良書紹介
「連続殺人犯カエル男 ふたたび」



 表現が、余りにもグロテスクで、
読んでいても、胸が悪くなる
「カエル男」シリーズ。

 その2弾目の、
粗筋とネタバレを書く。

 いつものように、
いきなり、真犯人を書くと言う、
掟破りの粗筋とネタバレを書く。


 この小説は、
どんでん返しの繰り返しが、
作者の狙いなのに、
それなのに、私は、
いきなり、真犯人を書くので、
・そんなやり方が嫌いな人、
・この後、この小説を楽しみたい人、
は、読むのを止めてください。



 なお、
前作「連続殺人犯カエル男」の
粗筋とネタバレは、
次のページ(URL)でどうぞ。
http://komox2.sakura.ne.jp/dokusyo/kaeru-otoko/kaeru-otoko.htm



<三人の状況>

 前作で終わりでの、
犯罪者3人の状況を書いておく。

・「有働さゆり」は、
  真の「カエル男」として逮捕されたが、
   精神障害の所為で、
    医療刑務所に収監されている。
・「当真勝雄」は、
  連続殺人犯として逮捕されたが、
   「有働さゆり」に操られていただけ、
    と言う判断で、自由になる。
・「御前崎宗孝」教授は、
  「有働さゆり」をそそのかし、
   4件の殺人事件を犯させたが、
    証拠は無く、自由に過ごしている。

・「有働さゆり」と「当真勝雄」は、
  保護司と教え子の関係に加え、
   共犯者と言うことで、繋がりは強い。
・「御前崎」教授と「有働さゆり」は、
  精神障碍者の治療の関係と、
   殺人をそそのかした、深い関係である。
・「当真勝雄」と「御前崎」教授は、
  直接の関係や面識は無く、
   「御前崎」教授が、一方的に、
    「当真勝雄」を認識している。


<殺人事件の再開>

・千葉県松戸市に有る、
  「御前崎宗孝」教授の家が爆破され、
   黒焦げで、バラバラになった遺体が、
    発見された。
・爆破現場では、
  散らばった遺体のDNAは、
   病院等に残っていた「御前崎」教授の
    DNAと一致した。
・また、
  シンクに残されていたコーヒーカップから、
   「当真勝雄」の指紋が、検出された。

・そして、稚拙で、不気味な、
   「きょう ばくちくをかってきたよ。
    おおきなおとをたてて
    なんでも ばらばらにするんだ。
    すごいなあ。
    それで、かえるのなかにいれて
    ひをつけてみた。
    かえるは はなびみたいに
    ばくはつした。
    ふくに かえるのめだまが
    くっついたよ。」
   のメッセージが、残されていた。
・「御前崎」教授の名字は「お」であり、
    「あ」:荒戸(あらど)玲子
    「い」:指宿(いぶすき)仙吉
    「う」:有働(うどう)真人
    「え」:衛藤(えとう)和義
    「お」:御前崎(おまえざき)宗孝
 と、連続殺人の「あ行」は連続していて、
「カエル男」の復活を予言する
ものだった。


<警察の判断>

・警察は、
  「御前崎」教授が爆殺され、
  「有働さゆり」は治療刑務所に収監中、
  「当真勝男」は行方不明、
 と言うことで、
  ”「御前崎」教授を爆殺したのは、
     当真勝雄であろう。”
 と断定し、行方を捜す。
・しかし、
  「当真勝男」は、見付からなかった。


<真犯人は「御前崎」教授>

・賢明な読者は、お気付きだろうが、
  「御前崎」邸を爆破したのは、
   「御前崎」教授、自らだった。

・「御前崎」教授は、
  自分の娘と孫を殺したのに、
   弁護士の「衛藤和義」と共謀し、
  精神障碍者の嘘の芝居をして、
   今は、治療刑務所に入っている
    「古沢冬樹」と、
  嘘の精神鑑定報告書を書いた
   精神科医師の「末松」を、
 どうしても許せず、
  殺害する為に、芝居をしたのである。

