読書日記
「少年と犬」
・映画にもなった「不夜城」などで有名な
「馳 星周」氏の、
・「少年と犬」で、
・第163回「直木賞」受賞、
・キャッチコピー(謳い文句)は、
「犬を愛する全ての人に贈る感涙作」
と言う小説の紹介である。
この小説は、
・6編の短編で成っていて、
・全ての編で、
「多門」と言う名の犬が関わっており、
・次々と飼い主が替わって行くのだが、
関わる人間の全てが、
死んだり、人を殺したりする、
シビアな内容でもある。
そこが、
ロマンチストの私には、
納得出来ない点である。
もう1つ、
私がこの小説を好きになれないのは、
犬を、人間に寄り添わせる形にして、、
如何にも、素晴らしい生き物、
神からの贈り物、
と、都合の良い道具のように書いている点だ。
私も、犬を飼っていたから、
犬は、そんなもんじゃない、
と言いたいんだよね。
だから、
この小説を、盲目的に讃えるのは、
納得出来ないと思えるのだが、
ひねくれているかな?
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「内村徹」と妻「光子」、息子「光」は、
岩手県釜石市に住んでいた。
2010年の初秋、
祖母「貞子」は、孫「光」を連れて、
公園で遊ばせている時、
「出口春子」が連れて来た、
子犬「多門」と出会い、
「光」と「多門」は、
離れ離れだった恋人同士のように、
惹かれ合い、繋がりを深めた。
2011年3月11日に、
東北地方太平洋沖大地震が起き、
津波も発生し、
・多くの人の命が無くなり、
・家屋や財産も無くなり、
・東京電力原子力発電所も崩壊し、
放射能が撒き散らかされ、
人々は、住む場所を失われ、
甚大な被害を被った。
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以下は、
第6話で明らかにされることの、
おきて破りの、早出し、ネタバレである。
「内村」親子も、津波に襲われ、
家も、家財も、船も、全てを失った。
加えて、
「光」は、トラウマに襲われ、
海を見る度に、泣き叫ぶようになった。
そこで、「内村」夫婦は、
縁を頼って、熊本県益城町に移住。
しかし、「光」は、
一言も喋らず、笑わず、絵を描き続ける
子どもになってしまっていた。
また、
「多門」の飼い主の「出口春子」も、
亡くなっており、
「多門」は、飼い主や「光」を探すように、
一緒に遊んでいた公園などを彷徨っていた。
この小説には、こんな背景が有ったのである。
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<第1話 男と犬>
・震災から半年経った秋の仙台。
・震災で職を失った「中垣和正」は、
盗品の売買をしている「沼口」の、
物品配達の仕事をし、収入を得て、
何とか生きて来た。
・しかし、
認知症の母と、
介護する姉の生活を支えるのに必死で、
何とか、収入を増やしたいと願っていた。
・そんな中、
コンビニの前で犬を拾い、飼うようになる。
・人に飼われていたようで、
首輪には、「多門」と書かれていた。
・認知症の母親の所に「多門」を連れて行くと、
母親は、凄く喜び、意識も回復するようで、
介護に疲れていた姉「麻由美」も救われる。
・「和正」は、中学生まで、
サーキットでカートに乗ってて、
運転が上手いことを認められていて、
「沼口」から、
窃盗団の運転手を斡旋され、
収入欲しさに引き受ける。
・窃盗団は、東南アジアから来た、
リーダーの「ミゲル」と、
「ホセ」「リッキー」の3人だった。
・「和正」は、彼らを、
仙台の宝石店の近くに運び、
宝石を奪って出て来た3人を乗せ、
拾った場所に送り届けた。
・その時、「多門」も乗せていたが、
「ミゲル」には、
”この犬は、守り神だ。”
と説明し、「ミゲル」も納得する。
・1回目の仕事で、
宝石店の被害は1億円に上り、
「沼口」には、数百万円が入ったようで、
「和正」も、20万円を貰う。
・その内の10万円を姉に渡すと、
姉は喜んでくれたが、心配もされる。
・2回目の送り迎えの仕事も上手く行き、
別れ際、ミゲルから、
”守り神の犬が気に入ったから、
100万円で譲ってほしい。”
と頼まれるが、断る。
・また、「沼口」から20万円を貰い、
姉に10万円を渡す。
・姉は喜ぶが、
”「沼口」の所で働くのは止めて。”
と頼んで来る。
・「ミゲル」たちの送迎は今回で最後、
と聞かされ、「和正」は、
”沼口の下で働くのは最後にしよう。”
と決意する。
・しかし、
「ミゲル」たちを仙台に呼んだ
やくざの「高橋」は、
「ミゲル」たちの稼ぎを奪おうと襲って来て、
「ホセ」と「リッキー」は殺される。
・そして、逃げようとした「和正」も、
突っ込んで来たやくざのワゴンに激突し、
”ご免よ、母さん、姉ちゃん。”
と詫びながら、「和正」は、死んでいく。
・「和正」の命は持たないと判断した「ミゲル」は、
「多門」を連れて、逃げて行く。
<第2話 泥棒と犬>
・「多門」を連れた「ミゲル」は、
日本を脱出する為に、新潟を目指す。
新潟が、ロシアなど、外国に行くに、
最適の場所だからだ。
・途中、イラン人の運転するトラックを
ヒッチハイクしながら、新潟に到着。
・「ミゲル」は、そこで、「多門」に、
”お前が守るべき奴のところに行け。”
と、離してやる。
・そして、新潟を出る前に、、
やくざの「高橋」の手下に追い付かれ、
殺され、稼いだ金も奪われる。
<第3話 夫婦と犬>
・富山市内。
・噛み合わない夫婦の、
自分中心な夫が、事故に遭い、
「多門」の見守る前で、死んでいく。
中断
<第4話 娼婦と犬>
・大津市内。
・ヒモに貢がされ、娼婦に落とされる。
・虚しい日々の中、「多門」を拾い、
「多門」に癒される。
・他の女と遊びながら、自分に貢がせるヒモを、
刺し殺す。
中断
<第5話 老人と犬>
・島根。
・飼い犬を亡くした、末期ガンの老猟師が、
「多門」を拾う。
・「多門」を連れて、手負いの熊を捜す中、
腕の悪い他県の猟師に、間違って撃たれ、
「多門」の見守る前で、死んで行く。
中断
<第6話 少年と犬>
・熊本県益城町。
・「多門」と「光」の再会。
中断