生馬直樹」」
   「夏をなくした少年たち」
 に変えた。
そうな。


 さて、肝心の大賞作品「夏をなくした少年たち」だが、
・新潟県燕市に住む、
・ハンサムで、勉強もスポーツもトップクラスの「紀本 啓」、
・気が弱いが、妹を心から愛する優しい「三田村 国実」、
 (妹の「三田村 智里」)
・粗暴で自己中心的な「榊 雪丸」、
・主体性が無いが、グループのつなぎ役「梨木 拓海」、
の小学6年生4人グループと「国実」の妹が、小学校時代の思い出を作る為に、
「彦矢町(実名では弥彦村)で行なわれる花火大会を、
 彦矢山(実名では弥彦山)のてっぺん(山頂)から観る」
冒険をすることにし、そして、その冒険を行なった。

 しかし、その結果、想像を絶するほどの後悔を味わい、友もグループの結び付きも失ってしまった、と言う内容である。


 この作品が優れているのは、大どんでん返しのミステリーやトリックが仕組まれているわけではないが、子どもたちの姿や気持ちがとても細やかに書かれていて、アメリカ映画の名作「スタンド・バイミー」を思わせるところだろうか。

 また、
「友もグループの結び付きも失ってしまった」
と書いたが、最後は4人が・・・。
 と言うことで、決して救いの無い結末ではないので、読後感は悪くない。

 そんなわけで、この作品は、是非読んでくださるよう、お勧めします。


2018.09.07 精読不能「レプリカの夜」

 私、昔から「国語」の成績は良くて、文章を読んだり書いたりするのも、得意だった。

 高校生の頃、試験の結果を返してもらう時、成績順に返してもらう人権無視の時代が有ったのだが、その時は、
・「国語」は、トップクラスの成績だったので、
 直ぐに貰いに行く準備をしてたし、
・英語は、真ん中の順位だったし、
・数学は、後ろの方だった、
記憶が有る。


 また、若い頃、携帯電話もSNSも無い頃だったので、紙に書いたラブレターを送ったら、
「凄く綺麗な文章!」
と、感激してもらったことが有る。


 そんな私が、
「これからは、新潮ミステリー大賞を読んでみよう。」
と思い立ち、行き付けの図書館に有った、
・第2回「新潮ミステリー大賞」受賞作の、
・「一條次郎」作、
・「レプリカの夜」、
を読んでみた。


 なお、行き付けの図書館には、
・第1回大賞の、
・「彩藤アザミ」作、
・サナキの夜、
が無かったので、予約しておいた。


 で、「レプリカの夜」だが、
・出す小説が、いくつも文学賞を受賞し、ベストセラーになり、
・陽気なギャングが地球を回す(主演:大沢たかお)
 チルドレン(主演:坂口憲二)
 アヒルと鴨のコインロッカー(主演:濱田岳)
 死神の精度(主演:金城武)
 重力ピエロ(主演:加瀬亮)
 ゴールデンスランバー(主演:堺雅人)
 など、多くの作品が映画化された、
超売れっ子作家の「伊坂幸太郎」氏が褒めまくっていたので、大きな期待を持って読み始めた。


 だが、さっぱり良さが分からず、走り読み、斜め読みで、取り敢えずは最後まで読み終えた。
 今まで、こんなに小説を読むのが苦痛だったのは、初めての経験だ。
 因みに、
「今の自分は本当の自分か?」
と言う、哲学的でなくホラー的なテーマのようだが、何で、「伊坂幸太郎」氏が褒めまくっていたのか、分からないままだ。
 私も、読解力の無い凡人と言うことかな?


 そんなわけで、こんなことは珍しいけど、普通レベルの読者には絶対にお勧めしません。
 自分で賢い人と思っている人は、読んでください。


2018.08.17 横山秀夫の警察小説にド嵌まり

 最近、警察官の活躍や悩み、葛藤、抗争、犯罪などを、犯罪捜査を通して描いている、「横山秀夫」氏の「警察小説」にド嵌まりして、1冊の単行本を二日間で読み切るペースで読んでいる。
 それも、睡眠時間を削ってまで読んでいる。
 それほど面白いから。


 因みに、「横山秀夫」氏は、Wikipediaを見ると、
<受賞歴>
1991年 - 『ルパンの消息』で第9回サントリーミステリー大賞佳作。
1998年 - 『陰の季節』で第5回松本清張賞受賞、
2000年 - 『動機』で第53回日本推理作家協会賞(短編部門)受賞、
2004年 - 『クライマーズ・ハイ』で第1回本屋大賞第2位。
2013年 - 『64(ロクヨン)』で第10回本屋大賞第2位。
<週刊文春ミステリーベスト10>
2000年 - 『動機』3位
2002年 - 『半落ち』1位
2003年 - 『クライマーズ・ハイ』1位、『第三の時効』6位
2005年 - 『震度0』3位
2012年 - 『64』1位
<このミステリーがすごい>
2001年 - 『動機』2位
2003年 - 『半落ち』1位
2004年 - 『第三の時効』4位、『クライマーズ・ハイ』7位
2005年 - 『臨場』9位
2006年 - 『震度0』3位
2013年 - 『64』1位
<本格ミステリーベスト10>
2001年 - 『動機』19位
2004年 - 『第三の時効』12位
2005年 - 『臨場』15位
2006年 - 『ルパンの消息』21位
2013年 - 『64』22位
と言う実績を持つ作家だ。

 なお、上記の作品の中で、映画化された物も多い、人気作家である。

 で、私は、
・クライマーズハイ、
・64、
・半落ち、
は読んでいたので、今は、新たに、
・陰の季節、
・動機、
・第三の時効、
・臨場、
・深追い、
を読んでいる。

 ただ、「動機」は、読み始めて、
「ありゃ、これは前に読んだことがあるわ。」
と気付いたけどね。


 なお、「横山秀夫」氏の小説に出て来る主人公は、とても個性的で味が有り、単なる事件の捜査の流れと結果を読ませるのでなく、人物を読ませるところに惹かれるのである。

 特に、「臨場」シリーズに登場する、L県の県警本部の刑事部捜査第一課で検視担当調査官を務める「石倉義男」は特筆だ。
 彼は、上司を上司と思わないような言動で、上の者からは疎まれているが、その洞察力と調査力で、若手の刑事や監察員などから「校長」と呼ばれ、慕われている。
 その「石倉」が、犯罪の現場から、隠された真実を読み取り、犯人に迫る道筋を示すし、ヤクザのような言動に隠して、部下や犯罪に振り回される人たちへの心遣いをしていくのも、魅力だ。


 例えば、こんな例が有る。
 10年前にたった一ヶ月だけ「石倉」の部下だった、元婦人警官が自家用車の排気ガスを車内に引き込み自殺した時、誰が見ても自殺の状況にも関わらず、「他殺だ。」と判断し、多数の刑事が捜査に走る。
 結果、元婦人警官が、嫁ぎ先で寂しく辛い生活を強いられていたことなどが浮き彫りになり、警察官たちは、元婦人警官の思いを理解する。
 「石倉」は、自分の判断ミスを上司から非難されても、元部下だった婦人警官の為に、刑事たちに自殺の背景を調べてもらったのである。
 そして、刑事たちも、「石倉」の判断を受け入れ、文句も言わず、捜査に没頭したのである。


 皆さんにもお勧めします。


2018.07.29 隠蔽(いんぺい)捜査シリーズ

 今野 敏(こんの びん)と言う、警察小説を中心に精力的に作品を発表している作家が居る。

 評価も高く、
1978年 - 『怪物が街にやってくる』
       第4回問題小説新人賞受賞、
2006年 - 『隠蔽捜査』
       第27回吉川英治文学新人賞受賞、
2008年 - 『果断 隠蔽捜査2』
       第21回山本周五郎賞受賞、
       第61回日本推理作家協会賞受賞、
などの実績を重ねている。


 私、この作家の「隠蔽捜査」シリーズに、ドップリと嵌ってしまい、一週間で6冊も読んでしまったのである。
 きっかけは、文学賞を調べている内、「山本周五郎」賞受賞の言葉に引き寄せられ、シリーズの1から6までを読み通したのである。


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 主人公の「竜崎伸也」は、警察職員であるが、国家公務員試験の1種試験に合格し中央官庁に努めるキャリアと呼ばれるエリートである。

 彼は、キャリアであり、高級官僚として出世することを、威張る為でなく、地位が上がれば権限も大きくなり、やりたい事を達成する為には必要なことと考える、合理的な人間である。
 そして、大抵の者は、組織の中で生きる為に、「本音」と「建前」を使い分けるのだが、彼は、どんなことでも「建前」だけで処理しブレないので、人からは「変人」と思われている。

 とは言っても、何事にも動じずブレず、的確に物事を処理していくので、彼を評価し、信頼し、尊敬する人間も少なくはない。

 彼は、
・警官としての階級は上から3番目の「警視長」で、
・現在の役職は「警察庁」の「長官官房」の総務課課長で、
警察官の中でもかなりのお偉方である。

 その彼が、
・警察官が起こした連続殺人事件を、
 隠蔽しようとする上層部の指示に、
 苦悩し自殺まで考える小学校の同級生であり同期である
 「伊丹」警視庁刑事部長を助け、隠蔽を阻止するが、
・自分の息子が麻薬に手を出したことを揉み消さず、
 その結果、警察官として不行き届きと言うことで、
 東京都大森署の署長に降格人事される、
と言うストーリーである。
===========================================================================

 このシリーズの面白さは、どんな圧力や困難が降り掛かっても、合理的に考え、正しいと信じることを貫き通すことで、見事に解決していくところにある。
 その結果、ニュース解説者の「池上彰」氏が言うように、
「正しく生きることへの勇気を貰える」
小説になっていることが、素晴らしい。


 ただ、正直言うと、シリーズの1と2と3は、問題無く面白く、寝る時間を惜しみながら読んだものである。
 しかし、それ以降は、惰性で読んだような気がする。
 元々、私が飽き性であるし、テレビの「水戸黄門」のようにパターン化的な面も有るからね。


 まあ、それはさて置き、1〜3は、とても面白いので、是非とも読まれることをお勧めします。
 また、警察組織のことも良く分かりますからね。


 なお、参考までに、警察組織についてまとめてみたので、そのページも見てください。
http://komox2.sakura.ne.jp/gakusyu/keisatu/keisatu-sosiki.htm


2018.06.04 「月の満ち欠け」

 「月の満ち欠け」と言う、純愛か、オカルト(怪奇現象)か、と言う小説を読んだ。

 因みに、
・著者:佐藤 正午
・作品:「月の満ち欠け」
・受賞:2017年上半期「直木賞」受賞、
である。


 大まかに書くと、
・愛する人に逢う為に、
・何度も生まれ変わり、
・愛する人に逢おうと、行動するが・・・。
と言うものである。

 とても複雑で分り難い構成なので、別のページで粗筋を紹介しようと思う。
 しかし、小説の構成に沿って粗筋を書くと、分り難いままになるので、作者の意図を無視して時間、時代の流れに沿って書くので、この小説を読みたいと思う人、この小説が好きな人、は自己責任で読んでください。


 なお、世界一分り易い粗筋になりました。


 では、次のURLをクリックして、どうぞ。
http://komox2.sakura.ne.jp/nou-doku/dokusyo/tukinomitikake/tukinomitikake-arasuzi.htm


2018.04.29 「蜜蜂と遠雷」

 以前から気になっていた小説を読み終えた。

 それは、
・第156回 平成28年下半期 直木賞、
 第14回 本屋大賞
 を受賞した、
・「恩田 陸」氏の
・「蜜蜂と遠雷」で、
・国際ピアノコンクールに出場する若者たちの、
 演奏と生き様を描いた作品で、
・作者は、この作品を書くために、
 浜松国際ピアノコンクールを数年間鑑賞した、
と言う作品である。


 この小説の凄いところは、自分の耳と身体でしか感じられない音楽の本質を、緻密な文章で表したことで、不可能を可能にした筆力には、感嘆しか無い。

 なお、平成28年に「直木賞」を受賞した小説を、何で今になって読むかと言うと、昔は千冊を超えるほどの本を所有していたが、我が家は山陰に建っている所為で、家が湿けて本が全部カビで駄目になったので、本は買わずに図書館で借りて読むようになったのだが、人気有る小説はなかなか借りられないので、人気が落ち着いてから読むので、今になるのである。

 それはさておき、「蜜蜂と遠雷」の触りを書いておくので、読んでください。
http://komox2.sakura.ne.jp/nou-doku/dokusyo/mitubati/mitubatitoenrai-arasuzi.htm


2018.04.12 「海の見える理髪店」

 読書日記(読書報告)は、本当に久し振りだ。
 その間、本を読んでいなかったわけではなく、最低でも、週に1冊は読んでいたけど、わざわざ読書日記などに載せたいと言う気持ちになることが無かっただけである。


 そんな私が、今回、敢えて読書日記に載せたいと思ったのは、
・「荻原浩(おぎわらひろし)」氏著作、
・「海の見える理髪店」、
・第155回、2016年上期「直木賞」受賞、
であり、雑駁ではあるが涙もろい私の琴線を掻き毟ったからである。


 この短編集の紹介には、
「母と娘、夫と妻、父と息子。
 近くて遠く、永遠の様で儚い家族の日々を描く物語6編」
と書かれている。

 そして、この短編集の題名にもなっている「海の見える理髪店」を読んで、涙もろい私は、早速、泣いてしまった。
 他の5編も悪くないが、この1篇を読んで、この本の素晴らしさ、「直木賞」を受賞した値打ちが分かった。


 実際は読んでもらえば良いのだが、粗筋だけ、紹介しておく。
 ただし、小説のような、情緒溢れる書き方ではなく、時系列的に出来事を書き並べた粗筋だけど。


 今後、この小説を読みたいと思っておられる方は、読まれない方が宜しいかと思いますよ。
 ただし、読まれるからには、最後に書いた「別れ」まで、しっかり読んでくださいね。
 そこが、この小説の真髄だから。


 では、次のページでどうぞ。
http://komox2.sakura.ne.jp/nou-doku/dokusyo/rihatuten/rihatuten-arasuzi.htm


2017.10.16 物書同心 居眠り紋蔵

 私の趣味は、2017.10.16現在では、
1位:パソコン触り、インターネット等、
2位:読書、
3位:映画鑑賞、テレビ視聴、
4位:パチスロ、
5位:グラウンドゴルフ、
だろうか?

 これは、その趣味に費やす時間の長さの順番でもあるねえ。


 しかし、その中の「読書」は、ひょっとすると、時間的には1位かも知れない。
 この日記には、時間の関係と読む本の多さから、とてもじゃないが全部アップ出来ないので、この「読書日記」にはアップしていないが、年間100冊近くの本を読んでいるのは事実だ。


 で、前書きが長くなったが、最近、一日に1冊のペースで読んでいるのが、「物書き同心 居眠り紋蔵」のシリーズである。

 なお、この作品だが、
・著者は、
 「恵比寿屋喜兵衛手控え」で1994年に第110回直木賞を受賞した、
 佐藤 雅美(さとう まさよし)氏で、
・「居眠り紋蔵」シリーズは、短編集で、
 1冊300ページを超える単行本の中に、平均8話が入っていて、
・最初に出版された1994年(平成6年)から現在も続き、
 今年出版されたのは、第15巻目と言う長いシリーズ、
である。


 それを、図書館で、たまたま手に取って読み始めたら結構興味を引かれたので、取り敢えずは1巻の1冊を読み終えたのだが、これがまあ、面白いと言うか、後引きすると言うか、止められなくなったのである。
 そして、寝る間を惜しむほど一所懸命に読み、一日1冊のペースで、今は5冊目を読んでいる最中だ。


 ところで、何にそんなに惹かれるかだが、
・普通、江戸時代の同心は、超カッコ良い存在で、
 「弱きを助け、強きを挫く」存在なのだが、
・主人公の「藤木紋蔵」は、
 突然、居眠りに襲われる奇病を持っており、
・父親は有名な見回り同心だったのに、
 息子の紋蔵は奇病の所為で、見回り同心に成れず、
・例繰方(れいくりかた)と言う部署で、
 物書き(書記)として、過去の判例などを整理する、
 地味な役目で、30年勤める43歳であるが、
・役目柄、過去の事件や判例に精通し、
 それを参考に色々な事件やもめ事を処理していく、
面白さに惹かれるのである。

 また、同心が主人公の小説なら、剣に優れ、女に持て、格好良く事件を解決していく、と言うのがパターンだろうが、「居眠り紋蔵」は、
「罪を見逃せば、結果として人々が幸せに成れる」
なら、敢えて罪人を見逃したり逃がしたりもする、人情味にも惹かれるのかも知れない。


 ただ、「居眠り紋蔵」の陰の働きで事件が解決しても、それが「居眠り紋蔵」の手柄になることは殆ど無く、奉行所内は元より、市井の庶民にも軽んじられることが有るのは、読んでいて歯痒い気持ちに成るところである。

 もう1つ、このシリーズの小説を読んでいて楽しいのは、
・今は、
  警察、
  検察、
  裁判所、
  都庁、区役所、
 と、権力が分散され、
 民主的な運営で庶民の生活を守るシステムになっているが、
・江戸時代は、江戸町奉行所が、
  警察&裁判所&政治役所の機能を統括している状況、
などのことが、とても細かに書かれていて、知識欲を旺盛に刺激してくれるのも、このシリーズの楽しみである。


 肝心の小説の中身を書く時間が無くなったので、今日はここまでしか書けないが、出来たら、第1巻目の「物書同心居眠り紋蔵」を読んでみてください。
 読んで損は無いと思いますよ。


2017.07.25 畠中恵の「まんまこと」

 最近、歳を取った所為か、小説を読んでも、ハッピーエンドな物か、深刻過ぎない内容の物か、物事の収束が速い短編集かを選んでしまう。

 と言うことで、最近、読みまくっているのは、「畠中恵」氏の作品である。
 勿論、畠中恵の小説の中にも、人の死や裏切り、生きる苦しみ、辛い別れ、犯罪などなどが書かれており、おちゃらけの小説ではない。
 しかし、人の気持ちを大切にし合いながら生きている人々の姿が心地良く描かれていて、読後感が爽やかなのである。
 これが、また畠中恵の作品を読みたいと思わせる理由なんだろうね。

 そんなわけで、「しゃばけ」シリーズは全部読んで、今は、「まんまこと」シリーズにはまっている。


 その内容だが、
・江戸は、その時代では、世界的にもトップクラスの大都市で、
 犯罪やもめ事も多く、

・武士が務める奉行所などの警察的組織だけの人数では、
 処理し切れなくて、

・幕府は、
 奉行所などの補助として色々な民間組織や役職を作り、
 治安を維持しようと考え、

・その1つとして、生活の単位の町を束ねる「町名主」を置き、
 それなりの権力と財力を持たせ、町に住む人々の信頼を得させ、
 犯罪以外のもめ事を解決させてきたが、

・神田の町名主の跡取り息子「高橋麻之助」は、
 16歳までは驚くほどの真面目でしっかり者だったのに、
 ある出来事から、人生を斜めに見てお気楽に生きる道を選び、

・幼馴染で、同じく他の町の町名主の跡取り息子「八木清十郎」と
 同じく幼馴染みの同心見習い「相馬吉五郎」とともに、
 さまざまな揉め事を解決していくが、

・自分自身も、愛する人と結ばれぬ苦悩や、
 新たな愛を得たのに、妻と子を病で失う悲しみを経験しながら、

・幼馴染みとの友情を深めながら、自分らしく生きて行く。
と言うものである。

 前回はまった「しゃばけ」シリーズは14作だったが、「まんまこと」シリーズは現在5作が発表されており、図書館に出る度にイソイソと読んでいる。
 時間が有ったら、もう少し細かな紹介を書きたいものである。


 色々な事件の短編が重なり連なって、大きな流れになっているので、短編を読む時間と根気だけ有れば、少しずつ読み進められ、でも、先を読みたくなるほど面白いお勧めです。


2017.04.08 しゃばけシリーズ



 私の趣味の1つは、読書。
 年間100冊近くの本を読む。


 その読書の特徴は、同じジャンルやシリーズを読み尽くすと言うことかも知れない。
 と言うのも、
・直木賞受賞作品は、全部読む。
・江戸川乱歩賞やミステリー大賞受賞作品など、
 受賞したミステリー小説は、全部読む。
・宮部みゆき作品は、全部読む。
などだ。
 受賞した作品ならば、読む価値が高いだろうと言う、安易な考えからだけど。(苦)


 そんな私が、今、ハイスピードで読んでいるのが、
・「畠中 恵」氏著作、
・「しゃばけ」シリーズ、
で、上の写真の一覧のとおりである。


 なお、「しゃばけ」シリーズの背景となっている設定を紹介しておきましょう。
 次のページでどうぞ。
http://komox2.sakura.ne.jp/nou-doku/dokusyo/syabake/sybake_haikei.htm


 このしゃばけシリーズを読んでいて、泣いてしまった。
 たいていは軽く読める内容が多いんだけど、時々、ホロリとさせられるんだよね。


 と言うのも、「はるがいくよ」と言う短編小説では、
・春になり、桜が咲き始めた頃、
 「一太郎」の離れに女の赤ちゃんが現われ、

・日ごとに大きく成長し、「小紅」と名付けられ、
・桜の花が散る頃には美しい少女となり、
・「一太郎」と「小紅」は相思相愛になるが、
・桜の精の「小紅」は、桜が散ると同時に、
 「一太郎」の下を去ろうとする。

・「小紅」との別れを悲しむ「一太郎」に、
 仁吉と佐助は、
 「荼枳尼天(だきにてん)様の所に行けば、
  永遠に命が保たれ、小紅も散らずに済みます。」
 「若だんなもお行きになりますか?」
 と尋ねる。

・それに対して、「小紅」は、
 「私が去らないと、次の花たちが咲けない。」
 と断り、一陣の風と共に消えてしまう。

・その時、「一太郎」は、仁吉と佐助が、「一太郎」にも、
 荼枳尼天(だきにてん)の下に行くことを勧めたのは、
 1000年も生きている大妖である仁吉と佐助が、
 僅か数十年の儚い命しか持たない人間「一太郎」を、
 失いたくないと思っているから言った言葉と気付き、
  「ごめん」
 と謝り、仁吉と佐助は、言葉も無く、
 黙って佇んでいるしかなかった。

と書かれていたのである。

 私は、「一太郎」を何よりも愛し守ろうとする仁吉と佐助の2人と、2人の「兄や」を信頼し愛する「一太郎」の心の結び付きに、思わず、泣いてしまったのである。
 こんな心の結び付きが、本当に羨ましい私だ。


2017.02.21 小説家誕生?

