韓国映画
「依頼人」の粗筋とネタバレ
この粗筋とネタバレは、
おきて破りで、ネタバレを先に書くので、
純粋に映画を楽しみたい人は、
自己責任で、読んでください。
<西北婦女殺人事件>
・「ハン・チョルミン」は、
映画フイルム現像会社の課長である。
・現像液を扱い、
一日に何百回を手を洗うので、
皮膚が荒れ、指紋が消えている。
・感情を表すことが無い、
理解し難い人間である。
・三年前、
女子高校生が襲われ、
レイプされた後、
口をグシャグシャに潰され、
殺されると言う事件が有った。
・鑑識が遺体を調べた結果、
歯が、1本見付からず、
犯人が持ち帰った可能性も有った。
・あいまいだったが、目撃者も有り、
「ハン・ チョルミン」が疑われるが、
「ハン・チョルミン」は、
一切の感情を表現すること無く、
指には、指紋も無い為、
犯罪心理学の「イ教授」に依頼し、
嘘発見器などで調べた結果、
犯人とは断定出来ず、
「ハン・チョルミン」は、釈放される。
・この事件の担当検事は、「アン・ミンホ」で、
「ハン・チョルミン」を告訴出来なかったことを、
深く悔んでいる。
・その後、
「ハン・チョルミン」は、
「ジョンア」と結婚する。
<「ソ」元刑事の執念>
・事件の捜査班に居た「ソ」刑事は、
女子高生殺害犯が「ハン・チョルミン」と信じ、
諦め切れず、自主退職し自由になって、
独自の捜査を続け、
「ハン・チョルミン」を追い掛け続ける。
・「ソ」元刑事は、
「ハン・チョルミン」のアパートに忍び込み、
照明器具の裏に、盗聴器を仕掛けようとして、
帰宅した、「ハン・チョルミン」の妻「ジョンア」に
見付かる。
・そこで、「ソ」元刑事は、
「ハン・チョルミン」の妻「ジョンア」に、
”女子高生殺害犯人として、
夫を追跡捜査している。”
と伝える。
・妻「ジョンア」は、夫に不審な気持ちを持ってて、
協力を約束する。
<妻「ジョンア」を殺害>
・三年目の結婚記念日に、
妻「ジョンア」は、
料理を作って、出張の夫の帰りを待っていた。
・しかし、夫が隠し持っていた
女子高校生の遺体の歯を発見。
・帰って来た夫を、
「ジョンア」が、泣きながら問い詰めると、
「ハン・チョルミン」は、
”君は、休んだ方が良い。”
と、泣きじゃくる妻をベッドに運び、
刺して、出血多量で、死なせてしまう。
<「ハン・チョルミン」のアリバイ工作>
・妻の死体を運び出したい「ハン・チョルミン」は、
近くのマンションの駐車場に停めてある、
何台もの車に衝撃を与え、
盗難防止アラームを鳴らさせる。
・マンションの住民から苦情を受けた警備員が、
隣のマンションの駐車場に行った間に、
「ハン・チョルミン」は、妻の遺体を寝袋に入れ、
窓から落とし、車に積み込む。
・そして、妻と一緒に行って、プロポーズした
ダム湖に行き、河原に遺体を捨てる。
・「ハン・チョルミン」は、
妻の遺体を捨てに行く時、
江原道の洪川への急な出張を装う。
・急な出張を不審に思った「ソ」元刑事は、
「ハン・チョルミン」を、車で尾行する。
・日頃から、「ソ」元刑事が、
自分のことを尾行したりしていることに
気付いていた「ハン・チョルミン」は、
職場から「死体を模した人形」を持ち出し、
「ソ」元刑事の車のトランクに入れ、
トランクのカギを壊し、
トランクが閉まらないようにする。
・それを知らない「ソ」元刑事は、
道路警備隊に停められ、
逮捕されそうになる。
・警官と揉み合っている内に、
「ハン・チョルミン」を見失い、仕方無く、
「ハン・チョルミン」のアパートに行くと、
血まみれのベッドを見付け、通報し、
警察が、アパートに駆け付ける。
・「ハン・チョルミン」は、
妻の遺体を捨てに行く時、
偽の出張を作って出掛けたが、
そこでも、アリバイ作りをしていた。