・「御前崎」教授は、
  自分が勤務する城北大学附属病院に、
   入院している老人を、退院させ、
  言葉巧みに、自分の家に住まわせ、
   老人の、毛髪や指紋を、採取して、
    自分の研究室に残し、
   附属病院に残してる血液サンプルも
    その老人の物と入れ替えておいた。
・結果、
  家が爆破され、散らばった肉片や血は、
   研究室で採取した物と一致するので、
    死亡したのは「御前崎」教授と、
     思わされることになったのである。

・その後、「御前崎」教授は、
  さいたま市の荒川公園で、
   ホームレスとして暮らしながら、
    情報を集め、チャンスをうかがっていた
  のである。


<連続殺人の始まり>

<さ行の一番目の事件>
・埼玉県熊谷市に有る、
  プリント基板製造工場の、
 濃硫酸のプールの中で、
  頭から下は溶けてしまった遺体が、
   発見される。
・被害者の名前は、「佐藤尚久」で、
  「さ」から始まる名前だった。

・そして、現場には、
  「きょう りかのじゅぎょうで
   りゅうさんがでてきた。
   なんでもとかすんだよ。
   それで かえるを なかにいれてみた。
   ゆげがでて かえるは 
   あっというまにとけたよ。

   こんどは さ から はじめよう」
 と言う、紙切れが残されていた。


<さ行のニ番目の事件>
・JR京浜東北線の神田駅で、
  若い女性が線路に落ち、
   電車に轢かれて、死亡する。
・その女性の名前は、
  「し」で始まる「志保美(しほみ)純」
   だった。

・そして、駅のホームには、
  「でんしゃは すごいな。
   なんでもぺしゃんこにしちゃう。
   だから かえるを 
   せんろにおとしてみたよ。
   ほねも にくも かわも
   ぜんぶ ぺちゃんこになっちゃった。
   ひろいあつめるのが たいへんだ。
 とのメッセージが、残されていた。

・その結果、
  「さ」の「佐藤尚久」、
  「し」の「志保美純」、
 と続く、連続殺人事件になってしまった。

・そのことが、インターネットで流れると、
  関東一円を巻き込む、パニックになる。


<さ行の三番目の事件>
・さいたま市の製材所で、
  金物が混じった木材でも
   粉々にする、破砕機の中で、
  足先から胸まで、順々に潰された
   遺体が発見された。
・被害者の名前は、
  「す」から始まる「末松健三」だった。
・なお、「末松健三」は、
  「御前崎」教授の娘と孫を殺した、
   「古沢冬樹」の精神鑑定をし、
    嘘の鑑定結果を出した、
     精神科医だった。

・そして、現場には、
  「どれだけやったら 
   かえるはしぬのかな。
   つまさきから ゆっくりぜんしんを
   つぶしてみたら わかるかな。
   じっけんしてみよう。
     後略
 と言うメッセージが、残されていた。

・これは、まさしく、「カエル男」の
 「さ行」の連続殺人になってしまった。


<「有働さゆり」の脱獄>

・「有働さゆり」は、
  治療刑務所に収監され、
   治療を受けていた。
・しかし、何処からか、
  自分を呼ぶ声が聞こえ、
   脱獄を決意する。

・そして、
  女性刑務官が、ピアノ室に来た時、
   ピアノを教える振りをして、
    刑務官の後ろに回り、
     首を絞めて、気絶させる。
・その後、
  刑務官の制服を脱がせ、
   それを着て、刑務所内を移動し、
  刑務官のロッカーを見付け、
   厚化粧をし、私服を着て、
    何食わぬ顔で、脱獄してしまう。


<「古沢冬樹」の出所>

・「御前崎」教授の娘と孫を殺し、
  精神障碍者の振りをして、
   刑法39条の恩恵を受けて、
    死刑や長期の懲役を受けること無く、
  岡崎医療刑務所で4年間過ごした、
   「古沢冬樹」は、
    出所出来ることになった。
・「古沢冬樹」は、
   心の中では、世間をあざ笑い、
    表面上は、ひたすら、従順を装い、
  今日を迎えたのである。

・「古沢冬樹」が、
  医療刑務所を出て歩き出したところ、
   ホームレス風の男が、
    注射器を持って襲って来た。
・そこに、「古手川」刑事が、
  「やめろお、当真勝男」
 と叫びながら駆け付け、
  ホームレス風の男と揉み合う。

