怪物の木こり 粗筋とネタバレ
第五部「その後」
小説の構成は無視して、時系列で並べてあります。
<「映美」と「二宮彰」>
・「剣持武士」を殺した後、
気を失っている「映美」を、アパートに戻し、
「映美」はマスクを被った強盗に襲われたこととし、
たまたま「二宮彰」が訪ねて行き、発見したことにした。
・入院している「映美」を見舞いに来て、お礼を言われ、
「二宮彰」は、
”謝らなければならないのは、僕の方かも知れません。
強盗は、僕を襲ったきっかけから「映美」を知り、
襲ったかもしれないから。”
と謝ってみせる。
・それに対して、「映美」は、
”あんたのせいじゃない。助けてもらったお礼を言わなきゃ。”
と答えると、「二宮彰」は、
「おやすみ」の歌を歌ってくれるよう頼み込み、
「映美」が歌いだすと、「二宮彰」は、またまた号泣するのである。
・号泣する「二宮彰」を観て、「映美」は、
”そんなに泣かれると、こっとが照れるよ。”
と恥ずかしがる「映美」だった。
・その時、「二宮彰」は、
”いつも怒り狂い「二宮彰」を殴る「東間翠」から「二宮彰」を守り、
代わりに「東間翠」から殴られていたニット帽の少年こそ、
「剣持武士」だったことを思い出していた。
のである。
<「戸城嵐子」の決意>
・「剣持武士」が脳泥棒ではなかったかと言う「栗田」の仮説は、
証拠も無く、脳泥棒連続殺人事件の迷宮入りが強くなった。
・そして、科警研プロフィラーの「栗田」も帰って行くことになり、
「栗田」は、「戸城嵐子」に、
”脳泥棒殺人は、「剣持」を殺した犯人を捕まえることが、
本当の解決になるでしょう。”
”しかし、この犯人は要警戒人物だから、気を付けてください。”
と言う。
・それに対して、「戸城嵐子」は、
”「剣持武士」を超える怪物だからこと、捕まえなければならない。”
と、強く決意する。
<「二宮彰」の選んだ道>
・「杉谷九朗」が、
”色々なデータから、「彰君」の脳チップを新しい物に交換出来る。
手術のリスクは有るが、サイコパスに戻れるよ。”
と提案する。
・その時、「二宮彰」の頭の中に、
歌を歌う「映美」の姿が浮かんでいた。そして、
”あれを失う人生にどんな価値があるのか。”
と思うのだった。
・そして、「二宮彰」は、
”俺は、今回の件で、
『人の心と言うものが、ただ煩わしいだけのものではない』
と学んだ。”
”だから、手術はしない。俺は、怪物に戻らない。”
”サイコパスでなくなることで、不利益が生じると理解している。
だが、俺は、「剣持武士」が言っていた、
『生きることの意味と言うものに興味が有るんだ。』”
と答える。
・「杉谷九朗」は、
”僕も、「章君」がどうなって行くか興味が有る。”
”なれると良いね。普通の人間に。”
と言ってくれた。
・「二宮彰」は、「おやすみ」の歌を口ずさむ。
<「怪物の木こり」>
この物語の題にもなっている「怪物の木こり」とは?
「オズの魔法使い」と言う、名作の童話?が有る。
その中に、「ブリキ」の木こりが出て来るが、
・ブリキの木こりは、ブリキで作られているので、
心までブリキで、人間の心が欲しくて、旅をする。
・この小説に出て来る脳泥棒殺人犯人の「剣持武士」が持っていた
「怪物の木こり」と言う本は、ブリキの木こりを元に書かれた本だろう。
・「怪物の木こり」と言う本の中の怪物は、
木こりに化けて村の中に入り、村人を食べていた。
・しかし、本屋である村人を襲った時に、本屋から、
「貴方は、怪物が木こりになっているのではなく、
木こりが時々怪物になるんですよ。」
と言われ、自分の存在に疑問を持つようになる。
・そして、自分の仲間を増やす為に、色々な村に行って、
子どもたちの耳を引っ張って怪物の耳にし、
歯を削って、怪物の牙にして、
友達仲間を増やして行った。
・怪物の木こりは、
「大きくなった友達が、自分が怪物なのか木こりなのか、
きっといつか教えてくれるだろう」
と信じて。
・脳チップを埋められてた元の仲間を殺してた「剣持武士」は、
脳チップが壊れて、人間の心を持った時、
怪物の木こりのように、むりやり増やされたサイコパスが、
自分のように人々を苦しめたり傷つけたりしてるのを知り、
止めさせたかったのだろう。
・「怪物の木こり」と言う本の中の怪物は、
自分の存在に悩み続けるが、
脳チップが壊れて、人間の心を知ったサイコパスたちは、
もう怪物ではないのだろうか?
・「二宮彰」は、
”人間らしい心を知って、「映美」との生活も失いたくない。”
と思うが、同時に、
”サイコパスの心に切り替える方法も身に着けたので、
壊れた脳チップを取り換えなくてもやって行ける。”
と言う。
「二宮彰」こそが、本物の怪物なんだよね。
そんな怪物が生き延びて行く小説の終わり方は、
良いんかい?
悪いんかい?
それを問いながら、一旦は終わろう。
でも、もう少し書くことが有りそうなので、
中断
である。