・それは、
”江原道の洪川への出張に出掛けていて、
早く妻と結婚記念日を祝いたいので、
本当は高速道路で帰りたかったが、
眠気に襲われ、高速道路に入れず、
国道で帰って来た。”
”おまけに、居眠り運転で事故を起こし、
数時間、気を失っていた。”
と言うものだった。
・その結果、
妻が殺害された時間には、
「ハン・チョルミン」は、自宅から遠くにいて、
妻を殺害出来ないと言うアリバイが成立する。
<「ハン・チョルミン」の逮捕>
・結婚記念日のお祝い用の
プレゼントと花束を持って、
「ハン・チョルミン」は、
洪川への出張からの帰りを装い、
何食わぬ顔で、アパートに戻って来る。
・そこには、
近所の住民と、多くの警察車両が。
・その中を通って、マンションの自室に入り、
その場で、「ハン・チョルミン」は、
妻の殺害容疑で、逮捕される。
・そして、
検察の「アン・ミンホ」検事は、
「ハン・チョルミン」が、
妻に執着していたこと、
四日前、妻に離婚を求められていたこと、
などから、殺人犯として、起訴することを発表。
・世間も、メディアも、注目する事件となる。
<「カン・ソンヒ」弁護士の登場>
・「カン・ソンヒ」は、
元は優秀な検事だったが、
強引な捜査と起訴が問題となり、
検事を辞めて、弁護士になっている。
・「カン・ソンヒ」弁護士は、
殆どの裁判で、無罪や減刑を勝ち取る
負け知らずの成績優秀な弁護士になる。
・妻殺しで起訴された「ハン・チョルミン」は、
弁護人として、「カン・ソンヒ」を指名する。
・しかし、「カン・ソンヒ」弁護士は、
”こんな裁判は、国選弁護人の担当だ。”
と、乗り気ではない。
・そんな中、
ブローカー(仲介人)として金を稼いでいる
「チャン・ホウォン」が、
「ハン・チョルミン」と「カン・ソンヒ」を
繋ごうと働き掛ける。
・「カン・ソンヒ」弁護士が、
自分の弁護に乗り気ではないと知ると、
「ハン・チョルミン」は、自殺を行ない、
関心を持たせる。
・勿論、「ハン・チョルミン」は死ぬ気は無く、
あくまでも、パフォーマンスだった。
・そんな流れから、
「カン・ソンヒ」は、「ハン・チョルミン」の
弁護を引き受ける決意をし、
調査や聞き取りを始める。
・殺人現場のマンションを訪れ、
リビングの照明が外れていること、
防犯カメラの記録を、
警察が持ち去っていて、
記録の予備が無いこと、
などを確認する。
・次に、「ハン・チョルミン」に面会し、
妻には男が居て、
何度も電話で話していたことなどを
聞かされる。
・「ハン・チョルミン」は、「カン」弁護士に、
”僕を信じてます?”
と尋ねるが、「カン・ソンヒ」弁護士は、
”多くの人が、その質問をするが、
それは、問題ではありません。”
”私は、満足する結果を得る為に、
集中します。”
と答える。
<起訴を急ぐ「アン・ミンホ」検事>
・3年前の女子高校生殺害事件の
一番の容疑者だった「ハン・チョルミン」を
起訴出来なかったことを、
凄く悔んでいた「アン・ミンホ」検事。
・今回、
妻殺しで「ハン・チョルミン」を起訴するのは、
何よりも優先したいことだった。
・また、
「カン・ソンヒ」弁護士が付くと聞き、
上司も、絶対に負けないよう、
激励する。
<「カン・ソンヒ」弁護士の行動>
・調べたいことが多いのに
第1回目の裁判が三日後に迫ったので、
「カン・ソンヒ」弁護士は、
「裁判員裁判」への切り替えを要求する。
・裁判員の人選に時間が掛り、
裁判が、二週間後に延期されるからだ。
・裁判が先延ばしになり時間が出来たので、
ブローカーの「チャン・ホウォン」や部下を使い
背景を調べて行く内に、
検察が作った書類の中に、
マンションの防犯カメラのデータが無いことに
気付く。
・そこで、
”観られたくない誰かが写っている?”
