怪物の木こり 粗筋とネタバレ


 小説「怪物の木こり」を読んだ。

 この作品は、
・著者が倉井眉介(くらいまゆすけ)の、
・ミステリー小説で、
・第17回「このミステリーがすごい大賞」コンクールで、
 大賞を受賞した作品、
である。

 その粗筋とネタバレを書き残すが、いつもお断りしているように、
・構成の工夫、
・トリックの妙、
・最後まで犯人を明らかにさせない、
などの作者の意図は完全に無視したネタバレなので、それを覚悟で読んでください。


<解説>

 この小説を読むに当たり、理解しておいた方が良さそうな事柄の解説を書いておく。

1)サイコパスとは

 この小説では、「サイコパス」が主題となっているが、その「サイコパス」とは、
・日本語では、「精神病質者」と言い、
・脳の障害や特性から、
・人に対して冷酷であったり、
 弱い物や困っている者に無慈悲であったり、
 尊大で人を見下すような言動を取り勝ちだったり、
 良心の欠如や罪悪感の薄さで、犯罪や反社会的行動を起こしたりする
人間のことである。


2)サイコパスの治療

 サイコパスは、
・持って生まれた脳の特性であり、
・確立された治療方法は無い、
 とされているが、
この小説では、脳に埋め込んだマイクロチップで制御しようとすることが書かれている。

 また、専門医学に詳しくない私には、それが本当かどうか分からないが、小説の中では、
・首の真ん中辺りに有る「偏桃体(へんとうたい)」が、
 人間の感情や欲望を司る部分で、
・目の後ろの「眼窩前頭皮質(がんかぜんとうひしつ)」が、
 人間の倫理を司る部分で、
・例えば、誰かに腹が立った時、
  「偏桃体」の感情が
    「殴ってやりたい」
  と感じても、
  「眼窩前頭皮質」の倫理が、
    「止めておけ」
  と言う信号を送るので、
 人を殴る行動が中止される、
 のだが、
・サイコパスの人間は、
 「偏桃体」と「眼窩前頭皮質」を繋いでいる
 「鉤状束(こうじょうそく)」がスカスカで機能しないから、
 サイコパスの言動を取る。
と述べている。

3)脳チップ

 小説に出て来る「チップ」は、米粒大のマイクロチップである。

 これを、脳に埋め込むことは、現在でも行われていない。
 あくまでも小説の中の話である。

 しかし、脳以外なら、現在でも既に行われている。
 例えば、
・簡単なマイクロチップを、犬や猫の身体に埋め込むことで、
 迷子になっても、飼い主の情報などが瞬時に把握出来る
 ようにしたり、
・人間の手などに、会社の情報などを記録させたチップを埋め込み、
 建物への出入りやコンピュータとの接続を、簡を単に出来たり、
などなど。

 また、本当かどうかは分からないが、
・兵士の身体の彼方此方にチップを埋め込み、
・筋肉や脳に刺激を与えて、
  より強い力を出させたり、
  恐怖心をマヒさせたりして、
 最強兵士を作り出そうとする研究が行なわれている、
とも聞いている。

 で、小説の中では、
・正常に生まれた子どもの脳を切り開いて、
・「偏桃体」と「眼窩前頭皮質」を繋ぐ「鉤状束」をマヒさせる為、
 脳チップを埋め込んで、
・人為的にサイコパスを作り出す、
ことがテーマになっている。


粗筋とネタバレ

 それでは粗筋とネタバレを。
 小説の構成は無視して、時系列で並べてみました。


<2000年>

・医師である「東間翠(とうま・みどり)」は、
  「脳チップを埋め込むことで、人格を改造する」
 研究を発表し、学会やマスコミからバッシングを受け、
 医師会を追放される。

・その後、「東間翠」は、
 人当たりが良く人に信用される夫「東間和夫」を使い、
 3歳前後の子どもたちを誘拐させ、
 自宅で、子どもたちの脳を開けて、脳チップを埋める手術を行なう。
・手術の成功した子どもは、手術の痕が分からくなるまで育て、
 その後は、養護施設などの前に捨てさせていた。
・捨てられた子は、施設で育てられ、それぞれ成長。
・手術が失敗した子どもたちは死んでしまい、
 東間夫婦の住む館の裏に埋められ、
 その数は、15人を数えるほどであった。

