サナキの森 粗筋とネタバレ 粗筋その3
<孫「荊庭紅(いばら こう)への依頼 現代の話>



 平成になって。

 ペンネーム「在庭冷奴」で本名「荊庭零」は、自分が死ぬ時、孫の「荊庭 紅」に、ホラー小説「サナキの森」と遺言状を残した。

 その遺言状には、
「うるわしき我が孫 こうちゃんへ
  中略
 遠野市の小夜村の神社の、祠(ほこら)の裏に隠してある
 鼈甲の帯留めを探して来て、祖父ちゃんの墓へ供えてください。」
と書かれていた。

 そこで、岩手県盛岡市に住む、「荊庭 紅」は、祖父の頼みを叶える為に、「遠野市」の「小夜村」に向かう。
 そして、第二次世界大戦(太平洋戦争)前に起きた殺人事件の解決に挑む。

 その粗筋を書いておこう。



1)荊庭 紅(いばら こう)
・「荊庭紅」は、「荊庭零」のただ一人の孫で、27歳である。
・美術を学び、中学校で美術と家庭科を教える教師をしていたが、
 不適合を起こし、引き籠り気味である。
・美術を教える予備校の「陣野先生」に恋をしているが、
 自分の気持ちを上手く表せない。

2)遠野市佐代村(小夜村)神社と東条泪子
・盛岡市から遠野市に行き、バスを乗り換え、佐代村へ。
・バスの終点で降り、長時間歩いて、目的の「赤鳥神社」に到着。
・岸壁をくり抜いた中に建てられた祠(ほこら)を発見。
 女の子が遊ぶミニチュアのハウスくらいの大きさで、
 古びているが、威厳の有る物だった。
・そこで、祠の周りを探したが、「鼈甲の帯留め」は見付からず、
 祠の15cmほどの観音開きの扉を開けようとした時、
 「開けちゃだめでしょ!」
 と声が掛かり、驚いて振り向くと、
 左目が赤く充血した美少女が立っていた。
・美少女が近付いて来たので見ると、
 後頭部に、「鼈甲のバレッタ」が着いているではないか。
・美少女は、「東条泪子」と名乗り、
 バレッタは鼈甲で、
 「曾(ひ)お祖母ちゃん=曾祖母」から貰った物」
 と教えてくれ、
・「紅」が「荊庭紅」と名乗ると、「東条泪子」は、
 「曾お祖母ちゃんの手紙に、荊庭の名前が有った。」
 と、衝撃の話をしてくれた。

3)東条龍子の冥婚、小野行春と荊庭零
・「東条泪子」の家は、村で一番高い所に有り、立派で、
  築130年の物と言う。
・「泪子」は、
 「お祖母ちゃんの持っていた手紙には、荊庭零の他に、
  小野行春と言う名前の人が出て来る。」
 と言うので、「紅」は、
 「小野を、しょうのにして漢字を変えると、宵野になる。」
 と気付く。
・「泪子」は、1冊の本を出すが、その本は「サナキの森」だが、
 「龍子曽お祖母ちゃんは、この本を読み終わると、
 いきなり破いて、破いた分を燃やしたんだって。」
 と教える。
・龍子曽お祖母ちゃんの残した手紙を並べてみると、
 殆どが「小野行春」からの手紙で、
  〇自分は、友人で小説家の荊庭零と、
    河童を捕まえに、この地に来た。
  〇お宅の庭がとても立派だったので、忍び込んだが、
    その時に驚かせて済まなかった。
  〇その折に、番犬に噛まれた。
 などが書かれていた。
・「小野」の手紙は、回数が重なると、
 好意を滲ませるような文面になっていることに気付く。
・その中で、「荊庭零」からの葉書が有り、
  〇小野が自殺したこと、
  〇近々佐代村を訪ね、直接報告しに行く。
 と書かれていた。
・「泪子」は、
 「この村で、最後の冥婚をしたのが、龍子曽お祖母ちゃんだった。」
 と明かし、
  〇龍子曽お祖母ちゃんは、曾祖父の弟と冥婚した。
  〇曾祖父と曾祖母が、幼かった祖父を残して、事故死。
  〇龍子曽お祖母ちゃんは、血が繋がっていないのに、
   祖父を養子にして育て、東条家の血は残って来た。
 との話を伝えた。
・最後に、「泪子」は、
 「龍子曽お祖母ちゃんの姑(しゅうとめ)のお勢と言う人が、
  庭の納屋の中で、心臓から左わき腹にかけて、
  千切れるような傷を付けられ、殺されていた。
  まるで、サナキのようだったらしい。」
 と教える。

 お勢の死は、なぜ起きたのか?
 次のページに続く。

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