 私、読書が好きで、年間100冊ほどの小説を読む。

 読むジャンルは様々で、しかし、ミステリー小説が多いのは事実だ。
 ただ、歳を取ってからは、重たい内容の物はしんどくなってきて、明るく未来が拓ける終わり方の小説を好むようになってきた私だ。


 ところで、私の親戚に、プロの小説家を目指す若者が居て、既に数作を完成させ、コンクールにも応募しているそうな。
 そして、何作目かが、あるコンクールで最終選考まで残ったそうな。


 そんな中、その若者の最新作が、私の元に届いた。
 この作品も、有名なミステリー小説コンクールに応募した物だそうな。

 何で私の所に届いたかと言うと、私に読んでもらい、感想や、良い点、改善すべき点を聞かせてほしいと言うことだった。
 で、天気が悪く外での仕事が出来なかったので、4時間ほどを読書に費やすことにした。


 結果だが、
・登場人物のそれぞれの個性を面白く表現している。
・ミステリー小説としての構成も、悪くはない。
・表現にこだわり過ぎるところが有るので、
 修飾し過ぎない方が良い。
・普段、私が読んでいるミステリー小説と比べても負けてはいない。
などの感想を持ったので、伝えた。


 折角の力作なので、入賞などし、何らかの形で出版されると嬉しいし、自分の親戚からミステリー小説家が出るのも嬉しいんだけど、世の中には、同じような才能を持った人間が、わんさか居るからね。
 果てさて。


2017.02.02 黒川博行「大博打(おおばくち)」

 最近、嵌りに嵌っている黒川博行の小説を、またまた読んでしまった。
 特に、大阪府警の刑事たちやヤクザが出て来る小説の面白いこと面白いこと。

 ただ、今回は刑事たちが主役ではない。
 誘拐犯と誘拐された人間が主人公だ。


 読んだのは、
・著者:黒川博行、
・著書:「大博打」、
・出版:1991年、
・特徴:ミステリー&ハードボイルド
である。


 そして、読んでいる内に、誘拐犯に感情移入してしまい、
「誘拐犯が逮捕されないと良いのになあ!」
「誘拐された人間が無事に解放され、
 事件が上手く治まると良いのになあ。」
と思ってしまった。

 それほど、誘拐犯と誘拐された人との交流も楽しく描かれていた、読み終わった後に爽快感の残る小説だったのである。



 そんなわけで、粗筋とかを纏めてみたくなり、書いてしまった。

 ただ、完全なネタバレなので、読んでみたいと思われる方は、読まれない方が良いのではないかと思う私である。

黒川博行「大博打」のネタバレへのリンク


2016.12.29 黒川博行「封印」・粗筋

 今日は、一日中、暴風雨で荒れていた。
 そんなわけで、思いっ切り読書に没頭。


 読んだのは、
・著者:黒川博行、
・著書:「封印」、
・出版:1992年、
・特徴:ミステリー&ハードボイルド
である。


 以前にも書いたが、作者「黒川博行」氏は、闇の世界に詳しく、作品には暴力団や警察の闇の部分の描写が多く、実生活でも、週刊誌に「グリコ森永事件」の真犯人と書かれ、裁判沙汰になったりする人物である。
 その作者は、やたらと警察組織の不正を小説の中に書くんだけど、例えば、
・空領収証を書き合い、裏金を作り、
 自分の飲み食いに当てるだけでなく、
 警察幹部に上納したりするし、
 幹部が退職する時、多額の裏退職金を出す、
・暴力団に捜査などの情報を流し、賄賂を受け取る、
・飲食業店に出入りし、暴力団を防いでやる代わりに、
 自分は料金を払わずに飲み食いする、
などなど、
「これって信じて良いのかな?」
と思うことばかりだ。

 よっぽど警察が嫌いなのかな?


 さて、肝心の「封印」だが、小説の半ばになるまで、何でこの小説の題名が「封印」なのか分からなかった。
 でも、読み終わったら、爽快感に浸ることが出来、満足した。



 さて、「封印」の粗筋を書いておくので読んでください。
 ただし、本当に細かく書いてあるので、これからこの小説を読もうと思う人は、読むのを避けられた方が良いと思うので、自己責任でどうぞ。

 黒川博行「封印」の粗筋


2016.11.29 疫病神シリーズ

 今日は、一日中、雨が降っていた。
 となると、外作業は何も出来ない。
 私が外に出たのは、小学生の登校を引率した見守り活動の40分間だけで、それ以外は、一歩も家から出なかったなあ。

 では、日々中、何をしていたかと言うと、読書とゲーム、インターネット、食事、トイレ、昼寝、コーヒータイムだけである。
 外に出られないと言うのは、楽なようで苦痛でもあることを痛感するねえ。


 で、読んだのは、
・著者:黒川博行、
・著書:暗礁(あんしょう)、
・特徴:疫病神シリーズの第3話、
である。


 この疫病神シリーズは、
・ヤクザを父に持つ二宮啓之は、
 1人で社長兼社員の会社を経営しているが、
 トラブル防止に建設会社に暴力団を斡旋する、
 建設コンサルタントを経営している。
・その二宮を手足のように利用するヤクザの桑原は、
 ケンカが強くて圧倒的な破壊力を持つイケイケで、
 二宮に取っては、縁を切りたくてもまとわりついてくる
 疫病神である。
・この二人が、ヤクザや、裏を持つ企業や、悪徳警官相手に、
 大金を廻ってバトルを繰り広げる。
そんなミステリー&アクション小説である。


 その概要だが、京阪神を中心に企業展開する大手運送会社が奈良に有る系列会社に支援している暴力団対策費の、帳簿に出せる30億円と裏帳簿の10億円を廻って、疫病神「桑原」が、裏の10億円をかっさらおうと考え、今回も「二宮」を巻き込んで、奈良や沖縄を駆けめぐり、あわや殺され掛かる戦いを挑んでいくと言う内容である。
 そして、相変わらずの軽妙な大阪弁の遣り取りや、物語の展開のスピード感、暴力性は健在で、読んでいて面白いことは面白い。


 しかし、飽き性の私なので、一番最初に読んだ「破門」ほどの衝撃は感じず、ちょっと飽きて来たかも知れない。
 と言うのも、テレビドラマの「水戸黄門」のように、全体のパターンが一緒で、設定が変わるだけ、みたいなところが有るからである。
 これが、シリーズ物の難しいところだねえ。


 ところで、作者の「黒川博行」をインターネットで調べて吃驚。
 と言うのも、出版会社の講談社が発行している雑誌「週刊現代」で、グリコ森永事件を特集し、この事件の真犯人として、この作者「黒川博行」が名指しされて、名誉毀損などで訴訟を起こした「黒川博行」が最高裁まで行って勝利していると書かれていたからである。

 犯罪を題材にした小説を書いている人間が事件の真犯人とされるなんて、
「事実は小説よりも奇なり」
ではないかいな。


 そんなわけで、乗り掛かった船ではないけれど、疫病神シリーズ3冊目の「螻蛄(けら)」を読み始めた私だ。
 皆さんにもお勧めです!


2016.11.26 黒川博行の世界

 2016.11.23のブログ(日記)にも書いたが、「黒川博行」氏の「破門」を読んで以来、すっかり彼の小説に嵌ってしまい、今、我が家には「黒川博行」氏の小説が4冊も有る。
 そして、3冊は読み終えた。


 しかし、その3冊が、全く異なる作風で、ちょっと戸惑っている。

 と言うのも、
1)「破門」
・直木賞受賞作品。
・やくざの抗争などが描かれていて、
・軽妙な大阪弁が飛び交い、
 スピードの速い展開で、
 最高のエンターテイメント小説。

2)「カウント・プラン」
・日本推理作家協会賞受賞作品。
・劇薬投入、殺人傷害、幼児誘拐など、
 犯罪を捜査する刑事の姿を描く。
・病的な性癖、心の病を持つ人間が、
 犯罪に関わっていく様子の短編集。

3)「分福茶釜」
・美術雑誌出版社に勤める「佐保」が、
 お金欲しさに、
 美術品を巡る犯罪ギリギリのテクニックを披露。
・作者の美術品に関する知識に感心。

と、まるっきりテーマも作風も異なるからである。

 ところで、「黒川博行」氏の小説を読んでいると、今まで知らなかったことを教えてくれるので、感心もしている。
 と言うのも、「分福茶釜」では、
・油絵はキャンバスの上に絵の具を載せていくので不可能だが、
 水墨画は、和紙の下層まで墨が染み込んでいくので、
 和紙を2枚に剥がすと、同じ絵を2枚作ることが出来、
 その両方に裏打ちし、表具を着けると、
 有名作家の絵を、2枚売ることが出来る。
 これを、「相剥(あいはぎ)」と言う。

・悪徳骨董商業者は、田舎などを走り回って、
 年寄りや子どもを言葉巧みに騙し、
 蔵の中に仕舞われている骨董品を見せてもらい、
 値打ちの有る骨董品を安い値段で買い取り、
 それを、骨董好きに高く高く売るが、
 これを「初(うぶ)出し」と言う。
 今の時代、掘り出し物は、「初出し」でしか出て来ない。
 阪神大震災の時に、蔵とかが壊れ、所蔵物が出て来たので、
 日本中の骨董品買い取り業者が集まったそうな。

などなど、色々と勉強になったのである。

 また、「カウント・プラン」では、
・物を観ると、どうしても数を数えてしまう「計算症」の男は、
 例えば、
  節分の豆まき用豆を買ってくると、
  何個入っているか数えなければいられない、
  ポテトチップスの袋入りを買って来ても、
  全部出して並べて数えなければいられない、
  刑事が訪ねて来ても、ストライプ(縞)のネクタイの、
  色別のストライプ数を数えることを止められない、
 苦しみを書いていたり、

・ゴミ収集所に出されたゴミ袋を漁ったり持ち帰ったりする
 「ダスト・シューティング」癖の、
 様子を書いてみたり、

・色に異常な感心と興奮を覚え、
  カラフルな熱帯魚を盗んだり、
  カラフルな服を着ていた女の子を誘拐したり、
 する色への執着する人間を書いてみたり、

などなど、アブノーマルな世界を描いているのである。

 そんなわけで、ちょっと翻弄されている私である。


2016.11.23 読書「破門」

 今日は、未明から雨が降り続き、寒いこともあって外に出ずに、一日中、読書とインターネットで過ごした。
 で、読んだのは、
・作者:黒川 博行
・作品:「破門」
・受賞:第151回2014年直木賞受賞
・概要:やくざ「桑原」を主人公?にした第1作「疫病神」から始まる
     「疫病神」シリーズの5作目。
・特徴:リズム感溢れたスピードの有る展開と、
     関西弁を駆使した軽妙な作風の作品、
である。


 大まかに流れを書いておくと。

<主な登場人物>
1)二宮啓之
 ・39歳の独身で、
  お喋りで人懐っこいオカメインコの「マキちゃん」と暮らしている。
 ・「二宮企画」と言う建設コンサルタントを経営。
  とは言っても、社員は自分一人の会社である。
 ・自分自身は、暴力団員ではないが、
  父親が、広域暴力団「川坂会」の直系「二蝶興業」の幹部だったので、
  「二蝶興業」の若頭「嶋田」に可愛がられている。
 ・主な仕事は、「サバキ(前サバキ)」と呼ばれる仲介で、
 ・例えば、建設会社がビルを建てようとすると、
  暴力団が色々な手を使って邪魔を仕掛けてきて、
  工事が遅れるのを嫌がる建築会社が、
  会社自身では暴力団相手に動けないので、
  二宮に頼んでくると、
  二宮が別の暴力団に声を掛け、邪魔を止めさせ、
  その仲介料を会社から貰うと言う、
 ・暴力団との縁の切れない仕事をしている。

2)桑原保彦
 ・「二蝶興業」の組員で、超ケンカ早い。
 ・「二宮」を便利に使い、とんでもない事件に巻き込み、
  「二宮」にとっては、「疫病神」である。
 ・今回も、同じ「川坂会」に所属する「亥誠組」の滝沢組と、
  命を掛けての争いを起こし、「二宮」を巻き込む。

3)嶋田和夫
 ・「二蝶興業」の若頭で、人情と男気に溢れたやくざである。
 ・「二宮」を「啓坊」と呼んで可愛がる。

4)渡辺 悠紀
 ・「二宮」の従姉妹。
 ・ダンスやボイストレーニングのインストラクター。
 ・スレンダーな美女で、「二宮」を慕う。


<粗筋>
1)映画プロデューサー「小清水」の逃亡
 ・「小清水」が、映画制作を立ち上げ、
  嶋田から3,000万円、桑原からは300万、
  その他のやくざや個人が投資をさせ、
  3億円ほどの金を集めた「小清水」は、
  金を持って、女と香港やマカオに逃げる。

2)マカオへ
 ・「桑原」は「二宮」を連れて、マカオに行き、
  「小清水」を捕まえて、
  この事件の裏に「滝沢組」の「初見」の
  陰謀が有ることを掴む。

3)金を取り戻そうとする「桑原」と、
  「小清水」に白紙手形を切らせ、それを形に、
  映画投資関係者から金を巻き上げようとする「初見」が、
  死闘を繰り広げることとなり、「二宮」も巻き込まれる。

 ・「桑原」に数名の組員がやられた「亥誠組」は、
  「二蝶興業」の森山組長に、
  「桑原」を破門か絶縁にしろと迫るが、
  「嶋田」が「桑原」を庇う。

4)最後に
 ・「桑原」は、自分で解決しようと、
  「二宮」を連れて、彼方此方飛び回り、
  最後は、「亥誠組」の若頭まで巻き込んで、
  解決を図る。
 ・金を改修し、
  「嶋田」の名前が書かれた契約書も取り戻したが、
  「滝沢組」の「初見」は悪事が露見し絶縁となり、
  その釣り合いで「桑原」も破門となる。
 ・全てが終わって平和を取り戻した「二宮」は、
  今後の「桑原」を案じる。


 無理矢理、粗筋を纏めたが、本物はこんな簡単な物でなく、面白くて面白くて、早速図書館に行き、「疫病神シリーズ」を借りて来た私だ。
 ああ、この面白さは、どうやっても伝えられないなあ。
 残念!



 最後に解説を。

 暴力団が、身内である組員を組から追放する処罰として、「除籍」「破門」「絶縁」が有るそうな。
 その違いを書いておくと、
1)除籍は、
 ・組長(親分)や組に背いた罪は無くて、
 ・本人が組を辞めたい時に申し出て、
 ・それが許可されると、
  組から、他の組に、「通知」が回され、
 ・暴力団員から堅気(一般人)に戻ることが周知され、
今後は、暴力団との関わりの無い生活が送れるようになることである。
2)破門は、
 ・組長(親分)や組に背いたたり、組に迷惑を掛けたりした時、
  組から追放にする処分(制裁)であり、
 ・組から、「破門回状」と言う通知が各暴力団に届き、
 ・それを受けた他の組は、破門された者を、
  客分として預かったり、商談や交際などを一切してはならないが、
 ・本人が反省したと認められたり、破門期間が長くなったり、
  実力者が仲裁に入って取り持ってくれたりすると、
  元の組に戻れることがあり、
 ・警察などから目を付けられた者を、わざと破門にして、
  組と関係の無い形にして組を守り、
  ほとぼりが冷めたら復縁をさせる「偽装破門」も有るそうで、
迷惑を掛けた組員の処罰としては、まだ軽い方である。
3)絶縁・除名は、
 ・組長(親分)や組に背いたたり、組に迷惑を掛けたりした時、
  組から追放にする処分(制裁)であることは「破門」と同じだが、
 ・「破門」と異なるのは、復縁の余地が全く無くて、
  二度と暴力団の世界で生きていけなくなることで、
 ・「絶縁状」や「除名通知」が各組に送られると、
 ・暴力団社会では生きて行けなくなるどころか、
  組から守ってもらえることも無くなるので、
  制裁を受けたり、今までの報復を受けたりして、
  生活の困難だけでなく、命の危険も出て来る、
処分の中では一番厳しいものであるそうな。

 以上、この小説の題が、「破門」になったことに関しての解説でした。
 参考まで。


2016.10.09 コミック「どうらく息子」

 私、小説も読むけど、コミック(漫画)も大好きで、漫画雑誌「ビッグ・コミック・オリジナル」を定期購入しているほどだ。

 この「ビッグ・コミック・オリジナル」に連載されている作品の殆どが、人間の心の襞(ひだ)を描いていて、心を打たれて楽しみにしているのだが、特に好きなのは、
・尾瀬あきら 作、
・「どうらく息子」、
・落語家を目指す若者の苦悩と成長を描く、
・人情味溢れた作品、
なのである。


 この作品を読んでいて楽しいのは、主人公の「惜春亭 銅ら壱(せきしゅんてい どらいち)」が、師匠や兄弟子、落語家関係者に鍛えられ育てられて行く中で、落語家としては勿論、人間としても成長していく姿である。
 決してスマートでもないし、ずば抜けた才能を持っているわけでもないが、ドジを重ねながらも、少しずつ成長していく姿に共感してしまうのである。

 また、落語界の様子やしきたり、歴史などを笑いながら知れるのも楽しい。

 加えて、有名な落語を、漫画なので絵入りで紹介してくれるので、得した気分にもなれるのも嬉しい。


 そんなわけで、最新の内容は定期購読の雑誌で読めるが、どうしても一話からの全てを手元に残して置きたかったので、単行本を購入して、折に触れて読んでいる。
 そして、その単行本が、15巻まで増えてしまった。


 雨で外に出られなかった今日、これを読み返していたのだが、やっぱり面白いね。
 皆さんにもお勧めします。


2016.09.29 読書「レディ・ジョーカー」

 今日一日が雨続きなので、読書をすることに。

 読んだのは、
・高村 薫(たかむら かおる)が書き、
・1997年(平成9年)に出版された、
・「レディ・ジョーカー」
・1997年の第52回毎日出版文化賞、
 1998年の「このミステリーがすごい!」1位、
 を獲得し、
・映画化もドラマ化もされた、
作品である。

 主な粗筋を書いておく。

<昭和22年>
・ビール会社の大手「日之出麦酒(ビール)」は、
 人員整理を行ない、40名の社員を解雇した。

・解雇された「岡村清二」は、
 解雇された社員の内の4名は、
 被差別部落の人間と言う理由で解雇されたと知り、
 会社に、抗議のような手紙を送付した。

・しかし、「日之出麦酒(ビール)」は、
 事実無根とし、手紙を破棄する。


<平成2年>
・「秦野浩之」は、歯科医を経営しているが、
 「日之出ビール」社長の姪の恋人だった息子「孝之」が、
 バイクの無謀運転で死亡する。
・その時、「秦野浩之」は、
 「孝之」が、会社から被差別部落の血を引いていると知らされ、
 自暴自棄になり事故死したと考え、
 質問の手紙を送る。