・「東間夫婦」が逮捕されるきっかけになったのは、
 或る警察官の友人夫婦の息子「武士」が行方不明になり、
 警察官は誘拐かも知れないと考え、
 デパートなどの駐車場を見張っていた時に、
 「東間和夫」が、幼い子どもを車に誘い込んでいるのを見て、
 声を掛け、「東間和夫」は逃げたが、ナンバーを覚えてたので、
 車の持ち主を突き止め、館の捜索をしたからである。

・「東間翠」が脳チップ埋め込み手術を行なっていた理由は、
 夫婦の10歳になる息子が、
 物を盗む、動物を平気で殺す、親をバットで殴るなど、
 残虐なサイコパスであった為、
 サイコパスになるメカニズムを解明する為に、
 行なっていたと言う。
 また、サイコパスの原因が解明されれば、
 サイコパスの治療に活かせると言っていたという。

・そんな「東間夫婦」を陰で支援する人物がいた。
 それは、自分の2歳の娘がサイコパスの人間に殺され、
 サイコパスへの怒りを持っていた「金木満治(かなきみつはる)」で、
 彼は、資産家であり、
 脳チップ手術をされた子どもたちが捨てられてた養護施設に、
 多額の寄付をしている人物であった。


<2024年>

・仕事もしない夫を支えていた26歳の「剣持咲(けんもち・さき)」は、
 自宅の階段で足を踏み外して転落。死亡してしまった。
 そして、夫は、5千万円の生命保険金を受け取った。
・夫の「剣持武」は、前妻も同じような死に方をしていたので、
 保険金殺人が疑われたが、証拠が無く、起訴されなかった。
・しかし、担当だった警視庁捜査一課刑事「乾登人(いぬい・のぼる)」は、
 どうしても「剣持武士」を許せず、陰で不法な捜査を続けていた。

・そんな中、娘「咲」の誕生日に、父「渡辺伸夫」が、
 「剣持武士」を訪ね、
  ”せめて、娘の墓に参って謝罪してほしい。”
 と訴えるが、「剣持武士」は、聞くに堪えない言葉を投げ付け、
 止めに入ったはずの「乾登人」は「剣持武士」を殴り、
 処分を受けて、品川署に異動させられていた。

・「戸城嵐子(としろ・らんこ)」は、機動捜査隊に所属する刑事で、
 この事件の捜査に関わっていて、
 「乾登人」の人柄と、刑事としての能力を信頼するようになった。


<2026年 連続殺人事件の発生>

・異状連続殺人の、一人目の被害者が出た。
・夫が出張中に、29歳の専業主婦「石川真澄」が殺され、
 斧(おの)のような物で頭蓋骨を叩き割られ、
 脳味噌が奪われると言う事件が発生。
・被害者の「石川真澄」は、
  元の婚約者から夫を奪ったり、友達の彼氏を次々奪ったり、
  ホステス時代も、同僚のお客を奪ったりと、
 身勝手で、評判の悪い人間だった。

・異状連続殺人の、二人目の犠牲者が出た。
・29歳の「岩田三郎」は、傷害や強姦などを犯すチンピラだったが、
 愛人のアパートで殺害される。
・そして、「岩田三郎」も、頭蓋骨を叩き割られ、脳味噌が奪われてた。

・同じく脳味噌が持ち去られた殺人事件だが、被害者の二人に接点は無く、
 捜査は難航。
・しかし、「乾登人」の
  ”新たな視点から調べれば、観えて来るものが有るかも知れない。”
 の提案で調べ直すと、
 「二人とも、児童養護施設の前に置き去りにされてた捨て子だった」
 ことが判明する。

・異状連続殺人の、三人目の被害者が出た。
・31歳の「満田義男(みつた・よしお)」が殺され、脳味噌が持ち去られた。
 「満田義男」も、養護施設の前に捨てられていたが、
 半年も経たずに里子に貰われていた。
・「満田義男」は、強引な取材をすると評判のフリーカメラマンだった。