・しかし、
  ホームレス風の男に、
   注射器で左手首を挿され、
    左手が痺れて来て、
     全身も動けなくなる。
・続いて、手術用のメスで、
  わき腹と、右太ももを刺され、
   殺されそうになる。

・死を覚悟した時、
  上司の「渡瀬」刑事が駆け付け、
   ホームレス風の男を取り押さえる。
・そして、被っていたフードを取ると、
  そこには、「御前崎」教授の顔が有った。


<事件の真相>

・逮捕された「御前崎」教授に、
  凄腕の「渡瀬」刑事が、
   自分の推理を話すと、
  「御前崎」教授は、認める。

・それによると、
   ・娘と孫を殺した「古沢冬樹」、
   ・「古沢冬樹」に悪知恵を付けて、
     精神障碍者を装わせた
      「衛藤和義」弁護士、
   ・「衛藤」弁護士の友人で、
     嘘の精子鑑定書を出した
      「末松健三」精神科医、
  の3人を殺害し、復讐したかった。

・「さ行」の連続殺人で、
  実際に殺したのは、
   「す」の「末松健三」だけ。
・「さ」の「佐藤尚久」は、
  仕事中に硫酸プールに落ちたのを、
   ニュースで知って利用することにし、
    メッセージを残しただけ。
・「し」の「志保美純」は自殺だったが、
  ニュースで知って、
   駅のホームにメッセージを残しただけ。
・最初から「末松健三」を殺すと、
  最後の狙いが「古沢冬樹」だと知れるので、
   「カエル男」の仕業にする為、
    「さ行」を使うことにした。

・「有働さゆり」に教え込まれた「当真勝雄」が、
  「お」の「御前崎」を殺しに来るのは
   分かっていた上で、
  コーヒーを飲ませて毒殺し、
   自分の屋敷の寝室の下に埋めて、
  その後の事件は、「当真勝雄」が起こした、
   と、警察や世間に思わせたかった。

・「御前崎」教授が、「渡瀬」刑事に、
  ”どうして、私の仕業と分かったのか?”
 と尋ねると、「渡瀬」刑事は、
  ”家が爆破された時、
    貴方が歯の治療を受けていた、
     インプラントの欠片が無かった。”
  ”製材所の破砕機は、
    知的障碍者の「当真勝雄」でも、
     スイッチオンとオフは分かるが、
   「末松」が死んだことを確認して、
    途中で破砕機を止める方法は、
     機械の横の説明書きを読まなきゃ
      出来ないので、
   「当真勝雄」には無理だったから。”
 と答える。

・最後に、「御前崎」教授が、
  ”「有働さゆり」には、
    「衛藤」弁護士以降の殺人に付いても、
     潜在意識に刷り込んでおいたが、
   脱獄した「有働さゆり」が、
    どんな行動に移るのだろうねえ。”
 と笑うのだった。


<「有働さゆり」のその後>

・クリスマスイブ、「古沢冬樹」は、
  スナックで一人で出所祝いをしていた。
・その時、横の席に座る、
  年上だが魅力的な女性と親しくなり、
   ラブホテルに入ることになった。
・その女性は、「さゆり」と名乗った。

・服を脱ぎ出した女性が、
  ”少しの間、あっち向いてて。”
 と言うので、背を向ける。
・すると、その女性が、
  ”あなたは、地獄が好き? 天国が好き?”
 と聞いて来たので、
  ”そりゃあ、天国に決まってる。”
 と答えると、
  ”イブだから、望みを叶えてあげる。”
 と言う言葉に振り向くと、
  女性が振りかざしたナイフが、
   ギラリと光った。


<後書き>

 最後まで読んでくださり、
有り難うございました。



 さて、これで、
「御前崎」教授の願い、
・殺人犯「古沢冬樹」、
・弁護士「衛藤和義」、
・精神科医「末松健三」、
の殺害は、完了した。

 「カエル男」も、居なくなった。


 しかし、
凶暴性を目覚めさせられた「有働さゆり」は、
これから、どうなって行くのだろうか?

 「カエル男 みたび」
は書かれるのだろうか?