・しかし、「日之出ビール」は否定するので、
 「部落解放同盟」を名乗り、抗議の手紙を出す。
・その「秦野浩之」の行動を知った総会屋の「西村」は、
 昭和22年に「岡村清二」が「日之出ビール」に抗議した
 手紙のコピーを、強請の材料に渡す。
・しかし、秦野は自殺してしまう。


<平成6年>
・東京で、小さな薬局を経営する「物井清三」は、
 競馬が大好きな70歳になる老人である。

・また、昭和22年事件の「岡村清二」の実弟で、
 平成2年事件の「秦野浩之」の嫁の父親であり、
 「秦野孝之」は孫である。

・「物井清三」自身は被差別部落の出身ではないが、
 娘が被差別部落に関わる「秦野浩之」と結婚している。
 
・「物井清三」は、「日之出ビール」の差別体質を知り、
 復讐の為に、社長の「城山」を誘拐し、
 身代金として大金を奪うことを思い付く。

・そして、競馬中まである
  トラック運転手の「布川」、
  鎌田署の刑事である「半田」、
  障害者である娘を抱える「布川」、
  信用金庫に務める「高」、
 の4人が、「物井清三」に協力する為に集まった。


<平成7年>
・「物井清三」たちは、
 「レディ・ジョーカー」と名乗って、
 「日之出ビール」の「城山社長」を誘拐する。
・しかし、身代金を貰わずに社長を解放する。

・「物井清三」たちの真の狙いは、
 会社の企業イメージを落とすことで、
 商品への異物混入などの騒ぎを起こし、
 20億円を要求する。

・そして、「城山社長」には、部落差別問題を匂わせたので、
 企業イメージを守る為に、「日之出ビール」は、
 警察に訴えることも出来ず、金を支払う準備を始める。


 ネタバレへのリンク
「レディ・ジョーカー」のネタバレ


2016.09.19 読書「新宿鮫U 毒猿」

 台風が近付いていて、一日中、雨が降っていた。

 しかし、幸いなことに、町内には屋根付きのミニグラウンドが有るので、午前中は、そこでグラウンドゴルフ同好会の例会が開催され、私も、参加した。

 成績は、最悪。
 同好会での「名人位」の基準もクリア出来ず、バツ2になってしまった。

 そんなわけで、来週の月曜日の例会で、「名人位」の基準をクリア出来なければ、バツ3になってしまい、「名人位」から陥落だ。
 数週間前なら、「名人位」の基準をクリアするのは自信満々だったけど、最近のスランプ状態ではそんな自信も吹っ飛んでしまい、「名人位」陥落も避けられないわさ。


 しつこいけど、「名人位」就任の基準は、次のとおりである。
 名人位の基準
http://komox2.sakura.ne.jp/AIRAKU/sports/meizin.htm


 さて、本題。
 午後も雨なので、仕事が出来ない。
 そこで、読書をすることに。

 読んだのは、
・大沢 在昌(おおさわ ありまさ)が書き、
・1991年(平成3年)に出版された、
・新宿鮫シリーズの第2弾
である。

 なお、新宿鮫シリーズは10弾まで書かれており、
・第1弾「新宿鮫」は、
  1990年に出版され、
  吉川英治文学新人賞、
  平成3年度日本推理作家協会賞
  を受賞し、人気作になり、映画化もされた。
・第4弾「新宿鮫 無間人形」は、
  1993年に出版され、
  第110回直木賞、
  を受賞、
するなどで人気シリーズになり、映画化、ドラマ化もされてきている。


 先ず、設定の概要を書いておくと、
・新宿警察署の防犯課に籍を置く「鮫島」は、
・本来は出世コースを歩めるキャリア組のエリートだったが、
 公安内部の暗闘に巻き込まれて、
 出世コースからは外されて、
 新宿署に飛ばされてしまう。

・警察組織の上部は、
 やっかいな存在の「鮫島」を現場に行かせば、
 嫌になって辞めるだろうと目論んだのだが、

・「鮫島」は、新宿内の犯罪撲滅に命を掛け、
 検挙率トップを誇る実績を挙げ続けるが、

・上司に媚びることをしないので、
 ますます異端児となって煙たがられる。

・また、賄賂や脅しにも屈せず、正面から闘う姿勢に、
 やくざからも一目置かれ、「新宿鮫」と呼ばれる存在となる。

と言うことである。

 では、いつものように、粗筋を紹介。
「新宿鮫U 毒猿」の粗筋


2016.09.15 読書「不夜城」

 発表されてから20年も経った作品だが、
・馳 星周(はせ せいしゅう)が書き、
・1996年(平成8年)8月に出版され、
・1996年の、
  第18回吉川英治文学新人賞、
  このミステリーがすごい大賞第1位、
 を受賞し、
・金城武主演で映画化もされた、
「不夜城」を読んだ。


 こんな有名な作品を、今まで読んだことが無かったのが、我ながら不思議である。

 読んでの感想だが、先を読みたい、先を読みたい、と焦るほど、兎に角、面白かった。
 また、日本一の歓楽街新宿歌舞伎町の裏社会を支配する、台湾系、上海系、中国本土系の中国人マフィアたちの争いと、そこで生きる人々のバイタリティを描いたリアル感に惹き付けられた。


 それにしても、この小説に書かれた中国人支配の裏社会は、どこまで現実に迫っているのだろうか?
 吉川英治が書いた宮本武蔵像は、創作が史実の様に民衆の中に定着し信じられるようになったが、この小説に書かれた歌舞伎町の中国人社会は、どこまで信じたら良いのだろうか?
 それが気になる私である。


 では、いつものように粗筋を書いておこう。
「不夜城の粗筋」


2016.07.08 読書「火花」

 発表されてから随分と時間が経ったけど、ようやく、
・お笑い芸人コンビ「ピース」の又吉直樹が書き、
・文藝春秋社が発行する「文學界」の2015年2月号で発表され、
・第153回芥川龍之介賞を受賞した、
・中編純文学小説「火花」。
・2015年3月に出版された単行本
を読んだ。


 テレビとかで採り上げられ大きな話題となっていたけど、
「お笑い芸人が書いたから話題になったのかも?」
と思うこともあって、あまり読みたいとは思えず、放置していた。


 しかし、
「こんなに話題になるのは、
 単にお笑い芸人が書いただけでなく、
 惹き付けるものが有るのだろう。」
と考え、読んでみることに。
 で、図書館に予約した。


 以前にも書いたように、湿気が多くてたくさんの蔵書をカビで駄目にした経験から、本は自分では買わず図書館で借りて読むことにしている私なので、行き付けの図書館で予約したけど、人気絶頂でなかなか順番が来なくて、ようやく借りられたわけである。

 さて、読んだ結果だけど、
・本の厚さもそれほどでなく、
・読み易い表現で、
・内容的にも難しくはない、
ので、あっと言う間に読み終えてしまった。


 内容的には、大きな感動も無かったし、考えさせられることも無かった。
 ただ、お笑いの頂点を目指す芸人たちの中に、
・ノーマルに近い感覚を持って頑張っている人間、
・アブノーマルな感覚の人間、
などが居て、それぞれが藻掻き苦しみ、喜び、成功し挫折し、を繰り返しながら必死に生きていることは、読み取れた。


 この小説、お笑い芸人の「又吉直樹」が書いたから評判になっただけと言う声も有るが、それを打ち消す為にも、次の作品で、もう一度、みんなを感心させる物を書いてほしいと願う私である。
 頑張れ、又吉!



2016.06.25 読書「おまえさん」

 昨日、図書館で、
・著者:宮部みゆき
・作品:「おまえさん」
・内容:江戸時代が背景のミステリー小説
を借りて来た。


 宮部みゆきの作品は、殆ど読んでいる。
 ファンである。

 ところが、まだ読んでいない作品が有った。
 それが、表題の「おまえさん」だ。


 と言うことで、昨日借りて来て、今朝から読み始めたのだが、面白くて止められない。
 本当は、草刈りなどをしたかったのだけど、読むのを止められない。
 で、500ページほど有るハードカバー版を、お昼を挟んで、午後2時前まで掛かって読破した。


 しかし、読み終えたのではない。
 上巻、下巻と2冊有る内の「上」を読み終えただけである。
 そこで、図書館に走り、「下巻」を借りて来た。


 そして、早速読み始めたのだが、夕食も食べなきゃならないし、お風呂にも入らなきゃならない。
 おまけに、かみさんが、
「作ったパッチワークの作品の写真を、
 グーグルドライブに入れて、
 何時でもタッチパネルで観たりチェックしたり出来るように
 してください。」
と言う。


 そんなわけで、断続的に読み進めているのだが、何もかも投げ出して本を読んでいたいものだ。

 ところで、私は、もう雑誌以外は本を買うことを止めた。
 本を読みたい時は、図書館から借りることにしている。


 その理由は、
・「終活」の一つとして、
 余分な物はなるべく残さないようにする。
・昔、6畳の部屋にいっぱいの蔵書を保管していたが、
 我が家の日当たりが悪く、全部変色させてしまい、
 殆どを捨ててしまったことが有るので、
 同じ目に遭いたくない。
からである。


 それはさておき、読書読書!


2016.06.21 読書報告「黒猫の三角(デルタ)」

 久し振りの読書報告だ。

 と言っても、本を読んでいなかったわけではなく、
・シャドゥ(道尾秀介 著)、
・藤沢周平未刊行初期短編集
・新宿鮫 無形人形(大沢成昌 著)の3度目の読み直し
などなど、読み漁っている。
 本を読んでないと、罪悪感に責められる、変な習性が有る私なので。


 で、今日、何処にも行かず、一日で読み終えたのは、
・著書:「黒猫の三角(デルタ)」
・著者:「森 博嗣」
・特徴:叙述トリック的な推理小説で、
     元はお金持ちで名家のお嬢様だったが、
     今は落ちぶれた瀬在丸紅子を主人公とする、
     シリーズ物。
である。


 大まかな紹介をしておくと、
・一年目の7月7日に、11歳の少女が殺され、
・二年目の7月7日に、22歳の女子大生が殺され、
・三年目の6月6日に、33歳のOLが殺され、
・四年目の6月6日に、44歳の人妻が殺され、
その事件を、
・探偵である、保呂草 潤平、
・落ちぶれ名家のお嬢様、瀬在丸 紅子
・保呂草や紅子の友人の小鳥遊や香具山紫子、
・紅子の元夫の林警部、
などが、殺人事件の解決に奔走する話である。


 もう少し細かく書いておこう。

<警護の依頼>
・探偵や人材派遣や探偵をしている「保呂草」のところに、
・学習塾を経営しているお金持ちの「小田原 静江」が来て、
 「息子の家庭教師を紹介してほしい。」
 と依頼しに来て、

・別の日に、
 「11歳、22歳、33歳の殺人事件の新聞切り抜きが届き、」
  自分は44歳に成るので、狙われないよう、護ってほしい。」
 と依頼してくる。


<殺人事件発生>
・警護の依頼を受けた「保呂草」は、
 友人の「小鳥遊と「香具山紫子」を助手として雇い、

・「保呂草」と「小鳥遊」は、屋敷の外で警護し、
 「香具山紫子」と「瀬在丸虹子」は、
 「小田原 静江」の誕生パーティに出席し、
 間接的に警備をするが、

・入口のドアも窓も施錠されている密室で、
 「小田原静江」は、
 3年間連続殺人の同じ凶器であるナイロンロープで、
 絞殺されてしまう。

<新たな殺人事件発生>
・殺された「小田原静江」の夫の行動を不審に思った
 「保呂草」と「紫子」が後を付けると、

・夫「小田原政哉」は神社に行き、
 山車収納庫に入るので近付くと、
 「小田原政哉」はピストルで撃ち殺されてしまい、

・「保呂草」が警察に電話している最中に、
 「紫子」が襲われ、首を絞められて殺され掛かるが、

・「保呂草」の人工呼吸で、命は助かる。

<犯人判明 虹子の推理>
・落ちぶれた名家のお嬢様「虹子」は、
 独特の感性と推理力で犯人を特定する。

・そして、犯人と食事に行き、
 連続殺人を起こした犯人の、
 生い立ちや心理状態を説明させる。



・犯人は誰なのか?
・ドアにも窓にも施錠されていた密室で、
 犯人は、どうやって殺し、逃げたのか?
それは、ネタバレの内容だね。


 ではでは、ネタバレは、次のリンクにどうぞ。。

「黒猫の三角(デルタ)」のネタバレ!


2016.05.21 読書「背の眼」 (2)

 5月18日から読み始めた、怖い怖いホラーミステリー小説「背の眼」も、四日目で何とか読み終えた。
 とても不気味なので、夜には読めず、昼間だけ、仕事やグラウンドゴルフ、ボランテイアなどの合間、断続的に読んでたので、時間が掛かったのである。


 で、読み終えたのだけど、いつものような読書紹介は書けない。
 粗筋を書いている間、不気味さと付き合わなきゃならないなんて、ちょっと嫌だからね。


 そんなわけで、ネタバレは書けないけど、ちょっとだけ触れておく。

 白峠村の白早川に切られた首が流されていた少年も、残りの少年たちも、全員が、同じ人間に殺されていて、その犯人も見付かるんだけど、それは、怖くはない。
 殺人を繰り返した犯人の正体も、
「なるほどねえ。やっぱりねえ。」
と思えたし、動機や異常心理も、分からなくはない。

 
 しかし、このホラーミステリー小説は、人間が行なった殺人と、殺された少年の怨念が絡み合った小説なんだけど、怖いのは、怨念の方で、
・殺された少年の眼が、
 自殺をする人間の背中に現れることや、
・滝の下の河原に、
 死んだ人たちの霊が彷徨っていたり、
・「オグロ アラダ ロゴ?
  (おれの からだ どこ?)」
 との言葉が聞こえたり、
すること。

 怖いでしょう?
 この読後感を書いているだけで、鳥肌が立つからね。


 ただ、この小説を読んでいた三度の夜に、この小説に関する夢を見ることは無かったので救われた。
 と言うのも、昔、「安倍晴明」に関する小説を読んだ夜、「金縛り」に遭って魘されたことが有ったので、あんな目には遭いたくなかったからである。


 しかし、昨晩、心臓が苦しくて、仰向け、俯せ、右向き、左向きと、何度も何度も寝返りを続け、
「死ぬかもなあ。」
と思いながら、知らぬ間に寝入ってしまったのは、何だったのかな?


 これからは、ホラー(恐怖・異常)小説や映画などは、読んだり観たりしない方が良いかもね?

 そんなことを言いながら、今、
・著者:道尾秀介
・著作:「龍神の雨」
・特徴:叙述トリックミステリー小説
を半分、読み終えた。
 やっぱり本は面白い!


2016.05.18 読書「背の眼」

 今、怖い本を読んでいる。
 怖いので、昼間にしか読めない。
 だから、いつも書いているような、詳細な読書報告は書けないかも知れない。


 私は、剛胆で強い人間でもないし、かと言って、臆病過ぎる人間でもない。
 普通の人間である。
 だから、必要以上に強がるつもりも無いし、怖い物なんか無いと格好を付けるつもりも無い。


 しかし、
・「霊」と言う物や死後の世界、
 と言う心霊的なことも有り得ると考える人間だし、
・異次元の世界や時間移動、超能力、宇宙人などの
 科学的なことも有り得ると考える人間、
でもある。

 何せ、しゅっちゅう、人が死んだりする時に予知夢や夢枕などを感じるかみさんが横に居るので、信じないわけにはいかないんわ


 そんなわけで、ホラー小説を読んだりホラー映画を観たりした夜に、怖い悪夢を観たりするので、困るんだよね。
 だから、今、読んでいる本も、昼間にだけ読んでいるのである。

 その本は、
・著者:道尾秀介、
・作品:「背の眼」、
・発行:2005年1月、
・受賞:第5回ホラーサスペンス大賞特別賞、
・特徴:ホラー(恐怖)&サスペンス(不安や緊張)をかき立てる、
と言うものである。



 因みに、大まかな紹介をしておくと。

<殺人事件>
・福島県の白峠村で、
 少年が殺され、首だけが発見される。

・その後、3人の少年が行方不明となり、
 まだ発見されない状況が続いている。


<背の眼>
・その白峠村に旅行に来た人や、
 隣町に住む人の中で、
 自殺者が続く。

・その自殺者には、自殺する前に、
 背中に眼が現れ、
 その眼は、殺された少年の眼ではないかと
 思われる。


 その怪異を、霊現象を探求している「真備庄介」と作家「道尾秀介」が、「真備霊現象探求所」の事務員「北見凛」と共に追求していくと言う流れだ。
 ああ、この粗筋を書いているだけで、心臓の調子が悪くなる。
 今晩、悪夢を観ないと良いのだが。(汗)


「えっ、そんなに怖いなら、
 本を読まなきゃ良いのに。」
ですって。

 確かに。
 でも、読み始めたので、途中で止めるのもなあ・・・・・・・・・。


2016.05.05 アヒルと鴨のコインロッカー

 まるっきり訳の分からない題名の小説を読んだ。
 それが、
・著者:伊坂幸太郎(いさかこうたろう)、
・著書:「アヒルと鴨のコインロッカー」
・発行:2003年11月、
・特徴:叙述トリックミステリー小説、
である。


 この小説の特徴として、「叙述トリックミステリー小説」と書いたとおり、後半で「どんでん返し」が有るのだが、正直言って、私は、全く叙述トリックに気付かなかった。
 それほど、上手に書かれていた。


 また、この小説は映画化されて、行き付けの図書館の職員さんは、
「私、あの映画の雰囲気は好きです。」
と言っていたが、私は映画を観ていないし、この小説も初めて読んだので、最初は、
「よく分からん。読み難い小説やなあ。」
と思ったほどだ。


 しかし、読み終えた今は、
「この作者、やるなあ。」
「それで、題名が、
  ”アヒルと鴨のコインロッカー”
 なのか。深いと言えば深いなあ。」
と感心しているのである。



 と、前書きが長くなったが、いつものように前書きを。
















 以上が、「アヒルと鴨のコインロッカー」の、ネタバレまでの流れである。
 如何でしたか?
 興味を持って読んでいただけましたか?