<科警研プロフィラーの投入>

・捜査が行き詰まり、警視庁の付属機関である、
 「科学警察研究所」のプロファィリングチーの3人が投入された。
・その中のリーダーである「栗田」は、
  ”殺人に当たり、念入りな調査と、忍耐強くチャンスを待つなど、
   知能が高く、理性的である。”
  ”捨て子ばかりが殺されていることから、
   犯人も捨て子であった可能性が有る。”
  ”もしくは、児童養護施設に関わりが有り、情報を得易い人物。
   もしくは、その人物に接触し易い人物。”
  ”後者の場合、児童養護施設に関わりの有る人物は、
   既に、殺されているだろう。”
  ”犯人は、今までに、何人も殺しており、
   殺しに慣れて来ている。”
  ”しかし、今までは、死体を隠して殺人が分からなかったのに、
   何らかの理由で、死体を隠せなくなってしまったようだ。”
 などのプロフィリングを、捜査陣に伝えるのだった。


<二宮彰の場合>

・「二宮彰(にのみや・あきら)」は、弁護士で、サイコパスである。
 優れた頭脳を駆使し、嘘を付き人を騙し、財産を築き、
 邪魔になる人間は殺し、倉庫代わりに借りている建物の床底に、
 死体を埋めて来た。

・「二宮彰」には、「杉谷九朗(すぎたに・くろう)」と言う、
 高校時代から付き合いの有る、唯一の友人が居る。
・「杉谷九朗」は、杉谷病院の息子で、脳神経外科の医師であるが、
 彼もサイコパスで、平気で生きた人間の脳を弄って研究するような、
 異常性を持った人間である。

・「二宮彰」には、交際している「映美」と言う女性が居る。
 「映美」は、「二宮彰」が弁護士として顧問を務める会社社長の娘で、
  ”父の勧める相手と付き合えば、父親からの干渉を逃れられる”
 と言う理由で、仕方無く付き合っている。
 その所為で、「二宮彰」には、素っ気無い態度を取っていて、
 常に、上から目線の態度を取っている。

 また、「二宮彰」も、打算で、「映美」と交際を続けている。

・「映美」は、「二宮彰」に、人並みの感情が無いことを見抜き、
 そのことを、あからさまに指摘したりしている。


<襲われた二宮彰>

・「二宮彰」は、自分を尾行する者に気付き、
 人影の無い場所に誘導し、捕まえて拷問する。
・その男は、「杉谷九朗」と同じ病院に勤める「矢部正嗣」で、
 「杉谷九朗」の従兄弟で、将来、「杉谷九朗」と院長争いをする、
 「杉谷健吾」を支持する人間だった。
・「矢部正嗣」は、「二宮彰」と「杉谷九朗」が友人なので、
 「二宮彰」を探れば、「杉谷九朗」の弱みが握れると考え、
 尾行していたと白状する。
・尾行の理由が分かったので、用が無くなった「矢部正嗣」を、
 簡単に殺して、いつも、死体を隠す倉庫代わりの建物に埋める。

・その一週間後、仕事を終えた「二宮彰」がマンションに戻ると、
 駐車場で、
  青いレインコートを着て、
  鋭い牙と大きな耳の生えた怪物のマスクを被り、
  右手に小振りの手斧を持った、
 人間に、頭を叩き割られそうになり、かろうじて避ける。
・襲われた理由を質す「二宮彰」に、襲った犯人は、
  ”お前ら怪物は、死ぬべきだからだ。”
 と言う。
・余裕を持って逃げ出した「二宮彰」に向い、犯人は手斧を投げ、
 刃は当たらなかったが、木の持ち手が「二宮彰」の頭に当たり、
 「二宮彰」は倒れる。
・手斧を拾った犯人が、「二宮彰」に迫ろうとした時、
 同じマンションの住人の女子大学生が観て、助けを連れて来たので、
 犯人は逃げて行く。
・面倒なことにならないよう、「二宮彰」は、財布を取り出し、
 一万円札を3枚飲み込み、強盗に遭ったように見せ掛ける。


<映美の見舞いと二宮彰の変化>

・救急車で西新宿病院に運ばれた「二宮彰」は、
 右側頭部の頭蓋骨を骨折し、硬膜外血腫を起こしていた。
 しかし、軽度の為、手術をせず、経過観察となった。
・そこへ、「映美」が見舞いに来て、
 映画DVDをいっぱい渡す。