と考え、入手しようとしたりする。
・防犯カメラのデータには、
マンションンに出入りする
「ソ」元刑事の姿が写っていて、
検察は、それを隠したかったのである。
<検事と弁護士>
・検察が隠した防犯カメラのデータを
どうしても観たい「カン・ソンヒ」側は、
刑事を金で釣って、
防犯カメラのデータを盗ませる。
・しかし、検察側の罠で、
偽のデータを掴まされた上に、
賄賂供与罪で訴えられ、
弁護士資格停止の危機に陥る。
・そこで、「カン・ソンヒ」は、
法曹界では知らぬ者の無い
「アン」弁護士に、
自分の弁護を依頼する。
・「アン」弁護士は、「アン」検事の父で、
これには、検察側も困ってしまう。
<裁判の中で 1>
・裁判が始まり、
「アン・ミンホ」検事は、
殺された「ジョンア」の母親を、
証人として、呼ぶ。
・「ジョンア」の母親は、
結婚前は優しくて良い子だったのに、
結婚後は、情緒不安定になった。
あの男は、人間ではない。悪魔だ。
などと証言する。
・「カン・ソンヒ」弁護士は、
「ジョンア」が結婚前から情緒不安定だった、
母親が、病院でなく祈祷院に行かせた、
などを材料に、
母親が「ジョンア」を束縛し、
娘を奪った「ハン・チョルミン」に憎しみを
持っていたことを引き出す。
<裁判の中で 2>
・検察が隠したかった「ソ」元刑事だが、
本人が裁判で証言することを進言し、
裁判に出て来る。
・そして、
盗聴器を仕掛けようとして、
被告人の妻「ジョンア」に見付かり、
”女子高校生殺害事件の捜査している。”
”夫を、三日間とりしらべた。”
”証拠が見付からず、釈放した。”
”夫が犯人だと、信じている。”
”捜査の協力をしてほしいと頼み、
承諾を得た。”
などを証言する。
・また、
”奥さんからの連絡が取れなくなったので、
尾行したら、
殺害された女子高校生のお墓に行き、
お参りしていた。
”その後、
証拠を持っているとの連絡をもらった。”
なども証言する。
・「ソ」元刑事の証言を受け、
「アン・ミンホ」検事は、
”証拠を持っていた妻「ジョンア」を、
殺害する動機が、充分に有る。”
と主張する。
・「カン・ソンヒ」弁護士は、
”女子高校生殺害事件の犯人だと決め付け、
他の人を巻き込もうとした。”
”「ジョンア」が殺害されたことに関して、
単独犯では無理が有るが、
単独犯と考えるか?”
などと、「ソ」元刑事を追及する。
・そして、最後に、
”女子高校生殺害事件の担当検事は?”
と訊ね、
”「アン」検事です”
と答えさせ、
「アン」検事が、「ハン・チョルミン」を
女子高校生殺害事件の犯人と思い込み、
今回の事件で、意地でも有罪にしようとしてる
印象を、裁判員に持たせる。
<裁判の中で 3>
・「カン・ソンヒ」弁護士は、
江原道洪川の国道横の小物店店主を
証人に呼び、
”深夜の1時半ごろ、
息子と接触事故を起こしながら、
逃げて行った車が有ったが、
ナンバーが、49ダ7595だった。”
と証言させる。
・その車のナンバーは、
「ハン・チョルミン」の車で、
殺害事件の夜、ソウルから離れた場所に、
「ハン・チョルミン」が居たことを証明した。
・「アン・ミンホ」検事は、
小物店の主人が、
ブローカーの「チャン・ホウォン」に
お金が貰えると言われて証言したことを
言わせて、「カン・ソンヒ」弁護士側は、
追い込まれる。
<裁判の中で 4>
・苦境に立たされた「カン・ソンヒ」弁護士は、
「ハン・チョルミン」を責めて、
感情を引き出し、裁判員に見せる作戦を採る。
・「カン・ソンヒ」弁護士は、
”何故、女子高校生殺害事件の容疑者と
疑われていたことを、
妻に伝えなかったのか?”