 それでは、最後の展開はネタバレで書きます。
 ただし、いつものように完全なネタバレなので、覚悟して読んでください。
 これから、この小説や映画を読んだり観たりしようと思う方は、自己責任でお願いします。


 「アヒルと鴨のコインロッカー」ネタバレへのリンク



2016.04.27 鏡の中は日曜日

 福井県出身などの断片的なこと以外は、あまり表面に出て来ない「覆面作家」。
 1999年に「ハサミ男」でデビューすると、その作品で第13回メフィスト賞を受賞し、その才能は高く高く評価されてた。
 しかし、2013年に49歳で死亡した作家。
 その作家の小説を読んだ。


 その作品は、
・著者:殊能将之(しゅのうまさゆき)、
・著作:「鏡の中は日曜日」
・発刊:2001年、
・特徴:叙述トリックミステリー小説
である。

 では、最初に、粗筋を書いておこう。
 なお、この小説は、現在、過去、現在、過去、・・・・・・・と交互に書かれているが、それをそのまま纏めると、凄く煩雑なことになるので、私は、
1)最初に、過去の事件の様子を、
2)次に、現在の謎解きの様子を、
3)最後に、ネタバレを、
書こうと思う。










 



 以上が、小説の3/4までの粗筋である。
 勿論、これで話が終わるわけはなく、大きなどんでん返しが待っているのである。


 それは、次のネタバレのページでどうぞ。
 但し、完全なネタバレなので、覚悟してお読みください。



「鏡の中は日曜日」のネタバレ


2016.03.31「片眼の猿」

 久し振りに、読書報告を書こう。

 と言っても、ずーっと本を読まなかったわけではなく、直木賞選考委員の北方謙三が
「20年に1度の傑作」
と称賛した、
・著者:東山彰良(ひがしやま・あきら)、
・作品:「流(りゅう)」
も読み続けながらの報告である。


 さて、その本は、
・著者:道尾 秀介、
・著作:「片目の猿」、
・刊行:2007年、
・受賞:無し
・特徴:叙述トリックミステリー小説?
である。


 では、いつものように、粗筋を。








 皆さんは、この逸話の意味するところが分かりましたか?
 このことも含めて、次のネタバレを読んでください。

「片眼の猿」のネタバレ


2016.03.16 「仮面山荘殺人事件」

 「叙述トリックミステリー小説」の定番と言われる物は、殆ど読み終えてしまった。
 そんなわけで、
「これからは、どんな本を読もうかな?」
と思っていたら、世の中にはこだわりの人が居るもので、インターネットで「叙述トリックミステリー小説」を50冊も紹介してくれているではないか。
 で、その中から、順次読んでいくことにした。


 それが、日記の表題の、
・著者:東野圭吾、
・著書:「仮面山荘殺人事件」、
・刊行:1990年、
・特徴:叙述トリックミステリー小説と言えるのかな?
である。


 因みに、日本でも有数の、人気作家であり、多作作家でもあり、その作品が映画化されることも多い「東野圭吾(ひがしのけいご)」。
 文学賞の受賞も多く、
・1985年: 「放課後」 第31回江戸川乱歩賞受賞
・1999年:「秘密」 第52回日本推理作家協会賞(長編部門)受賞
・2006年: 「容疑者Xの献身」 
        第134回直木三十五賞受賞
        第3回本屋大賞4位
        第6回本格ミステリ大賞(小説部門)受賞
・2008年:「『流星の絆」 第43回新風賞受賞
・2012年:「ナミヤ雑貨店の奇蹟」 第7回中央公論文芸賞受賞
・2013年:「夢幻花」 第26回柴田錬三郎賞受賞
・2014年:「祈りの幕が下りる時」 第48回吉川英治文学賞受賞
などなどを受賞してきたし、「このミステリーがすごい」「本屋大賞」などのコンクールでも、上位に入賞している作家だ。


 では、いつものように粗筋を紹介しよう。

<朋美との出会い>
・「樫間高之」は、小さいながらもビデオ制作会社を経営。
・車で移動中、無謀運転していた「森崎朋美」の車に追突され、
 「朋美」のスポーツカーは電話ボックスを壊し電柱で停止。
・「高之」の身体的被害は少なかったが、「朋美」は左足首から切断。
・義理で一度だけお見舞いに行った時、
 バレリーナーを目指していた「朋美」は、
 左足首を失い、踊れなくなった絶望から、
 果物ナイフで手首を切って自殺を図ってたが、
 「高之」が看護士を呼び、救出。
・「朋美」の父は森崎製薬の社長で、
 感謝の気持ちから「高之」の会社に仕事を回し、
 「高之」の会社は順調に伸びて行く。
・自殺失敗後の「朋美」が心配になって、
 見舞いに行った「高之」に、
 「朋美」が好意を持ち、「高之」も「朋美」に惹かれ、
 交際に発展。婚約する。


<朋美の死>
・「朋美」は、結婚式を、父親の別荘の近くに有る、
 小さな教会でこぢんまりと行なうことを希望。
・そして、打ち合わせや準備の為に教会に通う中で、
 結婚式を一週間前に控えた時に、
 山道でハンドル操作を誤って、
 ガードレールを突き破って転落し死亡した。
・「高之」は、式の準備を「朋美」に任せっ切りだったので、
 「朋美」が疲労で事故に遭ったのかも知れないと、両親に詫びる。


<仮面山荘に集(つど)う>
・森崎家は、夏の数日間を、別荘で避暑することが慣例で、
 「朋美」が亡くなってからも家族的付き合いの有った「高之」も、
 父の「信彦」から誘われ参加する。
・玄関のドアの上に、木彫りの仮面が取り付けられており、
 「高之」は、不吉な予感を感じた。
・仮面山荘には、
  1)「朋美」の父「森崎信彦」、
  2)「朋美」の母「厚子」、
  3)「朋美」の兄の「利明」、
  4)「朋美」の従姉妹の「篠 雪絵」、
  5)「雪絵」の父の主治医で、
    「雪絵」を狙っている「木戸信夫」、
  6)「朋美」の親友だった「阿川桂子」、
  7)「信彦」の秘書の「下条玲子」、
  8)「高之」
 の8人が集った。


<雪絵の高之への想い>
・「朋美」と「雪絵」は、姉妹のように育ち、
 「どちらかに恋人が出来たら、クリスマスの夜に紹介し合う。」
 約束をしており、「朋美」が「高之」に「雪絵」を会わせる。
・「雪絵」は、名前のとおり雪のように色白の慎ましやかな女性で、
 誰もが好意を抱いてしまうような女性だった。
・「高之」は、学習塾を経営している「雪絵」の父親に頼まれ、
 学習塾のPRビデオを作成することになったが、
 その打ち合わせの度に、「雪絵」も同席し、親しくなる。
・そして、「朋美」と「高之」の結婚式の二ヶ月前、
 バレンタインデーの翌日に、「雪絵」が「高之」を訪ねて来て、
 「もう2人と一緒に遊んだりしません。断ち切りたいたいから。」
 「朋美を悲しませたり裏切ったりしないでくださいね。」
 と言い、
 「私の作った物です。食べてください。」
 とプレゼントを渡し、去って行った。
・「高之」が家に帰って開けてみると、チョコレートが入っていて、
 メッセージには、
 「バレンタインには遅すぎました。」
 と書かれていて、「高之」は「雪絵」の自分への気持ちに気付く。


<朋美の死への疑念>
・夕食後、ポーカーを楽しんでいる中で、
 「朋美」の親友だった「阿川桂子」が、
 「足首を失った事故以来、
  朋美は、車の運転に慎重過ぎるくらい慎重だった。
  だから、朋美が事故を起こすはずがない。
  朋美は、誰かに殺されたに違いない。」
 と言い出す。
・それに対して、
 「目撃者の証言では、
  朋美はブレーキも踏まずガードレールにぶつかったらしいから、
  結婚式の準備などで疲れて、居眠り運転になったのだろう。」
 と他の者が言うのに対して、「阿川桂子」は、
 「誰か、朋美に近しい人間が、睡眠薬を入れた可能性が有る。」
 と反論。
・「伸彦」が強制的にこの話を打ち切り、解散となった。
・夕食では、「雪絵」を狙っている「木戸」が「雪絵」に密着するが、
 「雪絵」は「高之」に、
 「城戸さんを、どうしても恋愛や結婚の対象に考えられない。」
 と明かす。


<侵入者>
・山荘に警察官がやって来て、
 「不審者を見付けたら、連絡してほしい。」
 と言って帰る。
・「朋美」の死についての話の所為で眠れない「高之」の部屋を、
 朝の4時頃に「雪絵」が訪ねて来て、
 「階下で変な音がする。」
 と言うので2人で降りて行くと、
  ピストルを持った「ジン」と呼ばれる小男と、
  ライフルを持った「タグ」と呼ばれる大男が居て、
 全員が広間に集められる。
・日本人離れした顔の侵入者は、
 「二週間前からこの別荘を調査し、合い鍵も作り、
  ここで、明日の夜に来る仲間フジを待つ予定だったのに、
  予定外にお前たちが来てしまったので、監禁する。」
 と言う。
・「フジ」と言う名の人間は銀行員で、2人を手引きし、
 「ジン」と「タグ」が銀行強盗をして逃走中なのだ。


<朋美の死因の再燃>
・監禁されている異常な状況の中で、
 「朋美」の死に関する議論が再燃。
 侵入者の「ジン」と「タグ」も関心を持つ。
・「阿川桂子」が、
 「朋美は生理痛が酷くて、ペンダント型のピルケースに、
  鎮痛剤を入れて持ち運び、飲んでいた。
  だから、誰かが鎮痛剤そっくりの睡眠薬に入れ替えて、
  朋美が気付かずに飲んで、居眠り運転になった可能性が有る。」
 と主張。
・ところが、母「厚子」が、
 「ピルケースには、2錠とも鎮痛剤が残っていたので、
  朋美は、あの日、鎮痛剤を飲んでいない。
  だから、誰かが睡眠薬に入れ替えてても飲んでいないはず。」
 と言う。
・確かに、「高之」が遺品を見せてもらった時も、
 ピルケースの中には、鎮痛剤が2錠とも入っていたのを思い出した。
・ところが、「阿川桂子」は、
 「それには裏が有るはず。」
 と言い掛けるが、「信彦」が抑える。


<脱出の努力>
・「高之」たちは、何とか2人組の目を盗んで脱出や
 外部との連絡を取ろうとする。
・先ず、秘書「下条玲子」の車が半ドアですよと、
 立ち寄った警察官に教えられた時、
 2人組に、
 「警察官に疑われるようなことをしたらみんなを殺す。」
 と言われ、何も出来ず車のドアを閉めて帰る途中、
 ドアの前の土に「SOS」と足で書いて別荘に入る。
 しかし、誰かが、隙を見て、窓からホースを伸ばし、
 水で「SOS」を消してしまう。
・また、「朋美」の兄「利明」が、
 「洗面所のコンセントをタイマーでショートさせ停電させ、
  みんなには事前に連絡しておいて、脱出しよう。」
 と細工するが、そのタイマーも誰かが壊してしまった。
・2人組ではない、別荘に集まった誰かが、
 わざとに別荘から誰も出られないように仕向けているのだ。


<雪絵の死>
・今晩「フジ」も別荘に来て、明日は3人が出て行くと言う夜、
 夕食を食べた「タグ」が爆睡する。
 誰かが、「タグ」の食事に睡眠薬を入れたらしい。
・一人で全員を監視出来なくなった「ジン」が、
 人質全員を2階の各部屋に入れ、鍵を掛け、
 母「厚子」だけを近くに居させ、
 広間から見える各部屋の入り口を見張る方法を採る。
・そんな中、「高之」らは、久し振りに熟睡する。
・朝、「タグ」も目覚め、1階の広間にみんなが降りて来たが、
 「雪絵」だけが降りて来ない。
・鍵の掛かったドアを「タグ」が体当たりで開けて見ると、
 「雪絵」の背中にナイフが刺さっていて、
 医師である「木戸」が、「雪絵」の死亡を確認する。


<雪絵殺害の動機>
・誰が、何の動機で「雪絵」を殺したのか?
 動機について、「朋美」の親友だった「阿川桂子」が、
 「朋美に睡眠薬を飲ませ、居眠り事故を起こさせ、
  殺害したのは雪絵さんで、朋美を殺害した理由は、
  雪絵さんは高之さんに恋をして、高之さんと結ばれるのに
  邪魔な朋美を殺したのだ。」
 と主張する。
・みんなに、「雪絵」のことを確かめられた「高之」は、
 「雪絵さんが僕のことを嫌いでないと感じたことは、
  何度か有ります。」
 と証言。
・加えて、
 「雪絵さんがどう考えていたとしても、
  僕と朋美さんの関係は変わらなかったと思います。」
 と証言した。


<強盗犯との交渉>
・全員が、シーツを切り裂いて作ったロープで縛られ、
 第3の強盗犯「フジ」も到着。
 「フジ」は、
  「ガソリンをまき散らし、全員を焼死させる。」
 と言う。
・それに対して、「信彦」が、
 「3人のことは、警察に嘘を付いて誤魔化すから、
  雪絵さんの死体を人質に持って行ってくれ。
  そうすれば、私たちも、
  自分たちの中から殺人犯を出さずに済むし、
  代わりに、君たちのことは喋れなくなるから。」
 と提案する。
・それに対して、3人組は、
 「犯人が誰かが分かれば、弱みを握ることになるから、
  それをはっきりさせれば、命を助けないわけでもない。
  一時間をやるから、はっきりさせろ。」
 と言う。
・そこで、改めて、「雪絵」殺しの犯人探しを、みんなで始める。


<犯人の判明>
・「信彦」の秘書である「下条玲子」が、
 「私が足で書いたSOSを水道のホースで消したり、
  電気をショートさせるタイマーを壊したりすることが出来たのは、
  社長だけです。
  また、奥様の睡眠薬をタグの飲み物に混ぜて飲ませ、
  タグを爆睡させ、監視役をジン一人にすることが出来たのも、
  社長だけです。」
 と言う。
・それに対して、「信彦」は、
 「朋美は事故死だと思っている私が、
  何で雪絵さんを殺さなきゃならないんだ。」
 と反論。
・それに対して、「下条玲子」は、
 「社長は、朋美さんを事故死させたのが雪絵さんだと、
  知っておられたはずです。」
 「事故後、朋美さんの遺品のピルケースを受け取った時、
  朋美さんが飲まれてたので何も入ってなかったのに、
  雪絵さんに渡した後、何故か鎮痛剤が入っていました。」
  これは、「雪絵」さんが、いつもの鎮痛剤を入れておけば、
  朋美さんは鎮痛剤を飲んでなかったと言うことになり、
  雪絵さんが鎮痛剤と睡眠薬を入れ替えて飲ませたとばれない、
  ようにしたのです。
  社長はそれに気付き、雪絵さんを殺害したのです。」
 と言った。
・それを聞いた「信彦」は、いつの間にか足首のロープを解いていて、
 ベランダに走り、別荘の直ぐ横に広がる湖に飛び込む。
 慌ててベランダに駆け付けたジンが確認していたが、
 手首を後で縛られていた「信彦」は、水面に姿を見せることは無かった。


 以上が、主な粗筋である。

 頑張って書きましたが、最後までの御精読、有り難うございました。
 分かり易く書いてあったでしょう?(笑)

 とは言っても、これで、この小説は終わりではありません。
 最後に、大どんでん返しが待っているのです。


 それは、別ページで書いていますので、読んでください。
 ただ、いつものように、完全なネタバレなので、結論は自分で読みたいと思われる方は、決して読まないでください。
 ではでは、次のリンクをクリックしてください。

「仮面山荘殺人事件」のネタバレ


2016.03.03 「この光と闇」

「何や、この小説。辛気くさいなあ。
 借りるんじゃなかった。」
と、読み始めて感じてしまった。

 ところが、後半になると、全く別の方向の話になって、
「こりゃあ、最後まで読まなくっちゃ!」
と言う気持ちになってしまった。
 そう言う意味では、この小説も「叙述トリック」を使ったミステリー小説と言えるだろう。

 なお、この作家は、肺ガンを患い58歳で亡くなっている。


 その小説が、
・著者:服部まゆみ、
・著書:「この闇と光」、
・受賞:直木賞候補、
・特徴:叙述トリックミステリー小説
である。


 では、いつものように、粗筋を紹介しよう。

<レイアの状況>
・どこの国かは分からないが、
 5歳になる「レイア姫」は、
 森の中の別荘の2階に幽閉されていて、
 「1階に降りると怖い兵士が居て殺されるから、
  決して2階から降りてはいけない。」
 と制約を受け、触れ合えるのは、
  国王である「父」と、
  世話をしてくれる女侍従の「ダフネ」
 だけである。

・と言うのも、3歳の時に外国兵が侵略してきて、
  逃げる途中に母は亡くなり、
  国王である「父」は別荘に閉じ込められ、
  国内の反乱分子を抑える役目を強いられている。
 からである。
 そして、「レイア」も目を負傷し失明してしまったのである。

・目の見えない「レイア」が手探りで出来る行動範囲は、
 寝室と隣の食堂とバスルームだけで、
 1階には他国の「兵士」がいて、
 目の見えない女は魔女と思われているので、
 1階に降りたら殺されると教えられているのだ。


<侍女ダフネ>
・侍女の「ダフネ」は、
 沈丁花(じんちょうげ)と言う名の花と
 同じ臭いのする強い香水を付けているので、
 「」ダフネ」が居たり側に来たりすると直ぐに分かる
・「ダフネ」は、とても厳しくて、意地悪で、
 「レイア」が泣くと、
 「お黙り! 五月蠅い! 殺してやる!」
 「国王の重荷になるだけだから、殺せば良いのに。」
 などと、国王に見えない所で「レイア」を脅したり、
 足を蹴ったり叩いたり壁に押し付けたりする。

・そんな「ダフネ」が怖くて、
 脅される度に泣いたり、「父」に訴えたりする。
・「父」は、「レイア」のことを、
  「光の娘」「花のように綺麗」
 と言ってくれ、優しく愛し、守ってくれる。る。
・「レイア」の唯一の友達は、
 くまのぬいぐるみの「プゥ」だけである。


<レイアの成長>
・4月30日の「レイア」5歳の誕生日に、
 「父」が、犬をプレゼントしてくれ、
 名前は「父」が「ダーク」と名付ける。
 「レイア」にとって友達であり騎士である。

・「レイア」は賢い子で、
 3歳までに見えていた色や物、
 覚えていた2,3個の文字を頼りに、
 色々なことを関連させ、記憶していく。

・そんな「レイア」を助ける為に、
 「父」は、色々な支援をする。
・新しい物語を朗読してくれたり、
 いつでも聞けるように、カセットテープに、
 「赤頭巾」や「白雪姫」などの物語を録音したり、
 してくれるので、繰り返し聞いて覚えてしまう。

・文字も、木札に盛り上がった文字を触り、
 形を覚え、書いたり読んだり出来るようになる。
・目が見えない「レイア」が文字を書く練習をするのを観て、
 「ダフネ」はバカバカしいと笑うが、
 外国人の「ダフネ」は、言葉を話せても
 「レイア」たちの国の文字は読めないので、
 「だふねのばか」と書いたりして
 2人で笑い転げたりするし、
 「父」は、
 「レイアは、本当に賢い子だ。」
 と褒めてくれる。

・5歳の夏には、
 簡単な文字はすらすら書けるようになり、
 「ラプンツェル」などの物語も読めるようになる。

・6歳の頃には、
 時間や距離の概念を理解出来るようになり、
 ピアノで「トルコ行進曲」も弾けるようになる。
 「小公子」「小公女」も読む。
 「シベリウス」の協奏曲演奏を聴いたりもする。

・何故か1階に居る外国の「兵士」が食事を運んで来て、
 「兵士」が喋る言葉が英語だと「父」に教えられ、
 それを契機に、英語の学習も始める。

・12歳の頃には、
 「嵐が丘」の内容を、善や悪について語るなど、
 高度なレベルで理解出来るほど精神的にも成長する。

・13歳の頃、
 髪の毛がお尻に届くまで伸び、
 入浴も一人で出来るし、
 CDも自分で掛けることが出来るようになったし、
 ピアノは30曲も弾けるようになったし、
 食事の準備や片付けも手伝えるようになった。

・「父」が「デミアン」という本を読んでくれ、夢中になる。
 また、「夏目漱石」の「草枕」も。
 そして、「罪と罰」の朗読テープも買ってくれ、
 知識を伸ばしていく。


<異常な出来事>
・夜、夢で「父」と接吻をする夢を見る。
 そして、下腹が熱くなる。
・朝起きた時、下着が濡れているのを「父」に伝えたら、
 「父」は、
 「レイア、生理になったんだよ。
  病気でも何でもない。大丈夫。」
 と慰めてくれる。

・「父」が、初めて、
 ズボンと綿のシャツ、硬くがっしりした靴を買って来てくれた。
 そして、その日の「父」は、何処かいつもと違った。

・9月14日。
 「レイア」がこの別荘に来てから9年が経った朝、
 「ダフネ」が起こしに来て、
 「暴動が起きたから逃げる。」
 と言う。
・ズボンとシャツ、靴に履き替えてて、
 腰まで有った長い髪の毛が無いのに気付く。
 「ダフネ」が、
 「寝てる間に切ったのよ。鬱陶しいから。」
 と言う。
・そして、降りてはいけない階段を下り、
 車に乗せられ、城下に連れて行かれる。


<捕まる>
・「ダフネ」に連れられ、
 行き交う車の音や人々の声を聞きながら、
 長い時間歩いて、静かな場所に着く。
・そこは、石柱の立つ石の板に囲まれた
 狭い場所だった。

・「ダフネ」は、飲み物と食べ物を渡し、
 「ここに居れば大丈夫。
  一時間ほどしたら、父親が来てくれる。」
 と言う。

・そこで待っていると、大勢の人間がやって来て、
 逃げようとするが、捕まってしまった。
 「ダフネに騙されたのだ。
  私は、敵の手に落ちた。」


 以上が、前半の粗筋である。
 ひたすら、「レイア」の成長の様子が、「父」と「ダフネ」の関わりのなどと共に書かれているのである。
 だから、或る意味「辛気くさい」物語である。


 しかし、後半は、
「何じゃあ、これ???」
と言いたいような大どんでん返しの展開になってくる。
 それが、このミステリー小説の値打ちであろう。


 しかし、それを書くことは、完全なネタバレをすることになる。

 でも、
「読んでみたい。」
と思われる方は、どうぞ。


2016.02.18 弁護側の証人

 読み続けている「叙述式トリックミステリー小説」も、有名な物は殆ど読み終えてしまい、
「これから何を読もうか?」
と不安になる。
 と言うのも、「叙述トリックミステリー小説」ばかり読んでいると、普通のミステリー小説では物足りなくなりそうだからである。