・映画など観る気は無かった「二宮彰」だったが、
 その中の1枚を手に取って、固まってしまう。
 と言うのも、そのDVDのカバーに描かれていた怪物の姿が、
 自分を襲った犯人が被っていたマスクと同じだったからである。
・恐怖映画を観ても、何の反応も示さなかった「二宮彰」が、
 怪物の表紙を見て恐怖を示したことで、「映美」は、
  ”頭を打って、性格が変わったのかな?”
 と思ったが、その考えを打ち消す「映美」であった。


<二宮彰の脳チップ>

・主治医の「益子」は、
  ”怪我は大きな問題は無い。
   それよりも問題は、脳チップが壊れなかったかです。”
 と言う。
・それを聞いて、「二宮彰」は、初めて、
 自分の脳の中に脳チップが埋め込まれていたことを知る。
・そして、
  ”自分の子どもが怪物だと知った両親が、
   脳チップを埋めて治そうとしたが、成功しなかったので、
   持て余して、児童養護施設前に捨てたのだろう。”
 と推測する。


<二宮彰の変化>

・「二宮彰」は、「映美」が見舞いで持って来てくれた映画DVDを、
 退院後も観続け、全部観てしまった。
 元々は、「映美」への言い訳に、2,3枚だけ観るつもりだったが、
 どれも面白く感じて、30枚のDVD全部を観てしまったのである。
 そして、
  ”おかしいなあ。映画って、こんなに面白かったかな?”
 と、自分でも不思議に感じていた。

・「二宮彰」の弁護士事務所に勤める「手塚」が見舞いに来た時、
 「映美」も一緒に来て、「二宮彰」が30枚のDVDを観たことに驚く。
 そして、DVDレンタルショップに、「二宮彰」を引っ張り出す。

・DVDを選んでいる時、
 ヒステリックに子どもを叱る母親の姿を観た時、「二宮彰」の頭に、
  ”ニット帽を被った男の子をひっぱたく、40過ぎの短髪の女”
 の姿が、フラッシュバックのように蘇り、
  ”これは、映画で観たシーンではなく、自分の記憶だ。”
 と知って、「二宮彰」は呆然とする。
・そんな「二宮彰」の姿に、「映美」は怪訝そうに心配する。

・店内でしつこく子どもを叱り、びんたをする母親に近付き、
 腕を掴んで、
  ”もう止めろ。叩いた分、こどもは余計に泣くだけだ。
   この腕、へし折ってやろうか?”
 と言いながら、本当にへし折りそうな「二宮彰」を、
 「映美」が慌てて止めに入り、
  ”あんた、本当にどうしたの?”
 と聞くような顔をして見つめていた。
・しかし、その答えを知りたいのは、「二宮彰」自身だった。


<連続殺人が続く>

・11月の半ば頃、4人目の被害者が出た。
 31歳で、名前の知れた料理研究家である「鈴木祥子」が、
 頭を叩き割られ、殺された。
・その一週間後、5人目の被害者が。
 30歳の、銀行員である「小林光彦」が、
 頭を叩き割られ、殺された。

・2人とも、やっぱり捨て子だった。


<殺人と怪物マスクの再襲撃>

・「二宮彰」が見掛ける「山野」親子が居る。
 どうと言うことは無い親子だが、
 娘のネネが、父親から虐待を受けているのは明らかだった。
・そして、虐待に怯えるネネを見る度に、
  ”ニット帽を被った男の子をひっぱたく、40過ぎの短髪の女”
 の姿が、フラッシュバックするようになってしまい、
 「山野」を殺害したい衝動が高まるのである。
・そして、遂に、酔っぱらてふらふら歩く「山野」を、
 川に突き落とし、殺してしまう。

・「山野」を殺した帰り道、フッと振り返ると、
 怪物マスクの男が迫っていた。
・社殿への階段を駆け上がり、社殿を蹴破って、
  ”この社殿には警報装置が着いているから、
   警察が直ぐにやって来るからな。”
 と脅すと、怪物マスクは、諦めて去って行く。
・それを観て、「二宮彰」は、
  ”俺の方こそ、お前を殺してやる!”
 と決意する。


