エゲス

 「エゲス・イギス」は、
・昔のハレ(正月、お盆、祭、法事などのイベント)の食卓を飾る、
・今では、伝承料理、
である。


<エゲスとは>

洗って乾燥させた物 完成品

 カミさんが親しくさせてもらっている近所の女性が、「えげす(いぎすとも言うらしい)」を下さった。「えげす」は海藻(かいそう)の一種で、海岸近くの浅瀬に繁茂(はんも)するが、この夏、我が集落の奥さんやお婆さん方がW海岸まで採りに行ってきたのだそうな。

 この「えげす」は、特に我が町では好まれて食べられてきたようであるが、カミさんはこの町に嫁いでくるまで見たことも聞いたことも無かったようであるし、O市に嫁いだ私の妹の婿殿も、結婚して間も無く我が家に来て食べさせられた時、
「こんな物、今まで食べたことが無い。」
と顔をゆがめていた。

 今の若い人でこの「えげす」を好きだという人は、まず以て居ないと思うのだが、私は嫌いではない。この日記を読んでくださっている有る程度の年齢の方も、きっと好きとはいかなくても嫌いではない、と思うのですが、如何(いかが)なものでしょうか?


 念のためにインターネットで調べてみたら、「いぎす豆腐」という名前の料理が紹介されているページを見付けた。きっと同じ物だと思うのだが。
 詳(くわ)しく読んでみると、カミさんは「えげす」を固めるのに「米糠」のとぎ汁を使っているが、インターネットに書かれた物では「生大豆粉(なまだいずこな)」を使っているようである。「生大豆」とは所謂(いわゆる)「枝豆」のことかな?
 又、我が家では何も入れないが、インターネットに書かれた物では「エビ」などを入れて味付けをしているようである。
 折角なので、そのホームページを紹介しましょう。
http://www.oideya.gr.jp/gourmet/igisu.html
http://www.e-na.co.jp/chinmi/igisutouhu/



<エゲスの作り方>

 さて、変な食べ物のことをわざわざ書くのは、その調理方法の面白さを紹介したいからである。
 次の方法は、現在、我が家でカミさんが作っている作り方である。

1)海藻「えげす」を採ってきて、ゴミや砂を取りながら、
  真水で何度も洗って、繊維のようにし、ゴザの上などで干す。
  乾燥した物は、何年も保存出来る。

2)米糠(こめぬか)を目の細かい木綿(もめん)布に入れ、
  水に漬けては絞り、水に漬けては絞りを繰り返し、
  糠のエキスがたっぷりと入った汁を作る。

3)必要な分の「えげす」を取り出し、さっと水で洗い、
  糠エキスの中に入れ、温めていく。

4)「えげす」が糠汁(ぬかじる)に溶けたら、バット(容器)に入れ冷ます。
  ある程度冷えたら、冷蔵庫に入れた方が手っ取り早い。

5)食べる時に、砂糖と醤油とショウガで味付けした出し汁に、
  バットから出して適当な大きさに切った「えげす」を入れ、
  軽く混ぜて食べる。


 私の母親が作っていた物には、「ゆず」の荒ずりした物が
 入っていたように思うのだが。

米糠を水に浸け、米糠のエキスを絞り出す。
エゲスを水で洗いながら、ごみを取る。
エゲスを、ぬかのとぎ汁で煮ると、溶けてしまう。

パッドに入れて、冷まし、最後は冷蔵庫に入れて固める。

固まったものをスティック状に切り、ごま、ゆず、しょうが、砂糖を加え、醤油で味付けをする。