 それはさておき、その「叙述トリックミステリー小説」の名作と言われている本を、県立図書館から取り寄せてもらった。
 これは返す期日を守らなきゃならないので、半日で読み終えた。


 その本は、
・著者:小泉 喜美子(こいずみ きみこ)、
・著作:「弁護側の証人」
・発刊:1963年、
・特徴:叙述トリックミステリー小説
である。

 因みに、筆者は、
・職場結婚、離婚、再婚、離婚を繰り返し、
 平凡でない人生を歩み、
・1985年に新宿の酒場の階段から転落し、脳挫傷で死亡、
・文筆活動25年間、享年51歳、
と言う人生を送った人である。

 さて、いつものように、粗筋を紹介しよう。

・ヌード・ダンサー(ストリッパー)の
 「ミミイ・ローイ」こと「漣子(なみこ)」は、
・莫大な資産を持つ八島産業の御曹司「八島杉彦」に、
 会って間も無いのに求婚され、
・結婚し、御曹司の嫁「八島漣子」となる。


・ところが、「杉彦」は、
 働きもしない浪費家の道楽者で、
 父親の怒りを買っている存在で、
・肉親なども、ヌード・ダンサーとの結婚に猛反対し、
 2人の結婚式には「漣子」の元同僚の「エダ・月岡」だけが出席
 と言うような状況だった。


・八島家に嫁いだ「漣子」は、
 女中たちや運転手たち従業員の注目を浴びながら、
 慣れない生活に戸惑っていた。
・また、「杉彦」の父「八島龍之介」との初会見で、
 「龍之介」に啖呵(たんか)を切ってしまうなど、
 失敗もして、「龍之介」との関係修復に悩む。
・「龍之介」はリュウマチを病んでいて、頑固で怒りっぽく、
 離れに閉じこもっていて、「漣子」は近づくことも出来ない。
・離れには鍵がかかっており、勝手に入ることも出来ず、
 鍵は女中頭の「志瀬」が預かって、定まった場所に仕舞ってあるが、
 八島家の嫁として認めてもらっていない「漣子」は、
 鍵の仕舞い場所も教えてもらえないほどだ。


・6月の日曜日、
 顧問弁護士の「由木卓平」が、
 「龍之介」の遺言状作成で呼び出され、屋敷に来た。
・加えて、「杉彦」の姉「洛子」と、
 その夫で八島産業専務の「飛騨則秋」も来る。
・さらに、飛騨家の親族の「美紗子」も来る。
 「美沙子」はみんなが「杉彦」と結婚させたい女性だった。


・姉夫婦と「杉彦」は、離れに行き、
 「龍之介」と財産相続の件で話し合うが、
 良い話し合いにはならなかったようで、
 夕食の時、話し合いの結果が公表されたが、
 「杉彦と漣子の結婚を認めるかわりに、
  杉彦に、会社と家を出ていけ。」
 と言う厳しい言葉だったらしく、
 腹を立てた「杉彦」は、
 「どうしても出ていけと言うなら、
  ぼくはおやじを殺してやる」
 と言い、姉の洛子は、
 「殺したらいい。
  うまく処理して遺産を山分けにしよう。」
 と言うほどだった。


・この話を聞いて、「漣子」は、
 「家を出て、私も働く。」
 などと言うが、途中で気を失って倒れてしまう。
・「蓮子」は、数日前から吐き気がしていたが、
 実は妊娠していたのだ。
・大喜びした「杉彦」は、
 「赤ん坊のことを含めて、
  もう一度おやじに頼んでみる。」
 と言う。


・目を覚ました「蓮子」が時計を見たら0時3分。
 隣で夫がぐっすり眠っているが、
 離れにまだ明かりがついている。
・話し合いはどうなったのか気になった「蓮子」は、
 階下に降り、応接間を通り抜ける時に、
 眠っていたお抱え医師の「竹河」を起こしてしまう。
・「竹河」は、
 「漣子の妊娠は4カ月目に入っているが、
  杉彦と出会ったのは2カ月前なので、
  お腹の子は杉彦の子ではないだろう。
  その秘密を黙ってやるから、抱かせろ。」
 と迫る。


・「竹河」医師に身体を与える約束をし、逃れた「漣子」は、
 「龍之介」に直接会って話をしようと離れに向かい、
 頭から血を流しうつぶせに倒れる「龍之介」を発見。
 「杉彦」が殺したと思った漣子は、
 凶器の文鎮の血と指紋を拭ったりの証拠隠滅を図り、
 ハンカチは、紫陽花の挿してあった花瓶に隠した。


・この殺人事件を捜査に来た「緒方」警部補は、
 現場の状況や関係者の証言から、犯人を特定。
・結果、裁判でも、全ての関係者が、
 その容疑者に不利な証言をし、容疑者は有罪となり、
 死刑の判決を受ける。


・そして、冒頭の刑務所での2人の面会となり、
 「蓮子」は、「杉彦」に、
 「諦めるのは早いわ。まだ控訴もあるわ。上告だって。」
 と励ます。
・その「蓮子」の元に、元同僚のダンサー「エダ・月岡」が、
 「清家洋太郎」と言う、見掛けはだらしない弁護士を連れて来る。
・「清家」弁護士は、「蓮子」と捜査主任だった「緒方」警部補を会わせ、
 隠された殺人事件の真相を暴いていく。



 では、犯人は誰で、どんな陰謀が隠されていたのか?
 このミステリー小説の神髄です。
 それでは、いつものように別のページで「ネタバレ」させていきますが、これからこの本を読もうと思っている方は、「ネタバレ」を読まれないように忠告します。


 逆に、「ネタバレ」も読んでやろうと思ってくださる方は、次のページでどうぞ。

ミステリー小説「弁護側の証人」ネタバレ


2016.02.17 本買い取りの査定結果



 何度も書いて申し訳ないが、私、「終活」を行なっており、その1つとして、蔵書の処分を行なっている。
 恐らく、私の持っていた本を有り難く引き継いで読んでくれる者は、私の肉親、親戚には居ないだろうから、今の内に処分しておくのである。


 ただ、廃品回収とかに出すのは勿体無いので、
・誰かに上げるか、
・近くの公共施設に寄付するか、
・買い取り業者に買ってもらうか、
を考えた。


 そんなわけで、以前にも書いたが、
・ブックオフの店舗に持ち込もうとしたが、
 閉店していて売り損ねたり、
・児童幼児向きの本は、内孫が貰ってくれたり、
・試しに、「バリューブックス」と言う名の、
 買い取り業者に送ったり、
した。


 その中で、
「申し訳なかった。」
と思うのは、「バリューブックス」だ。
 と言うのも、試しに送ったコミック11冊の査定が167円と安かったので、返送してもらったのだが、有り難いことに、返送料金も「バリューブックス」が持ってくれたのである。


 そして、返って来た物も含めて、改めてブックオフに送った。
 その時、
「ブックオフならより良い査定をしてくれるだろう。
 それに、20%アップのキャンペーン中だし。」
と思い込み、
「お任せ査定とお任せ振り込み」
を選択しておいた。
 これは、査定結果を確認しないで、結果が良かろうが悪かろうが買い取ってもらい、値段の付かなかった物も処分お任せと言うものである。

 と言うのも、ブックオフでは、本を送る時の送料はブックオフ持ちだが、査定結果に納得出来ない時は、送料私持ちで返送してもらうことになるので、そんな無駄なことをするのも嫌だったので、お任せ査定にしたのだ。


 で、査定結果は、ブックオフのホームページで「マイブックオフ」にログインすると見ることが出来るように成っているのだが、それが写真の査定結果だ。
 確認すると、
・送った本やコミックは、201冊で、
・買い取り金額が付いたのは、116冊で631円、
・金額が付かなかったのは、85冊、
と言うことだ。


 えーっと、631円÷116冊=5円44銭で、1冊5円ちょっとだ。
 う〜〜〜〜〜ん。
「安っ!!!!!!!」

 こんなことなら、「バリューブックス」に買ってもらえば良かった。
「バリューブックスさん、ご免なさい。
 今度は、貴店にお願いしますからね。」


2016.02.10 倒錯のロンド

 県立図書館から取り寄せてもらった2冊の叙述トリックミステリー小説の、1冊は読み終えて、行き付けの図書館に返した。

 もう1冊も返す期日を守らなきゃならないので、そろそろ読まなきゃならない。
 と言うことで、半日で読み終えた。


 その本は、
・著者:折原一(おりはらいち)、
・著作:「倒錯のロンド」
・発刊:1989年、
・特徴:叙述トリックミステリー小説
である。

 因みに、
・「倒錯」とは、
 1)逆になること、ひっくり返ること。
 2)精神や倫理観の異常によって、反社会的、反道徳的行動をすること。
・「ロンド」とは、
 1)同じメロディが繰り返し出て来る曲。
 2)多くの踊り手が、輪になって踊ること。
である。

 さて、いつものように、粗筋を紹介しよう。

・「山本安雄」は、出版社に5年間勤めた後、退職し、
 推理小説家を志し、その年に、
 「幻の女」と言う題名の作品を書き上げ、
 「月刊推理新人賞」に応募したが、一次予選で落ちて、
 以来、5年になる。
・そして、今年も、第20回月間推理新人賞に応募する為、
 「幻の女」を書き直し、自信作として仕上げた。


・友人の「城戸」に読んでもらったところ、「城戸」は、
 「素晴らしい出来だが、字が汚すぎて、
  審査員の印象が悪くなる。
  おれがワープロで清書してやる。」
 と言ってくれたので、「山本」は「城戸」に原稿を預けた。


・が、「城戸」は、清書完成品と生原稿を電車に置き忘れ、
 「永島一郎」が拾ってしまう。
・最初は本人に返してやろうと思った「永島」だが、
 作品を読んでその素晴らしさと、賞金1千万円に惹かれ、
 行きずりの女が提案してくれた「白鳥翔」の名前で、
 「月刊推理新人賞」に応募してしまう。
・そして、原作者の「山本安雄」が、
 「作品が盗まれ、本当の作者は自分だ。」
 と訴え出てこないように殺すことに決め、
 原稿を持っていた「城戸」を「山本」と勘違いして、
 「城戸」を、小説と同じ方法で殺してしまう。
・ところが、新聞で、
 「城戸明さんが溺死した件について、警察は、
  城戸さんに小説の原稿を無くされた知人を、
  参考人として事情聴取している。」
 と書かれていることを知った「永島」は、
 自分が「山本安雄」を殺すつもりで別人を殺したと知り、
 「山本安雄」も殺そうと企む。

 
・「山本安雄」は、
 記憶を辿って小説「幻の女」を書き直し完成させ、
 「永島」の襲撃を受けて重傷を負いながら、
 何とか郵便局に届け、締め切りに間に合わせる。


・結果、
 「永島」の応募した「幻の女」と、
 「山本安雄」の応募した「幻の女」の、
 2つの「幻の女」が、「月刊推理社」に届くことになった。
・そして、第20回月刊推理新人賞は「白鳥翔」が受賞し、
 賞金1千万円と印税などを手に入れ、ファンも増え、
 元女性ファンの「立花宏美」と婚約し、
 高級マンションに住み、優雅に暮らしていた。


・自分の作品を盗作された「山本安雄」は、
 盗作者「白鳥翔」を陥れる為、
 執拗なイタズラ電話や週刊誌への投書などで「白鳥翔」を苦しめ、
 「白鳥」はノイローゼに陥る。
・「白鳥」のマンションに中傷ビラを配った帰り、
 「山本」はホームで突き飛ばされ線路に落ち、
 もう少しで電車に轢かれるところだったが、
 奇跡的に命を救われる。
・今度は「立花宏美」を使って「白鳥」を追いつめようと考え、
 「山本」は、「立花宏美」のマンションを訪れるが、
 「立花宏美」は殺されていた。
・それを見た「山本」は、「立花宏美」を浴槽に沈め、
 駆け付けた「白鳥」を殴り倒し、浴槽の横に運び、
 警察に電話し、「白鳥」を「立花宏美」殺しの犯人として
 逮捕させる。


・復讐を成し遂げた「山本安雄」は、
 「立花宏美」が捨てた「白鳥翔」のマンションの鍵を使い、
 警察に捕らわれている「白鳥」の部屋に侵入し、
 快適な環境の中で、新たな小説作りに没頭する。
 その筋書きは、
  第一部 白鳥翔の盗作。
  第二部 実作者の復讐と白鳥翔の錯乱、殺人。
 である。
・その作品を完成させ、「盗作の進行」と名付け、
 月刊推理新人賞に応募しようとしていた「山本安雄」は、
 「白鳥」のマンションで、何者かに襲われる。
・その犯人を見た「山本安雄」は、驚く。


 以下は、完全なネタバレになるので、今後、この小説を読むかも知れない人の為に、書くのを止めます。
 しかし、それ以外の人の為に、例によってネタバレを書いていきますので、読んでください。
 次のページでどうぞ。


「倒錯のロンド」ネタバレ


2016.02.05 ロートレック荘事件

 行き付けの図書館に蔵書として無かったので、県立図書館から取り寄せてもらうよう頼んでいた本が、いきなり2冊一緒に届いた。

 行き付けの図書館で借りた本なら、
「読めなかったので延長してください。」
と頼めば何とかなるが、県立図書館から借りた本なので、返却期間は守らなきゃならない。
 と言うことで、パチスロを打ちにも行かずに、先ず1冊、読んでみることにした。


 さて、その本は、
・著者:筒井康隆(つついやすたか)、
・著作:「ロートレック荘事件」
・発刊:1990年、
・特徴:叙述トリックミステリー小説
である。

 因みに、筒井康隆は、星新一、小松左京と並んで、日本SF作家御三家と呼ばれた作家だが、パロディやドタバタ的な笑いを織り込んだSF作品をたくさん出してきた。
 今回の作品は、SF的要素はまるっきり無い、叙述ミステリー小説だが。
 また、この作家は、小説の中で差別的な表現をしたと言うことで日本てんかん協会から抗議を受け、断筆宣言をしたことも有る。

 さて、例のごとく、先ずはこの小説の粗筋を書こう。

・「重樹」は、事業家の息子として生まれ裕福に育っていたが、
 8歳の時、避暑地北熊沢の別荘の滑り台で遊んでいる時、
 同い年の従兄弟がぶつかってきて落下し、
 コンクリートに基礎に脊髄をぶつけ、損傷し、
 下半身が成長しない身体になり、
 大人になっても身長が1mほどにしかならなかった。
・従兄弟は、責任を感じ、小中高校と重樹に付き添い守ってきたが、
 大学は違う道を進み、
 大学では「工藤忠明」が「重樹」の友人・支援者になった。
・「重樹」は、小さい時から外に出ることが出来難くなった為、
 絵画を好み、成長して高名な美術評論家になったし、
 「工藤」は、大学の準教授を務めるほどに成っていく。


・「重樹」が28歳になった時、父親の貿易会社事業が失敗し、
 北熊沢の別荘を、資産家で事業家の「木内文麿」氏が購入。
 「木内文麿」氏は画家「ロートレック」の作品蒐集に凝って、
 別荘は、「ロートレック荘」と呼ばれるようになった。


・俺や「工藤」は、知人でもある「木内」氏から
 ロートレック荘に宿泊するよう避暑に誘われ出掛ける。
・その別荘には、
  優しく穏やかだが、貧しい生まれの「牧野寛子」、
  「木内」氏の娘で意志と正義感が強い「典子」、
  賑やかで軽薄な裕福な生まれの「立原絵里」、
 の3人の美女たちも待っており、
 その3人の美女がそろって、美男子で世界的画家を慕い、
 「木内」氏も、娘の「典子」が結婚出来るなら、
 金銭的な支援をしても良いと考えていた。
・そんな3人の中でも、俺は心優しい「寛子」に惹かれ、
 肉体関係を持ってしまう。


・ところが、その「寛子」が、翌朝に殺されてしまう。
 凶器は、この別荘を建てたドイツ人が、
 護身用に隠していたモーゼルオートマチック32口径で、
 こんな物が隠されているなんて俺しか知らないはずの物だった。


・警察の捜査や取り調べが続いて疲れ切った夜、
 「典子」が俺の側に来て、
 「貴方が好きです。」
 と告白する。
 しかし、1mしかない身長の所為で、
 今までに何度も女性に傷付けられてきた俺は、
 自己防衛から「典子」の告白を戯けて聞き流し、
 「典子」を悲しませる。


・その翌日、そしてその次、
 「典子」と「立原絵里」が、同じ拳銃で殺害される。
・3人もの若く美しい女性が次々と殺され、マスコミも騒ぎ出した中、
 捜査の中心に居た渡辺警部が、遂に犯人を特定する。
・その犯人と動機に、みんなは息を飲むのである。


 犯人が誰であるか、それが「叙述トリックミステリー小説」たる所以で、ネタバレは、次のページで行ないます。


 でも、これから、この本を読みたい人は、決してネタバレを読まないようにしてくださいね。

ロートレック荘事件のネタバレ


2016.01.31 本の査定結果



 一番近くに有った本などの買い取り業者「ブック・オフ」が閉店してしまったので、インターネットで買い取り業者を探し、宅配便に取りに来てもらい、査定結果に納得出来れば買ってもらうことにした。

 と言うことで、試しに送ったのは、
・コップレックスの固まりの高校1年生が、
 剣道に出会い心身共に成長していくストーリーの
 コミック「しっぷうどとう」が11巻。
・生徒数が5,000人を超える私立明稜高校の
 生徒会長は絶大な権力を持ち、明稜帝と呼ばれ、
 第26代明稜帝を梧桐勢十郎が務めるが・・・と言う
 コミック「明稜帝 梧桐勢十郎」が4巻、
であり、その送料756円は、写真のように「着払いの業者持ち」である。


 その査定結果がメールで届いたのだが、その査定額は何とまあ、
・買い取りが可能なのは「しっぷうどとう」の11巻のみで、
 買い取り額は167円(1冊約15円)。
・「梧桐勢十郎」は、全巻揃ってないので買い取り不可。
だったようだ。
 厳しいな!


 その買い取りショップから、
・査定金額で売るか?
・返送を希望か?
の返事を下さいとのメールが来た。

 私が、
・「売る」と言えば、私の銀行口座に167円が振り込まれ、
・「売らない」と言えば、宅配便送料を業者持ちで、
 送り返してくれる。
ことになっている。
 はて、どうしたものか?


 また、別の業者のホームページを覗いてみたら、ISBN(International Standard Book Number=国際標準図書番号)を入力すると、自動査定してくれる買い取り業者が有ったので、早速試してみた。

 その結果だが、例えば、
・五体不満足10円、
・93歳正造じいちゃんのまんが絵日記5円、
などなど。
 送料が業者持ちになると、どこの業者もこんなものなのかなあ?(涙)


2016.01.29 ブック・オフがショップ・オフ

 1月26日の日記(ブログ)にも書いたが、私は、「終活」を行なっていて、その取り組みの1つとして、蔵書の処分に取り組んでいる。

 と言うことで、今日は、M市に有る「ブック・オフ」に、本を売りに行くことに。
 そして、かみさんに、
「売れた本の代金と私が奢(おご)るから、
 スシローでお昼を食べよう。」
と言って、出掛けた。


 で、「ブック・オフ」目指して走っていったのだが、「ブック・オフ」が見当たらない。
 そこで、カーナビで調べてみたら、カーナビにはちゃんと有るのに見当たらない。
 で、カーナビが示す場所に行ってみたら、何とまあ、宅配便の集配センターになっていた。
 「ブック・オフ」が、「ショップ・オフ」になってしまってたんだよね。


 そんなわけで、お昼の「スシロー」は、まるっきり私の奢りになってしまったではないか。
 まあ、美味しかったので仕方無いけどね。


 そんなわけで、近くに「ブック・オフ」が無くなったので、いよいよ以て、本の処分はインターネット買い取りに出すしか無いことに。
 やれやれ。


2016.01.26 本を売ろう



 以前の日記(ブログ)にも書いたことが有るが、私は今、少しずつ「終活」を行っている。
 因みに、「終活」だが、私のとらえ方は、
「自分が死んだ時の為に、
 ・遺族が後片付けで困らないよう身辺整理をしておくこと、
 ・借金などを残さないこと、
 ・遺産は殆ど無いので骨肉の争いは起きないだろうが、
  それでも揉めないようにしておいてやること、
 などなどしておくこと。」
と考えている。


 その1つが、書籍の処分である。
 小さな小部屋一部屋に有った本は、殆ど全部、古書買い取り業者「ブッ○・○フ」に持って行った。
 馬鹿みたいに安かったけど、仕方が無い。
 コマーシャルなどでは「高値買い取り」と言いながら、実際は色々なクレームや条件でちっとも高値では買い取ってくれない。
 こちらは、そっちの世界でも価値付けが分からないので、不満の言いようも無いので、諦めるだけだけどね。


 なお、娘や息子の為に買ってやった童話や子ども向けの物語などの本もたくさん有るが、これは、内孫たちが読むと言うので、そのまま残しておいた。
 嬉しい。
 内孫たちが読んでくれるなら、大いに値打ちが出るわ。


 さて、「ブッ○・○フ」が高く買ってくれないので、インターネットやパソコン関係の雑誌を中古本で買うことが有る業者に、インターネット買い取りを依頼してみることにした。
 この業者は、
・こちらで書籍を箱に詰め込んで連絡すると、
・宅配業者が受け取りに来てくれ、
・本が業者に届いたら、
 いくらで買うかを査定して、
・私が値段に同意したら、私の銀行口座に代金を振り込んでくれ、
・私が値段に同意しなかったら、送り返してくれる。
と言うシステムである。

 有り難いのは、送る費用も返す費用も、業者持ちでしてくれること。
 でも、その分、査定は低いんだろうけどね。
 でなきゃ、業者の儲けが低くなるから。


 そんなわけで、取り敢えず、第1回目のチャレンジをしてみることに。
 そこで、写真のように、段ボール箱にコミックを詰め込んだわけである。
 なお、段ボール箱は、以前、カメラレンズを買った時に送られて来た段ボール箱で、これがまた、コミックを入れるのにピッタリだったんだよね。
 良い物が有って良かった。

 さて、良い値段で買ってくれるかな?