<杉谷健吾の殺害と二宮彰のトラブル>

・「二宮彰」を襲った人間が被っていた怪物マスクを、
 「杉谷九朗」の従兄弟の「杉谷健吾」が持っていると知り、
 「二宮彰」と「杉谷九朗」は、「健吾」を誘拐し拷問する。
・しかし、「健吾」は犯行を認めず、かと言って解放も出来ず、
 「二宮彰」は、ナイフで「健吾」を刺し殺そうとする。

・その時、「健吾」は、暴れることもせず、
  ”和哉(かずや)・・・”
 と息子の名前を、ポツリと呟くだけだった。
・その言葉を聞いた途端、「二宮彰」の腕が固まり、
 「健吾」を刺せない。
・「健吾」をナイフで刺そうとする度に、スマートフォンで観た、
  ”バーベキュー会場で、
   転んだ息子を助けようと駆け付ける健吾夫婦の姿”
 が浮かび、「健吾」を刺せないのである。
・その姿を観た「杉谷九朗」は、
  ”まずいな。脳内で出血しているかも?”
 と言いながら、「二宮彰」からナイフを取り上げ、
 躊躇いも無く、「健吾」を刺し殺す。
・死んで行く「健吾」を観た「二宮彰」は、
 人が死ぬのを見慣れているはずなのに、
 何故か耐えられず、意識が遠のいて行くのである。


<二宮彰の状態>

・「杉谷健吾」が殺されるのを見た「二宮彰」は、気を失う。
 サイコパスである「二宮彰」がそんなことになるのは
 「二宮彰」本人にとっても理解の出来ないことだった。
・しかし、「杉谷九朗」の病院に担ぎ込まれ、
 CTスキャンなどを受けた後、「杉谷九朗」は、
  ”彰君の頭の中に、
   脳チップが埋め込まれていたなんて、初めて知った。”
  ”彰君の頭に埋め込まれた脳チップは、
   治療の為ではなく、感情をコントロールし、
   サイコパスにさせる為の物だろう。”
  ”その脳チップが壊れた所為で、
   普通の人のような感情が生まれ始めたのではないか?”
 などと伝える。
・そして、二人は、
  ”脳チップの交換などの方法も有るが、かなり難しいことなので、
   今は、怪物マスクへの対応を優先しよう。”
 と話し合う。


<二宮彰への聞き取り>

・5人目の殺人が有ってから、約一か月間、
 次の殺人が起きていなかった。
・捜査チームは、
  犯人の目的が完了した、
  犯人が反撃を受けて怪我などし、動けなくなった。
  別の犯罪などで逮捕されている。
  6人目の殺人に失敗し、チャンスを狙っている。
 などの推理をし、最近の襲撃事件を調べ直すことにした。
・その結果、刃物の怪我ではないが、強盗に襲撃された、
 「二宮彰」を調べることにした。
・「二宮彰」は、事情聴取の時に、
 児童養護施設育ちと答えていたからである。

・「二宮彰」を訪れた「戸城嵐子」と「乾登人」だが、
 のらりくらりとはぐらかされて、収穫は無かった。

・逆に、脳泥棒殺人の被害者の写真を見せられ、
 被害者が児童養護施設に置き去りにされていた捨て子と知り、
 「二宮彰」は、
  ”自分を襲った怪物マスクの犯人が、連続殺人の犯人で、
   自分と同じように脳チップを埋められていたのではないか?”
 との思いに至る。

・「二宮彰」への聞き取りで、
  ”二宮彰が襲われたのは、斧ではない。”
  ”自分を襲ったのが、脳泥棒だと聞かされ、本当に驚いていた。”
 ことなどから、「戸城嵐子」と「乾登人」は、
  ”二宮彰は、今回の連続殺人とは無関係”
 と思ってしまう。

・しかし、「二宮彰」の、
  ”自分の頭は、大金を稼ぎ出す特別製”
 と言う言葉に引っ掛かった「乾登人」は、
  ”脳泥棒の被害者たちは、普通の脳とは違ってたのじゃないか?”
 と考え、被害者を調べ直したら、
  ”最初の被害者「石川真澄」の頭に、脳チップが埋められていた”
 ことが分かった。


 中断