2016.01.24 ハサミ男

 この冬最大の寒気団が襲って来ているそうで、九州でも積雪が有るそうな。
 もっと凄いのは、奄美大島でも雪が降り、これは明治以来の100年を超えて無かった、驚きの出来事だそうな。
 そんな中、私の住んでいる所は、雪こそ降らないが、風の冷たいこと冷たいこと。肌身に刺さるほどだ。
 そんなわけで、読書報告を。


 さて、その本は、
・著者:殊能将之(しゅのうまさゆき)、
・著作:「ハサミ男)」
・発刊:1999年、
・特徴:叙述トリックミステリー小説
である。

 殺人事件の小説を読んでいながら、
「読後は、けっこう爽やか」
と書いたら命の冒涜になるかも知れないが、1月13日に紹介した「慟哭(どうこく)」の救いようの無さに比べれば、正に
「読んで良かった」
と言えるものであった。
 と言うことで、皆さんにも自信を持ってお勧めします。
 では、いつものように先ずは粗筋の紹介を。


・マスコミや世間で「ハサミ男」と呼ばれている私は、
 氷室川出版でアルバイトとして働く中で、
 会社がデータ管理に関わる模擬試験の成績を見て、
 特に優秀な女子高校生に狙いを付け、
 ロープで首を絞めて殺害した後に、
 磨いて鋭く尖らしたハサミを喉に突き刺し、
 2人の犠牲者を作ったので、
 「ハサミ男」と呼ばれるようになった。


・そして、3人目の被害者として、
 葉桜高校に通う成績優秀な美少女
 「樽宮由紀子」を選び、
 高校周辺や住居のマンションまで出掛け、
 行動パターンを掴んだり、殺害場所を選んだり、
 万全の準備をする。


・いよいよ殺害を決行しようと、ビニール紐やハサミを用意し、
 「樽宮由紀子」を待つが、「樽宮由紀子」が帰って来ず、
 諦めて帰る途中、公園の横を通り過ぎようとした時、
 「樽宮由紀子」が、首を絞められ、ハサミを首に刺され、
 まるで「ハサミ男」に殺されたような死に方をしており、
 その場を去ろうとした時、もう1人の通行者が来てしまったので、
 その人に警察への連絡を頼み、
 その間に、自分は事情聴取に備え、持っていたハサミを捨てる。
 その後、警察の事情聴取などを乗り越え、自宅に帰る。
 マスコミなどは、「三度(みたび)ハサミ男の犯行」と
 大騒ぎを繰り返す。


・因みに、「ハサミ男」である私は、食べることが大好きで、
 デブで頭も良くない。服装も拘らない。
 そんな私は、毎週土曜日毎に自殺を図り、
 クレゾールを飲んだり、タバコを搾ってニコチンを飲んだり、
 カーテンレールにタオルを掛けて首を吊ったりして自殺を図るが、
 失敗を繰り返すだけで、死ぬことが出来ない。
 その時、「医師」と呼んでいる60歳ほどの白髪の男性が現れ、
 私をからかったり皮肉ったりする。
 この「医師」は物凄い博学で、知らないことはないほどである。


・その医師の勧めも有り、私は、私の真似をして 
  「樽宮由紀子」を殺した真犯人を捜し出すことにし、
 雑誌記者と偽って色々と調べる内に、
  「樽宮由紀子」が次々と男と肉体関係を持つ子だったなど知り、
 彼女の親友の女子高生や、体育教師、義理の母や弟などに面談、
 真犯人探しを続ける。
 その中で、40歳くらいで「樽宮由紀子」と親しげにしていた男が、
 告別式に来なかったことに疑問を持ったりする。

・一方、警察も、
 アメリカ帰りの科捜研のプロファイリングの専門家
 「堀之内靖治」警視正を中心に
 目黒西署の「村木刑事」や「磯部刑事」らが捜査に当たり、
 「樽宮由紀子」の告別式で参列者を観察したりする。
 その告別式には、
 遺体の発見者である、肥満体で色白の「日高光一」や
 もう一人の発見者である超美人の「安永知夏」も来ていた。
・そんな中、「樽宮由紀子」の首に刺さっていたハサミは、
 今までの「ハサミ男」のハサミのように丁寧に磨かれておらず、
 逆に、捨てられていたハサミが鋭利に磨かれていたことから、
 遺体の発見者「日高光一」が本当の「ハサミ男」で、
 通り掛かったもう一人の発見者「安永知夏」に姿を見られ、
 慌ててハサミを捨てたと推理し、
 「安永知夏」の事情聴取を再度行う。
 その時、「安永知夏」の美しさに磯部刑事は一目惚れをしてしまい、
 同僚たちの「からかい」のネタになるほどの行動を取る。


・そして、遂に「ハサミ男」の元に、一人に人間が訪ねて来て、
 「君がハサミ男だったんだね」
 と言う。


 この後は、完全なネタバレなので、読む、読まないは、各自の判断でお願いします。

ハサミ男ネタバレ


2016.01.13 「慟哭(どうこく)」

 天気予報が良くなかったので、午前中は読書をすると決めて、パジャマも着替えず、電気ゴタツの中で読み始めた。
 ところが、どんどん天気が良くなり、屋内で本を読んでいるのは気が引けたが、止められないところまで読んでしまったので、午前中で読み終える為に必死になって、速読も採り入れたりしてた。
 結果、ちょうどお昼前に読み終えることが出来た。


 さて、読んだのは、
・著者:貫井徳郎(ぬくいとくろう)、
・著作:「慟哭(どうこく)」
・発刊:1993年、
・特徴:叙述トリックミステリー小説
である。


 このミステリー小説、読んだ後は、気持ちが滅入ってしまった。
 私が好んで読んでいるのはミステリー小説で、「イニシェーション・ラブ」以外は人が殺される話ばかりなので、決して爽やかだったり楽しかったりすることは無いんだが、それにしても救いが無さ過ぎて、胸が痛くなる。
 ミステリー小説としては素晴らしいが、読まなきゃ良かったかもね?


 さて、自分への備忘録代わりに、その小説を解説しておこう。
 この小説、
・娘を亡くし、退職して、無為に日々を過ごす松本が、
 入会した新興宗教の影響で、黒魔術にのめり込み、
 死んだ娘と同じ歳の少女を誘拐し、殺し、
 その遺体に娘の魂を呼び戻そうとするが、
 失敗し、繰り返し少女を誘拐し殺害する様子と、

・元法務大臣の隠し子で、警察庁長官の娘の婿である佐伯は、
 キャリア(国家公務員総合職試験(昔の国家T種試験)合格者)
 であるにも関わらず、警視庁の捜査第一課長を希望し勤務しているが、
 連続少女誘拐殺人事件を捜査し、
 犯人を刺激したことで、自分の娘も誘拐され殺され慟哭する様子と、

が、交互に描かれている。

 そして、最後は、連続少女誘拐殺害事件の犯人が逮捕されるのだが、その結末に、あまりにも救いが無いのである。
 だから今回は、
「是非、読んでください。」
とは言えないのである。
 ただ、名作は名作なので、叙述トリックミステリー小説の傑作を読みたい人にはお勧めします。


 ところで、この小説が叙述トリックミステリー小説の傑作と言われる理由を、別のページで紹介するので、
・自分でこの小説を読む気の無い人、
・結末が分かっても良いから、隠された叙述トリックを知りたい人、
・小説を読んでも意味が分からなかった人、
は読んでください。


「慟哭」のネタバレはここをクリック!


2015.12.28 叙述トリックのファン仲間

 このコーナーは「読書」なんだけど、今日は、作品の紹介ではなく、エピソードを紹介しよう。

 私、最近、「叙述トリック」ミステリー小説に嵌(はま)っている。

 再掲になるが、叙述トリックとは、読者が小説の最後まで読んで、
「えっ、そう言うことだったの?」
と初めて気付くことになる書き方で、例えば、
・えっ、主人公は女だったの?
 えっ、主人公は老人だったの?
 えっ、別人で、2人居たの?
などなど、最後まで本当のことを隠しておいたりするテクニックである。


 以下は、この「読書」コーナーでも紹介してきたミステリー小説の中でも、私が読んだ叙述トリックミステリー小説として有名な作品を並べたものである。
・「女王は帰らない」
・「ある少女にまつわる殺人の告白」
・「イニシエーションラブ」
・「十角館の殺人」
・「殺戮にいたる病」
・「向日葵(ひまわり)の咲かない夏」
・「葉桜の季節に君を想うということ」
などなど。


 で、今は、
・著者:殊能 将之
・著書:「ハサミ男」
・発行:1998年(H10年)
・受賞:第13回日本メフィスト賞
・特徴:叙述トリックミステリー小説
を、図書館で借りて読んでいる。


 この「ハサミ男」だが、私が足繁く通っている図書館には無かったので、県立図書館から取り寄せてもらった。
 で、読み始めたら、私が借りる直前に県立図書館で借りて返却した、何処かの誰かさんの「利用記録」が出て来たではないか。
 因みに、最近は個人情報保護の時代なので、その誰かさんの名前は何処にも書かれていないけど。

 そこで、その「利用記録」に表記されている本の題名を観て、吃驚し、笑いもした。
 と言うのも、3冊の本の名前が書かれていたのだが、その3冊ともが、叙述トリックミステリー小説として有名な、
・「ハサミ男」
・「仮面山荘殺人事件」
・「十角館の殺人」
だったからである。

 私だけでなく、同じ好みを持つ人が居るんだね。
 見ず知らずの人だけど、何だか、親近感を感じてしまうね。


2015.12.25 「向日葵の咲かない夏」

 終日、雨が降ったり止んだりで、外での作業が出来ない。
 今日は、内孫1号が通う小学校の農園に植わっているキーウィフルーツの木の剪定を予定してたのに、残念だ。


 そんなわけで、読書読書。一日で、単行本1冊を読み切った。
 読んだのは、
・著 者:道尾 秀介
・著 作:「向日葵(ひまわり)の咲かない夏」
・発 行:2005年(H17年)
・評 価:本格ミステリ大賞の候補作
・特 徴:叙述トリック作品)
・その他:内容があまりにも陰惨との批判も有った。
ものであるが、その結末に、唖然呆然とさせられた私である。。


 因みに、叙述トリックとは、読者が小説の最後まで読んで、
「えっ、そう言うことだったの?」
と初めて気付くことになる書き方で、例えば、
・えっ、主人公は女だったの?
 えっ、主人公は老人だったの?
 えっ、別人で、2人居たの?
などなど、最後まで設定を隠しておく等のテクニックである。


 さて、その陰惨と言われた粗筋を紹介しておくと、
・ミチオ(摩耶道夫)は、小学4年生だが、
・ミチオの住む地域では、
 犬や猫が8匹も殺され、
 加えて、足が折られ、口には石けんが入れられる
 残虐な事件が続いていた。

・また、ミチオが1年生の時についた嘘で、母親が傷付き、
 それ以来、母親は、ミチオに辛く当たり、
 妹のミカだけに愛情を注いでいるという、
 辛い環境で生きていた。

・1学期の終業式の日、
 学校を休んだS君にプリントなどを届けることになり、
 S君の家を訪れると、S君が首を吊って死んでおり、

・学校に戻り、担任の岩村先生に知らせ、
 警官や岩村先生たちとS君の家に戻ると、
 S君の遺体が消えていた。

・そして、数日後、死んだS君が、
 クモに変身してミチオのところに来て、
 「僕は、自殺じゃなく、岩村先生に殺されたんだ。」
 と言う。

・それを聞いたミチオは、
 拝み屋のトコお祖母さんの示唆を受けながら、
 妹のミカやS君と共に、
 岩村先生を尾行し、家に侵入し、
 たくさんの少年の裸の写真やビデオを発見し、
 岩村先生が異常性愛者であることを突き止める。

・そんな中、古瀬泰造は、
 百葉箱のデータを採取するアルバイト中に、
 S君の最後の姿を見ており、
 その時観たものを警察に伝えるかどうか、
 悩んでいた。

・そして、最後の時がやって来て、
 犬や猫を残虐に殺した犯人が判明、
 古瀬泰造も殺され、ミチオの命も危うくなる。
 加えて、ミチオの母が、何故にミチオを嫌い、
 ミカばかりを大切にするかも判明しする。

と言う内容だった。

 最後の数ページを紹介したいところだが、書いて良いものなのか悪いのか、悩んでしまい、今日は書けなかった。
 ちょっと考えます。


 色々考えた結果、ネタバレを書くことに。
 本当にネタバレなので、読まれる方は、覚悟の上でお願いします。

 ネタバレへのリンク


2015.12.11 宮部みゆき「火車(かしゃ)」

 未明から、雷は鳴るし、風雨は強いしで、内孫たちの登校が心配だったが、朝7時頃には穏やかになった。
 低気圧が発達しながら本州を通過して行った影響らしいが、全国各地で、12月としては記録的な大雨をもたらしたり、強風で建物などの損壊も有ったそうな。
 多分、地球温暖化のしっぺ返しなんだろうね。

 私の住んでいる所はそれほど酷くはなかったが、とは言っても、雨は終日続き、外での作業が出来ない。
 そこで、思いっ切り読書読書。


 読んだのは、
・著者:宮部みゆき、
・作品:火車(かしゃ)で、「ひぐるま」とは読まない。
・発行:1992年(H4年)
・受賞:第6回山本周五郎賞
     このミステリーがすごい大賞20年間の「ベスト・オブ・ベスト」
である。

 この小説も、20年ほど前に一度読んでいるのだが、もう一度読んでみたら、大まかな流れは覚えていたが、細部は忘れていたので、新鮮な気持ちで読むことが出来た。
 そして、その面白さに没頭してしまった。
 宮部みゆきの力量は、本当に凄いねえ。


 その粗筋を書いておくと、
・刑事「本間俊介」は、三年前に交通事故で妻「千鶴子」を亡くし、
 一人息子の「智」と、男性家政夫の「井坂」の助けを借りて生きている。
 加えて、強盗犯を逮捕に向かった時、
 犯人が改造拳銃で「本間」の左脚を撃ち抜き、
 治療とリハビリで休職中である。

・その「本間」のところに、亡くなった妻「千鶴子」の甥で
 銀行員の栗坂和也が、
 「失踪した婚約者「関根彰子」を探し出してほしい。」
 と頼みに来た。

・「和也」は、
 「これからは持っていた方が良い」
 と「彰子」にカード作成をさせたところ、
 審査で「彰子」彼女が自己破産経験者だということが判明。
 「和也」に問い詰められた「彰子」は、
 翌日には職場からも住まいからも姿を消してしまった。
 「彰子」を探してほしい。
 と言うのだった。

・休職中で警察手帳も使えない「本間」は、
 「彰子」の親戚とか雑誌記者とかを装って捜査を開始。

・最初に、「彰子」の勤務先「今井事務機」で、
 社長や同僚だった女性社員から「彰子」のことを確認する中で、
 「彰子」の履歴書の写真で「彰子」の美貌に驚く。

・次に、「彰子」の自己破産手続きを手伝った弁護士を訪ね、
 「彰子」は、会社勤めをしながらスナックにも勤めてたこと、
 男好きのする顔だが、八重歯が有ることなどを知る。

・その結果、
 「今井事務機」での水商売など縁遠い清楚な「彰子」と、
 濃い化粧などで「スナック勤務」もする「彰子」と、
 の大きな隔たりを知る。

・「今井事務機」に勤めていた「彰子」の履歴書の写真を、
 実際の「彰子」と面談していた弁護士に見せたところ、
 「関根彰子」の名前を持つ全くの別人だったことが判明。

・何者かが、「関根彰子」の名前を名乗り、生活し、
 「栗坂和也」と婚約し、自己破産がばれた時点で姿を消し、
 本物の「関根彰子」は行方不明だったのである。

・「本間」は、残されていた「彰子」の写真のアルバムから、
 モデルハウスの写真を発見し、
 元大阪球場跡の住宅展示場で撮られたものと判明。
 大阪の通販会社「ローズライン」の準社員「新城喬子」が、
 研修会に参加した時に撮影したものと突き止め、
 「新城喬子」が「関根彰子」を乗っ取っていたことを把握した。
 では、何故に「新城喬子」が「関根彰子」になってたのか?

・「関根彰子」の故郷の宇都宮市に行った「本間」は、
 「彰子」の同級生などから話を聞き、
 「彰子」は、新しく豊かな生活を求めて東京に行き、
 夢を追い掛ける内に借金まみれになり、自己破産したこと、
 母親が酒に酔って3階の非常階段から転げ落ち、
 死亡していたことを知る。

・また、「新城喬子」が一度結婚していたことを突き止め、
 伊勢市に行き、「喬子」の元夫と会い、
 「喬子」の父親の莫大な借金の所為で、
 「喬子」までが悪徳金融業者などに付きまとわれ、
  嫁ぎ先まで嫌がらせが続き、離婚してしまった。」
 ことを聞く。

・これらから、「喬子」が、嫌がらせから逃れる為に、
 「彰子」を殺害し、成り代わったと推測し、
 新たな被害者を出さない為に、「喬子」を探す。

・そして、「喬子」が、
 新たに成り代わろうと狙っている女性が
 「木村こずえ」であることを突き止め、
 「こずえ」を天涯孤独にさせる為に、
 姉の住む家に放火し、死なせたことも突き止める。

・「喬子」が「こずえ」と会う約束をした喫茶店で、
 同僚刑事「碇」などと「喬子」を待つ。
 そこに、美しい「喬子」がやって来て・・・。

と言うものである。

 父親の作った借金の所為で、追い詰められ人生を壊され、それから逃げる為に人を殺して他人に成り代わろうとした若く美しい女性の悲劇に、殺人は許されないこととは分かりながら、同情と胸に痛いものが残り続ける小説だった。

 また、実在の弁護士に取材した、クレジットカード地獄や自己破産の内容が書かれているが、とても勉強になった。

 重く悲しい物語だけど、一読されることをお勧めします。


2015.11.30 宮部みゆき「蒲生邸事件」

 今まで、宮部みゆきの著作を読みまくってきた。
 著書についての紹介文を書いている時間も惜しいほど、必死に読んできた。


 今回紹介するのは、
・著者:宮部みゆき、
・作品:蒲生邸事件、
・分野:SFミステリー小説、
・出版:1996年単行本で出版、
・受賞:第18回日本SF大賞、
と、20年ほども前に出版された小説で、図書館で借りた本も、随分と古びた感じになっていた。


 では、宮部みゆきを高く評価し、たくさん読んで来たのに、
「何で今まで読まなかったのか?」
だが、物語の中で、タイムトラベル(時間異動・時間旅行)と言う胡散臭い手法が採られていることに、ちょっと引っ掛かっていたのかも知れない。
 でも、私はSF物が大好きで、SF映画DVDはいっぱい持っているし、若い頃はレイ・ブラッドベリなどを読み漁ったのだから、タイムトラベルを嫌う必要は無かったんだけど、宮部みゆきがタイムトラベル物を書くことに、ちょっと納得出来なかったのかも知れない。


 しかし、読んでみて、まずまずの評価を持った。
 大作家が書いた物に、ちょっと偉そうな表現かも知れないけど。(舌)


 さて、粗筋だけど、
・尾崎孝史は、東京の有名大学受験に失敗し、
 予備校受験のため再度上京し、ホテルに泊まる。

・そのホテルで、古い洋館の写真を目にして、
 その洋館が、昭和11年(1936年)に起きた二・二六事件の折りに、
 自決した蒲生憲之大将の屋敷と知る。

・ホテルに滞在中、孝史は、同宿している
 身体の周辺に闇のような雰囲気を持った中年の男を目撃し、
 不審な行動に興味を持つ。

・その夜、防火設備の不十分なホテルが火災となり、
 逃げ場も無く死が迫っている孝史を、
 中年男が助け出すが、その救出方法がタイムトラベルで、
 孝史と中年男は、昭和11年2月の二・二六事件が起きようとする
 真っ直中の蒲生邸の庭に、避難して来たのである。

・そして、中年男の平田は、
 蒲生大将の生活の世話をしていた黒井と言う女性の甥で、
 辞めた黒井の替わりに蒲生邸で働くことになっていた。

・平田は、孝史を連れたタイムトラベルが身体を痛め、
 動けなくなり、現代に帰れなくなった孝史は、
 平田の甥と言うことで蒲生邸に居させてもらうこととなった。

・蒲生邸には、「ふき」と言う名前の女中が居て、
 その美しさと優しさ、しっかり者の様子に、
 孝史は恋をしてしまう。

・そんな中、ピストルの音がして、蒲生大将が死亡。
 しかし、自決したはずのピストルが何処にも無く、
 孝史は、その謎の追究を始める。

・そして、蒲生大将の息子の貴之、娘の珠子、
 蒲生大将の後妻、蒲生大将の弟など、
 蒲生一族を相手に、蒲生大将の自決の謎を解いていく。

・そんな中、平田の伯母の黒井は、超能力が高く、
 蒲生大将の世話をする内に、
 タイムトラベルで蒲生大将を未来に連れて行き、
  「二・二六事件以後、力を増した軍部の所為で、
   日本が戦争に突入し、多くの人々が死に、
   日本が戦争に負ける。」
 ことを観させ、それによって、蒲生大将が、
 軍部へ批判的な意見を言うようになり、
 孤立していくことを知る。

・また、蒲生大将の弟嘉隆と蒲生大将の内縁の妻毬江は、
 通じており、蒲生大将の財産を狙うが、
 2人を憎んでいた珠子が、隠していたピストルで撃とうとする時、
 黒井が現れ、嘉隆と毬江をタイムトラベルで何処かに連れ去る。

・蒲生邸での事件が解決し、体調も回復した平田は、
 孝史を現代に連れて帰ってくれる。

・現代に帰る前に、孝史は、ふきに、
 「一緒に来てほしい」
 と誘うが、ふきは、
 「貴方は帰るのだろうが、私は逃げることになる。」
 と断る。
 その時、孝史は、ふきに、
 「戦争などを生き延びて、現代に帰った自分と会ってほしい。」
 と約束をする。

・そして、現代で、孝史は、約束の日に、約束の場所で待っていると、
 「尾崎孝史さんですね?」
 と声を掛けてくる女性が居た。
 その女性は・・・・・・・・・・・・・・。
と言う粗筋である。


 最後はぼかしましたので、自分で読んでみてください。


2015.11.17 宮部みゆきの「魔術はささやく」

 今日は、終日、雨がショボショボ振ったり止んだり。
 と言うことで、まとまった外での仕事が出来ないので、屋内での生活となった。

 で、先ずは、かみさんのミッションの、
・小物掛けフックを着けたり、
・キャスター付き物置台への取っ手着け、
などを片付けた。


 次は、神宮野球大会高校の部、高松商業高校VS敦賀気比高校の決勝戦を、BSテレビ放送で観戦。
 結果は、高松商業高校8−3敦賀気比高校で、高松商業が優勝した。
 高松商業さん、おめでとう。
 敦賀気比さん、残念でした。
 これで、四国地方に、選抜大会の神宮大会優勝枠が付与されることだろう。


 今日の私の生活のメインは、小説を読むこと。
 読んだのは、
・著者:宮部みゆき、
・著書:魔術はささやく、
・分野:ミステリー小説、
・受賞:第2回日本推理サスペンス大賞受賞、
と言う作品である。

 私、以前も書いたけど、最近はミステリー小説ばかり読んでいる。
 普通の小説を読んでみても、何だか物足りなく感じるのである。

 そして、ミステリー小説を漁っている内に、
「宮部みゆきの作品を読み倒そう。」
と思ったわけで、これまでにも、
・我らが隣人の犯罪----------------第26回オール讀物推理小説新人賞受賞。
・本所深川ふしぎ草紙--------------第13回吉川英治文学新人賞受賞。
・龍は眠る-----------------------第45回日本推理作家協会賞(長編部門)受賞。
・理由---------------------------第120回直木三十五賞受賞
・模倣犯-------------------------第55回毎日出版文化賞特別賞受賞。
・ソロモンの偽証-------------------第10回本屋大賞第7位。
を読んできた。


 そして、1989年発刊と言う26年も前に刊行された古い作品だけど、今日、やっと読んだのである。
 では、何故に今日まで読まなかったかと言うと、本の紹介で、
「電話で人を自殺に導く云々」
と書かれていたので、勝手に、
「バッタ物臭い」
と決め付けてしまったからである。

 今から考えると、くだらない思い込みだったなあ。
 と言うのも、かなり面白かったからである。


 粗筋を紹介しておくと、
・日下守の父親の日下敏夫は、枚川市の財務課課長補佐だったが、
 女に貢ぐ為に5,000万円の横領をして、
 守が4歳の時に、行方不明となってしまい、
・母親の啓子と守は、周囲の冷たい視線と仕打ちに耐えながら、
 12年間も枚川市で生活してきたが、
・母親の啓子が、脳血栓で急死したので、
 守は、啓子の姉である浅野より子に呼ばれ、
 東京に来て、浅野家で生活するようになり、
 高校も都立高校に通うようになる。

・ある時、個人タクシーを営む叔父の大造が、
 21歳の女子大生をタクシーで撥ねて死亡させ、
 逮捕拘留され、
 そのことを材料に、守も、高校でいじめに遭うが、
・事故の有った交差点の近くに愛人を囲っていた
 年商100億円の新日本商事の副社長「吉武浩一」が、
  「菅野洋子さんが道路に飛び出して行き、
   タクシー側は青信号だった。」
 と、自分がスキャンダルに曝されるのも厭わず、
 証言してくれたお陰で、浅野大造は釈放される。

・そんな中、守は、
 菅野洋子、加藤文恵、三田敦子、高木和子の4人が、
 デート商法などで若者たちを騙し、
 多額の金を巻き上げていたが、
 菅野洋子、加藤文恵、三田敦子が、
 自殺的に不審死を遂げていることを突き止めるが、
 また、
  「私が、命令して死なせた。」
 と述べる男と電話で話し、
 残された高木和子の発見や、電話の主探しに走り回る。

・守は、叔父の大造の為に証言してくれた吉武浩一と親しくなり、
 食事を一緒にするようになるが、
 トラブルに巻き込まれ入院した吉武浩一に付き添っている時、
 吉武浩一が、母啓子と交換した結婚指輪を持っていることに気付き、
 吉武が、自分たちを捨てて出て行った父「敏夫」だと思い込む。
・しかし、4人目の高木和子が、命令を受け自殺し掛けたのを救った守に、
 自殺をさせてきた大学教授が近付いて来て、守を自宅に連れて来て、
  4人の犠牲者をどうやって自殺させたのか、
  何故に自殺させたのか、
  吉武浩一が決して守の父親ではなく、
  それなのに、何故に守や叔父の家族を守ろうとしているのか、
 を教えるのだった。

・「では、何故に吉武浩一は、啓子との結婚指輪を持っていて、
  守を見守り続けて来たのか?」
 そこに、守の父敏夫が行方不明となった真実が隠されていた。

と言う流れである。

 最後は伏せておくので、是非とも読んでみてください。


2015.11.09 宮部みゆき「理由(りゆう)」

 今日は、終日、小雨が降っていた。
 で、外での作業が出来ないので、午前中は屋内で行われたグラウンドゴルフ例会に参加。
 超平凡な成績でした。


 午後は、何もせずに、ひたすら読書。
 読んだのは、
・著者:宮部みゆき、
・著書:「理由」で、
・1996年〜97年に新聞で連載され、
・1998年に本として出版、
 同年、第120回直木賞を受賞した、
・ドキュメンタリー(実話)的手法で書かれたミステリー小説、
と言う、有名な本である。


 なお、この本は、昔、直木賞受賞作品を総嘗め読みした時に一度読んでいるんだけど、宮部みゆきに関して調べている内に、もう一度読みたくなって読んだわけであるが、何せハードカバー版で571ページの長編なので、必死に読んだわけである。
 一度読んでいるので、大まかな内容は覚えていたが、細部は忘れていたので、読んで良かったと思ったね。


 その内容を簡単?に述べると、
・東京の北千住に有る、7千万ほどもするマンションを、
 機械メーカーに勤務する小糸信治が購入し
 親子3人で住んでいたが、
・ローンが払えなくなった為、
 購入資金を貸してマンションに抵当権を付けていた銀行が、
 差し押さえと競売を申し立て、裁判所が競売に掛けたところ、
・石田直澄と言う人物が入札で購入したが、
・小糸の知人である不動産屋が、
 競売が成立する前に日付を遡らせて、
 小糸が、
 「砂川親子4人にマンションの部屋を賃貸させてた」
 と言う契約書を作らせ、占有屋として
 実際に砂川親子に住まわせた為に、
・購入者の石田直澄は購入したマンションを、
 いつまでも手に入れられなく困っていたところ、
・マンションに居住していた占有屋の砂川親子の、
 3人が殺害され、1人が25階のベランダから落下し、
 4人とも死亡と言う事件が発生し、
・購入者の石田直澄が姿を隠した為、
 殺人犯として警察やマスコミが追い掛けるが、
・実の親子4人と思われていた砂川家の4人は、
  夫の砂原信夫は本当の人間だったが、
  妻の砂原里子は別人、
  祖母のトメも別人、
  息子の毅も別人、
 と判明、
・「何者が、何故殺されたのか」
 の理由を、ドキュメンタリー式に追求する。

と言う内容である。

 なお、「競売」と「占有屋」の補足をしておくと、
・悪徳な不動産屋や暴力団などは、
・競売などで売り買いされる家やマンションの部屋に、
・競売に掛けられる前から賃貸で人が住んでたように細工して、
 (これを占有屋と言う)
 購入した人が家やマンションに入れなくし、
・焦る購入者から、
  立ち退き料を出させたり、
  その物件をもっと安く買い叩く
 ことで利益を得ようとする。
ことが頻繁に有るらしく、知識の無い一般人が、競売で家やマンションを買うことは、かなりのリスクが有るそうな。
 でも、国や裁判所などは、一般人が安全に競売で不動産などを買えるよう、色々と法律を整備しているそうなので、興味の有る人は、勉強してください。


 さて小説だが、流石に宮部みゆきの書く本で、迫力が有って読み応えが有るのだが、何せ長編で重い文体なので、本当に読書やミステリー小説が好きでないと読むのがしんどいかも知れないことを書いておきます。


2015.10.29 十角館の殺人

 最近読む本の殆どがミステリー小説。
 時々、
「こんなミステリーばかり読んでて良いのかな?」
と思うことも有るが、他のジャンルの小説を読もうとする気持ちが起きないので、またまたミステリー小説の紹介を。


 今回読んだのは、
・綾辻 行人(あやつじ ゆきと)氏著作
・「十角館の殺人(じゅっかくかんのさつじん)」
である。
 綾辻氏は、小説家としてのデビュー第1作に「十角館の殺人」を書いたのだが、推理小説界に衝撃を与え、「綾辻以降」と言う言葉が生まれたほどの名作であるそうな。

 では、何がそれほど素晴らしいかだが、それをこれから書くので、まだ読んでない人でこれからこの小説を読もうと思う人は、ネタバレの部分は読まないでください。


 スタートでは、大量殺人を企む犯人が、自分が行おうとする犯罪の一部始終をしたため、小瓶に入れて海に投げるところから始まる。
 恐らく、
・その小瓶が誰かに拾われるか、否か、
・拾われた場合、拾った人が警察に届けるか、否か、
自分の犯罪を、天の審判に預けようとしたのであろう。


 次ぎに、関係者に脅迫状が送られることが書かれている。
 その脅迫状には、
・大分県のK大学推理小説研究会の新年会飲み会で、
・1年生の中村千織が、
 急性アルコール中毒から心臓発作を起こし死亡したが、
・それは推理小説研究会のメンバーに殺されたのに等しいから、
 復讐すると書かれ、
・差出人は、中村青司となっている。
が、中村青司は、半年前、小島に有る自分の青屋敷と呼ばれる青色一色に塗られた屋敷の火事で、妻と使用人夫婦と共に焼死しているはず、なのである。

 では、誰が、この脅迫状を出したのか?
 ここに、中村青司が生きているとの仮説も出て来るのである。


 そんな中、中村千織が中村青司の娘だったことを知らない推理小説研究会の7名は、中村青司が青屋敷と一緒に建てて、青屋敷が焼けた後も残った奇妙な十角形の館(やかた)「十角館」で一週間宿泊する為に、船で送ってくれた漁師の親子に、
「一週間後に迎えに来てほしい。」
と頼み、島に上陸するのである。


 そして、一人一人殺されていくのだが、そのメンバーは、自分たちに世界の有名ミステリー作家の名前をニックネームに付けて呼び合っているのだが、殺された順に書くと、
1)オルツィ
・文学部2年生。
・小柄な太めの体型で、おとなしい性格。
・中村千織とは友人だった。
・絞殺で殺され、左手首を切り取らる。
2)カー
・法学部3年生。
・攻撃的な性格で、トラブル・メーカー。
・コーヒーの中に入れられた毒で毒殺される。
3)ルルウ
・文学部2年生。
・大人しい性格。
・島への外部侵入者を疑い確認に行って、
 青屋敷跡で撲殺される。
4)アガサ
・薬学部3年生。
・自他共に認める美人。
・口紅に塗られていた毒で毒殺される。
5)ポウ
・医学部4年生。
・冷静理論的な性格。
・これまでの殺人事件の検視を行う。
・タバコに仕込まれた毒で毒殺される。
となる。


 残ったのは、
6)エラリィ
・法学部三回生。
・気取り屋。
・マジック(手品)が得意。
7)ヴァン
・理学部三回生。
・不動産業を営む伯父が、角島を購入。
 角島での合宿を段取りする。
の2人のみになる。


 そして、十角館が燃え、自らガソリンを掛け焼死したと思われる1遺体と既に死亡していたと思われる5遺体の、計6遺体が発見される。
 7遺体ではない。

 では、
「誰が、生き残った1名で、大量殺人犯なのか?」
が気になるが、この小説では、小説の4/5過ぎで、犯人が、大量殺人の動機や方法を、自らの独白の形で述べているから、犯人探しは途中で終わりとなる。


 以下はネタバレである。
 読む、読まないは、自分でお決め下さい。

 犯人の独白の章が有るが、
・犯人は、ヴァン。
・動機は、密かに愛し合っていた中村千織を、
 病弱と分かりながら無理矢理にお酒を飲ませ、
 急性アルコール中毒と心臓発作で殺された
 怒りと復讐である。
・6人を殺害した方法などは、独白で詳しく書かれている。
ので省略。


 では、この小説が、
・何故、高く評価され、
・何故、「綾辻以降」と呼ばれるように、
 それ以降に書かれたミステリー小説に影響を与えたのか、
だが、それは、最後の1ページに書かれている。

 と言うのも、この小説では、
・大量殺人が行われている角島の様子と平行して、
・推理小説研究会の元会員だった「江南孝明」と
 「中村青司」の弟「中村紅次郎」の友人「島田潔」が
 脅迫状や中村青司等4人殺害事件、今回の大量殺人
 などの背景を追求し、
・特に島田潔が真実に迫った時、
 犯人である「ヴァン(守須恭一)は言い逃れるつもりだったが、
・足下に、自分が海に投げ込んだ小瓶を自ら見付けた時、
 近くに居た子どもたちに、
  「これを、あのおじさんに渡して。」
 と託す。
様子が、最後の1ページに書かれている。

 即ち、
・自分が書いて、自分が海に投げ込んだ、
 自分の犯行の詳細が書かれたメモが、
・神の仕業によって自分の足下に届いた軌跡から、
・自らの犯行を明らかにすることが「神の審判」と受け止め、
 受け入れる。
のである。

 そこに、この小説の凄さが有り、
「それは、決して、犯人を最後に明かすと言うことでなく、
 最後の最後に、全てがひっくり返されるミステリー。」
だからだろう。


 以上、あくまでも私見と偏見ですが、最後まで読んでくださった方、御精読有り難うございました。


2015.10.21 「殺戮(さつりく)にいたる病」

 今日は、かみさんが「パッチワーク&ソーイング教室」に行く日だ。
 所謂(いわゆる)、「鬼の居ぬ間に洗濯」の日で、私は着ている物を洗濯することはないので、命の洗濯をするんだよね。

 と言っても、人目を気にするほどのこともしないし、犯罪的なこともしないし、敢えて言うなら、
「かみさんの存在を気にせず、
 自分のペースで一日を過ごす」
だけのことである。


 で、先ずやったことは、1人で静かにじっくりと、でも高速での読書。
 それが、表題の「殺戮にいたる病」である。

 この小説は、冒頭(プロローグ)で、6件の殺人事件を起こした蒲生稔が、最後の殺人現場で現行犯で逮捕される場面から始まっているので、殺人犯が誰だかは最初から判明している。
 だから、テーマが
「殺人者の魂の軌跡の追求」
で、
「蒲生稔がどうして殺人を繰り返したか?」
を描いていると思われ勝ちだが、そうではなく、ミステリーの名作中の名作として、とても有名な作品で、ミステリー小説が好きな人は、ぜったに読んでおくべき小説である。


 では、何故、ミステリーの名作中の名作なのかは、最後のページを読まなければ分からず、最後のページで衝撃の事実を読者は知らされる、所謂「叙述トリック」と呼ばれるミステリーなのである。
 しかし、それは、この小説の最大の値打ちなので、置いておこう。


 ところで、私、ミステリー小説は大好きで、最近読む本の殆どがミステリー小説なのだが、この「殺戮にいたる病」を読んでて、
「こんな残虐で変質的・偏執的な小説を読んでいると、
 私の神経にも影響が有るのではないか?」
と思うほど、凄(すさ)まじい内容なのである。

 と言うのも、蒲生稔は、
「永遠の愛をつかみたいと願い、
 6人の女性を殺し死姦(しかん=死体を犯す)だけでなく、
 乳房や女性器、子宮を切り取り持ち帰り、愛撫する」
サイコ(偏執)キラーだからである。

 そんなわけで、特にミステリー小説が好きでもないしグロテスクな表現が苦手と言う人は、読まない方が良いと思いますよ。


 でも、私は、ますますミステリー小説にのめり込み、これまた名作と名高い「十角館の殺人」を、図書館から借りたからね。


2015.10.05 「本所深川ふしぎ草紙」

 2回連続でグラウンドゴルフの例会と練習会を欠席。
 その2回とも本当?のゴルフに行ってたんだけど。
 で、何回も欠席出来ないので、今日こそはグラウンドゴルフ例会に参加した。

 結果、可も無く不可も無しの成績だったわ。
 まあ、偶に参加して好成績を望むのが間違いなんだけどね。


 午後は、かみさんの実家に行って、お米を分けてもらって帰って来た。
 分けてもらうと言っても、只で貰うのではなく、他よりも安く売ってもらうんだけど。
 因みに、分けて貰ったのは、5俵(60kg×5=30kg袋が10袋)。

 私たちも年老いて食べなくなったけど、息子親子もあまり食べないので、毎年毎年、購入するお米の量が減っていく。
 多分、日本中のどの家でも同じような傾向なんだろうね。
 日本のお米農業が衰退するわけだわ。


 その合間をぬって、必死に読んだのが、「本所深川ふしぎ草紙」だ。
 この本は、
・宮部みゆき著作、
・江戸時代の深川を舞台に、
 と深川七不思議にまつわるミステリーと、
 庶民の人情と生活が描かれ、
・第13回吉川英治文学賞新人賞を受賞したもの、
である。

 短編7話で構成されていて、1話ずつ読んでいけるメリットも有り、かみさんに、
「時間ですよ。」
と急かされながら、必死に1話ずつ読んでいった。


 そんなわけで、気楽に読めるので、興味が湧いたら読んでみてください。


 因みに、本所深川「七不思議」とは、
その1 「片葉の芦」
  両国橋の北にある小さな堀留に生える芦の葉が、
 どういうわけか片側にしかつかないと言う。
その2 「送り提灯(ちょうちん)」
  少し距離を置きながら、離れず、浮くようについてくる提灯。
  無事に家に帰れた後、送り提灯に帰ってもらうには、
 履物を片方と握り飯とお礼に投げなくてはならないと言う。
その3 「置いてけ堀」
  錦糸堀の近くを釣り人が通りがかると、
  「置いてけ・・・置いてけ」
 という声が聞こえ、気が付くと、
 釣ったはずの魚がそっくりなくなっていると言う。
  正体は、岸涯小僧(がんぎこぞう)と言われているが、
 河童のことか?
その4 「落ち葉なしの椎の木」
  御蔵橋の先に有る松浦豊後守の上屋敷には、
 たくさんの庭木があるのに落葉が落ちていない。
  誰が何時、掃除しているのか、不思議がられている。
その5 「馬鹿囃子(ばかばやし)」
  夜中に聞こえてくるお囃子で、
 お囃子をしている場所は絶対に分からないと言う。
その6 「足洗い屋敷」
  真夜中、お屋敷で人が寝ていると、
 天井を破って大きな汚い足が降りてきて、
 「洗え、洗え」と命令する。
  それを綺麗に丁寧に洗ってあげれば福が来て、
 いい加減に洗うと悪いことが起こると言う。
その7 「消えずの行灯(あんどん)」
  二八蕎麦屋の行灯の火が、
 雨でも風でも消えず、いつも燃えていて、
 消えたところを誰も見たことがないと言う。
の7つである。


2015.09.22 「イニシェーション・ラブ」その2

「暇なんか?」
と言われれば、そうかも知れない。
何せ、「シルバーウィーク」の四日目で、今日は、かみさんが体調不良で自分自身が動けない分、私へのノルマも減少したからね。

 そんなわけで、昨日に引き続き、恋愛&ミステリー小説「イニシェーション・ラブ」の解説を、これでもかと言うくらい細かく書いたが、或る意味、超力作だわ。


 なお、小説「イニシェーション・ラブ」の単行本は、11年前の2004年4月に出版されているし、映画も、今年の5月に、松田翔太と前田敦子の主演で公開されているので、ネタバレさせても良いだろう。

 ただ、あまりにも細部を書き過ぎるほど書いたので、
「これから小説を読んだり映画を見たりしたい。」
と思っておられる方は、読まないでください。



紹介文へのリンク
イニシェーション・ラブの詳細


2015.09.21 読書「イニシェーション・ラブ」

 私、年間、かなりの冊数の本を読む。
 一週間も本を読まないと、一種の禁断症状が出て、イライラするほどだ。

 ただ、読むのは殆どミステリー小説なので、そんなに声を大きくして、
「趣味は読書」
と言えるほどではないのかな。
 でも、純文学を読む人が高尚で、ミステリー小説を読む人は下劣、なんてわけではないから、気にすることでもないけどね。


 さて、本題。
 この度の連休中に読んだ本は、
・「乾(いぬい)くるみ」氏著作の、
・「イニシェーション・ラブ」
である」

 因みに、「イニシェーション」とは、
・儀礼的な成人式みたいな通過点、
 何かへ進む為の通過点、
と言うような意味なので、「イニシェーション・ラブ」とは、
「次の恋の為の通過点、最初のステップ」
「大人になる為に体験しなければならない恋」
みたいな意味だろうかね。

 先ず、何でこの本を読もうと思ったかと言うと、
・ミステリー小説
・二度読みしたい小説ベストワン?
などと紹介されていたからである。

 でも、読み始めたら、大学生の男の子と20歳の歯科医助手の女の子の、瑞々しい恋愛を描いた物で、
「どこがミステリー小説や。
 メチャメチャ若者の恋愛小説やんか。」
と言いたくなったね。


 ところが、99.9%まで恋愛小説だったのに、最後の0.1%で衝撃の事実が判明。
 そう言えば、この小説を紹介した文章に、
「決して、最後の2行を、先読みしないでください。」
と書かれていたけど、私も、最後の2行を読んだ後、吃驚してしまい、慌てて最初から読み直しを始めたんだよな。


 そんなわけで、この小説の衝撃の事実を紹介したいと思うのだが、これからこの「イニシェーション・ラブ」を読もうとする人は、決して私の紹介を読まないでください。
 と言うのも、インターネットの彼方此方に載っている解説やネタバレよりも、もっと詳しい紹介を書きますから。


 それでも、
「紹介文を読む。」
と仰る方は、次のリンクをクリックしてください。




紹介文へのリンク
「イニシェーション・ラブ」の解説


2015.08.30 「秘密結社にご注意を」「当確への布石」

 稲刈りシーズンだと言うのに、朝から雨。
 ドーンと降る時も有ったし、ショボショボと降る時も有ったし、結局はほぼ一日中、雨が降っていたねえ。


 で、昨日中断した芝生刈りも出来ないし、草刈りも出来ない。
 と言うことで、終日、読書をして過ごした。


 読んだ本は、最近嵌(はま)っている「このミステリーがすごい大賞」で、
・第11回の優秀賞を受賞した、
 新藤 卓広(しんどう たかひろ)著、
 『秘密結社にご注意を』 
・第5回優秀賞を受賞した、
 高山 聖史 (たかやま きよし) 著、
 『当確への布石』
である。


 先ず、「秘密結社にご注意を」だが、
・何でもきちんと調べたくなる性格の青野は、
 同じ課の気配り上手な課長と、同僚の女性が、
 普段は疎遠なのに目配せしたのを見て、
 不倫関係かも知れないと考えると棄てておけず、
 女性のアパートを見張ろうとしてストーカーに間違えられ、
 依願退職させられるが、
 月50万円の就職の声が掛かり、その会社に行くと、
 「傘を差して町を歩け」
 などの意味不明の仕事をさせられるし、
・元やくざの用心棒や、
 超美人なのに超口の悪い女子社員など、
・普通でない人間が集められ、
 普通でない仕事をさせられるが、
・実は、その裏には、
 全国的な影響を与える策謀が有った、
と言う話だ。


 次の「当確への布石」は、
・大学の準教授で、
 テレビのニュースショーでもコメンテーターを務める
 女性活動家の大原は、
 特に性的被害者の防止と救済の活動に力を入れているが、
・自分の主張を国政の中で実現させようと、
 衆議院議員の補欠選挙に出馬し、
・ゼミ(セミナー)の受講生などの支えの中で当選を目指すが、
・選挙に関しては素人の集団は、色々なトラブルや攻撃に
 翻弄され、
・それでも選挙戦を乗り越え、投開票日を迎える。
・さて、大原は当選するのか、
と言う内容である。


 それなりに面白かったね。
 こうなったら、「このミステリーがすごい大賞」関係の入賞作品は、とことん読み尽くすぞ!


 でも、漫才コンビ「ピース」の又吉直樹が書いた「芥川賞」受賞作品「火花」も読んでみたいな。


2015.07.29 鬼の居ぬ間に読書「四日間の奇蹟」

 今日の日記 その1

 5月27日の日記にも書いたが、最初にお願いですが、かみさんは私のこの日記(ブログを滅多に読まないので、特に、今日の内容をわざわざ教えないでくださいね。)

 と言うのも、かみさんは、「パッチワーク&ソーイング教室」に行ったので、
「鬼の居ぬ間に洗濯」
ではないが、私も、休日にして、一日仕事から離れて遊ぼうと思ったのである。
 だから、私がかみさんのことを「鬼」呼ばわりしているなんて、決してかみさんには言わないでくださいよ。


 因みに、「鬼の居ぬ間に洗濯」とは、
・怖い鬼が居なくて襲われない間に洗濯する、
 と言う意味ではなく、
・鬼のように怖い上司や気を遣う人が居ない間に、
 「命(いのち)=心」を伸びやかにして解放する。
ことを言うようである。

 さて、本題。
 午前中は必死に本を読んだ。
 読んだのは、
・「このミステリーがすごい大賞」の第1回大賞作品で、
・著作者:浅倉卓弥の、
・作品名:四日間の奇蹟
である。


 粗筋(あらすじ)は次のとおりだが、ネタバレしますので、これから小説やコミックを読んでみたり、映画を観てみたりしたい人は、読まないでください。
 「四日間の奇蹟」の粗筋へのリンク

 なお、読後の私の評価は「C」。
 確かにファンタスチックで美しい話だし、強盗以外は誰も悪人が居なくて心温まる小説だが、セリフ(会話)が説明的で長過ぎ、ちょっとうんざりしてしまうところがあるからである。
 そんなわけで、ぼちぼちお勧めです。



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 今日の日記 その2

 午後は、
「思いっ切りパチスロをしてみよう。」
と考え、午後5時半までパチスロを打ってみた。


 勝ち負けは、残念ながらちょっと負けた程度だったが、それよりも、
・半日も同じ姿勢で椅子に座り、
・コインをスロット機に入れ、
・レバーを押してドラムを回転させ、
・回転する絵柄を狙って止める、
ことを延々と繰り返すことに疲れ果ててしまった。


 好きな人は一日中パチンコ店に居るのだが、私にはとても出来ないことに気付かされた一日だった。

 やっぱり、午後4時まで作業などをし、いそいそと着替え、いそいそと走って行き、午後5時前から7時前までの2時間程度を楽しむのが自分に合っていると、再確認と学習した日でした。
 やれやれ。
 


2015.07.17 「ある少女にまつわる殺人の告白」

 今日は、台風11号の所為で一日中雨が降っていたので、殆ど何も出来なかった。

 そこで、
・最近嵌(はま)っている「このミステリーがすごい」大賞の、
・第9回優秀賞を受賞した作品、
・「ある少女にまつわる殺人の告白」
を読んだ。


 面白かった。
 だが、結末は、なかなか重苦しいもので、
「ここまでトリックを組み立てれるとは、小説家の才能は凄いものだ。」
と感心すると同時に、
「ちょっと嫌だなあ。
 後に残るものがあるなあ。
 しかし、虐待は、現実にも、これくらい重いのだろう。」
と心が引っ掛かってしまった。
 だから、皆さんには、お勧めして良いのか悪いのか、悩みます。


 さて、粗筋。
 この小説は、東京から来たルポライターらしき男性が、その当時の、児童相談所長、小学校教諭、小児科医師、少女の同級生などを訪問し、10年前に起きた殺人事件の背景を調べていき、それぞれの告白を綴る形で進められている。

 児童相談所の所長を務める精神科医に、大学で一緒に学び今は大きな病院の院長を務める同級生から、
「交通事故に遭った少女の身体に、
 虐待の傷が有るから、誰か来てくれ。」
と電話が入り、所長自ら出掛け、虐待であると判断し、少女「長峰亜紀」を保護する。


 亜紀の母はとても美しい人で、家の商売が傾くと、家計を助ける為に水商売に勤め出すと、年下の杉本と言う男に掴まり、離婚し、亜紀を連れて杉本と同居を始める。
 しかし、杉本は、仕事もせず、母や亜紀に暴力を振るうようになり、亜紀は、虐待から逃れる為に自ら車に飛び込んだと思われることが判明。


 母親譲りの綺麗な顔立ちと、心配りの出来る優しい心を持つ亜紀に、児童相談所の職員はみんなフアンになってしまい、何とか亜紀を杉本の元に戻さず、祖母(母親の母)の住む東京に逃がそうと必死に努力する。
 その努力が実り、亜紀と幼い弟と母親を東京に逃がせたと安心した所長たちは、どんでもない事実に打ちのめされる。


 これだけでも、なかなかのミステリーだが、この小説のミステリーの凄さは、こんなものではない。
 と言うのも、
・殺されたのが亜紀だと思いながら読み進めていたら、
 そうではなく、別の人間が殺されたこと、
・殺されてはいなかった亜紀の、その後の生活の様子、
・調査をしていたルポライターらしき男が、
 実はルポライターではなく、関係者だったこと、
などが最終章で書かれているのだが、これがとんでもない結末であったからである。


 そんなわけで、読む値打ちは有ります。
 しかし、読んで良かったと思えるか否かはそれぞれにお任せしますので、自己責任でどうぞ。


2015.07.01 「禁断のパンダ」

 午前中、雨が降り続いたので、「晴耕雨読」の言葉どおり、読書に没頭した。

 読んだのは、
・推理小説、ミステリー小説の新人の登竜門になっている
 「このミステリーがすごい」大賞コンクール
 で第6回大賞を受賞した、
・「拓未 司」著作の、
 「禁断のパンダ」
というミステリー小説である。


 流石に大賞を受賞しただけあって面白く、朝からお昼までの4時間、休む暇も無く読み切ってしまった。
 実は、この数日で、同じく「このミステリーがすごい」で、
・第2回大賞を受賞したで
・「柳原 慧」著作の、
・「パーフェクトプラン」
を読み終わったばかりなのに、小説を読み始めると止まらないことが多いのである。


 これからこの本を読む人もいるかも知れないので、ネタバレ的なことは書かない方が良いのだろうが、
「読んでみたい」
と思われる方が増えるように、ちょっとだけ触れておこう。

 先ず、このミステリー小説の背景・テーマとなっているのは、「グルメ」である。
 神戸市で、ビストロ(気軽に利用出来る小レストラン)を経営する若手料理人と、これ以上の料理はこの世には無いのではないかと思わせられる料理人、そして究極の味覚と臭覚を持つ料理評論家が料理を追求する中で、殺人事件が勃発すると言う流れである。

 因みに、題名の「禁断のパンダ」だが、料理を追求する中で、とうとうパンダを食べると言うことではなく、
「竹を主食とするパンダは、実は肉食獣でもあり、
 肉を与えると喜んで食べる。」
と言う事実が、事件の中身を暗示示唆していると言うことである。

 もう少し付け加えると、肉食獣だったパンダは、時として共食いをし、神の怒りを受けて竹しか食べられない環境に追いやられたと言うことからの「禁断のパンダ」なのである。
 勘の鋭い人は、物語の中心に気付いたかも?


 面白いし、終わり方が凄く意味深なのでお勧めします。
 私は、第9回「このミステリーがすごい大賞」優秀賞受賞の、「ある少女にまつわる殺人の告白」を、図書館に予約しました。
 楽しみ。


2015.06.02 深山(みやま)の桜

 今までも書いてきたけど、私の趣味は、
1位:パソコン、インターネットなどのIT・SNS関係、
2位:読書、
3位:映画鑑賞、
であるけど、その2位の「読書」のことを書きます。


 と言うのも、
・「このミステリーが凄い大賞」で優秀賞を受賞した
・神家正成(かみやまさなり)の著作、
 「深山の桜」
を読み始め、あまりにも先が気になって、
「明日が辛くなるだろうなあ。」
と思いながら、午前1時を超えてまで読み続けてしまったのである。


 因みに、この小説はミステリーの形を採っているが、それよりも、
・南スーダンにPKO派遣された自衛隊員の活動を描く中で、
・自衛隊員の生き様や誇り、苦悩などを綴っているもので、
・今、日本中を揺さぶっている、
 集団的自衛権や海外派遣についての問題提起も行っている、
作品である。

 そして、作者は、自衛隊員としての決意を、詠み人知らずの短歌、
「あれを見よ 深山の桜 咲きにけり
           真心尽くせ 人知らずとも」

で表している。
 自分の家族の安否を後回しにしてでも、災害復旧に頑張る自衛隊員の気持ちを代弁しているではないだろうか?


 作者は、元自衛隊員で、戦車の操縦手をしていたそうで、自衛隊のことが細かく書かれているしリアリティも有る。
 ミステリーとしてはあまり評価しないけど、自衛隊理解の1つとしてお勧めです。
 一度読んでみてください。


2015.04.29 「女王はかえらない」

 何度も書いているけど、私の趣味の、
第1位は、パソコンいじりやインターネット、
第2位は、映画鑑賞や映画DVDコレクション、
第3位は、読書、
というところかな?


 最近、楽しんでいるのは、ミステリー小説の新人賞として有名な「このミステリーがすごい大賞」だが、今回も、この賞の大賞を取った小説の紹介だ。
 その小説は、
・粗筋(プロット)を萩野瑛(はぎのえい)という女性が、
 執筆は鮎川颯(あゆかわそう)という女性が、
 降田天(ふるたてん)というチーム名で書かれた、
・「女王はかえらない」
である。


 この小説、大賞を貰ったのだから面白いのは間違いないが、読み終わった後に残るものが微妙なので、人によっては、
「読むじゃなかった。」
と思うかも知れない。
 でも、私は、驚くべき、有り得ない、想像を絶する「どんでん返し」にひたすら感心しまくって、ついつい過激な設定も受け入れてしまったほどだ。


 さて、粗筋だが、3部に分かれていて、
<1部 こどもたち>
・片田舎の針山小学校3年1組では、
・マキと言う名前の女子児童が女王のように君臨し、
 女子生徒を序列化し、支配し、
 思いのままに振る舞っており、
・他の女子児童は、マキのご機嫌取りに必死で、
 男子児童も、マキには逆らわないようにしている。
・そんな中でも、メグは、マキを諫めたり、
 マキに虐められた子を庇ったりするが、
 その度にマキに反撃を喰らい、傷付いているし、
 この物語の語り部である主人公「おっさん」は、
 クラスで一番頭が良いことで特別な位置に居て、
 傷付くメグを庇ったり止めたりしている。
・4年生になり、
 クラス替えも無くてマキの天下が続いてたが、
 東京からの転校生エリカが来て、
 クラスの半分の女子児童を味方に付け、
 マキグループとエリカグループの壮絶な争いになり、
 その間に挟まれて、心優しいメグは、
 傷付き苦しみ、おっさんも心を痛める。
・そして、エリカが死ぬと言う事件が起きる。

<2部 教師>
・昔は針山小学校の児童だった大崎真琴は、
 針山小学校の教師となり、
 担任する女子児童が行方不明になる事件に苦しみ、
 なおかつ、児童との心の溝に悩んでいる。

<3部 真実>
・行方不明だった女子児童が
 誘い出した大学生の元から発見される。
・これを機会に、同級生が集まり、
 小学4年生の時にエリカが死亡した時の
 状況と真実が明らかにされる。

と言うものだ。

 この驚愕の事実は今までに無い設定で、読んだ人の受け取り方は、是と非、白と黒、可と不可の両極端かも知れない。
 いずれにせよ、一読をお勧めします。


2015.04.13 「さよならドビュッシー」

 何度も書いているけど、私の趣味の、
第1位は、パソコンいじりやインターネット、
第2位は、映画鑑賞や映画DVDコレクション、
第3位は、読書、
というところかな?


 その読書で、あまりにも面白くて、昨晩は半徹夜で2/3を読み、残りは今日の夕方から必死に読んだ小説がある。
 それが、表題の「さよならドビュッシー」だ。


 この小説は、著者が中山七里で、第8回「このミステリーが凄い」大賞を受賞したもので、
・大富豪の祖父と従姉妹と共に火事に遭い、
・祖父と従姉妹は焼死したが、
・自らは下皮組織やそれ以上の深部までの火傷を、
 体表の34%も受けながら奇跡的に生き延びた女子高校生が、
・何度も再生手術を受けて奇跡的に回復するが、
・祖父の莫大な遺産を相続したことから命を狙われ、
 母までも殺されながら、
・最良の指導者に恵まれて、ピアニストを目指し、
・小学生から大学院生までが参加する
 学生参加としては最大規模のピアノコンクールで優勝するが、
・その背景には驚きの真実が秘められていた。
と言う内容だ。


 この小説では、ピアニストを目指す者の訓練の様子や、ドビュッシーやショパンの作った曲の特徴や解釈、ピアノの魅力などが表現豊かに書かれており、ミステリーとしての面白さ以外にも充分楽しめるものだった。

 ただ、ピアノやクラッシック音楽には門外漢の私なので、この小説に書かれていることがどこまで信憑性のあるものか分からないが、とにかく面白かった。
 ピアノやクラッシック音楽の好きな人は、是非、読んでみてください。
 私が半徹夜で読んだほどの作品ですから。