と尋ねる。
・それに対して、「ハン・チョルミン」は、
”妻は、情緒が不安定で、
精神科医に通っていたので、
負担を掛けたくなかったから。”
と答える。
・「カン・ソンヒ」弁護士は、
”奥さんの死に、責任を感じるか?”
と問い詰める。
・すると、
今まで無表情だった「ハン・チョルミン」は、
ボロボロと涙を流しながら、
”僕が殺したのかも知れない。
みんながそう言うのなら、
そうかも知れない。”
”現像所で12時間以上薬品に浸かっていて、
皮膚は剥がれ、手荒れもひどい。
だから、一日に何百回も手を洗う。
でも、釈放されてからは、
手を洗うのを止めた。疑われたくないから。”
”妻が居たから、耐えられた。”
”殺人者だと疑われても、構わない。
でも、妻を愛していたことは信じてほしい。”
”誰か、妻を探してください。
そして、
「僕が悪かった」
と、許しを請えるチャンスを下さい。”
と、迫真の演技を示すのだった。
<裁判の中で 最終弁論>
・「アン・ミンホ」検事は、最終弁論で、
”確かに、状況証拠だけである。”
”女子高校生殺害事件の犯人と知られ、
妻まで殺した容疑者は、
落ち着いた態度の裏で、
用意周到な殺人を犯す人間である。”
”被害者は、致死量の出血で、
その場からは出て行けなかった。”
”その場に居られたのは、
夫の「ハン・チョルミン」だけだ。”
と、裁判員に訴える。
・「カン・ソンヒ」弁護士は、
”状況証拠だけで、
犯行を立証する証拠は無い。”
”それは、人によってどんな解釈も出来て、
とても危険である。”
”元刑事も、被告人を殺人者と思い込み、
妻に伝えて苦しめることになった。”
”自己表現が下手な被告人が、
殺人鬼に仕立て上げられた。
それも、状況証拠の解釈からだ。”
と訴える。
・「カン・ソンヒ」弁護士は、最後に、
”被害者は、本当に死んだのだろうか?”
”私が、3つ、数えたら、
あのドアから、被害者が入って来ます。”
と数を数える。
・在席していた全員がドアを見詰めるが、
当然、誰も入って来ない。
・すると、「カン・ソンヒ」弁護士は、
”ドアを見ましたか?”
”ドアを見たと言うことは、
正しく疑うことを出来たと言うことです。”
”状況証拠だけで犯人と決めつけないで、
被告人に無罪を宣告してください。”
と、弁論を終える。
<裁判の中で 判決>
・判決の日を迎え、
検察寄りの態度に見えた判事が、
”裁判員の票が割れたので、
裁判官として熟慮した結果、
間接証拠は、不十分と判断し、
無罪を宣告する。”
と判決を申し渡した。
・「カン・ソンヒ」弁護士は、またもや勝ち、
事務所の面々は、ガッツポーズで喜び、
「ハン・チョルミン」はお礼を述べる。
・法廷を出る前に、
「アン・ミンホ」検事が寄って来て、
”おめでとう。控訴する。”
と述べる。
・それに対して、「カン・ソンヒ」弁護士は、
”証拠を持って来い。”
と言い返す。
・帰り際、「アン・ミンホ」検事は、
”「ハン・チョルミン」はドアを観なかったぞ。”
と言う。
・自分が、妻を殺して遺体を運んだのだから、
妻がドアから入って来るわけが無いと、
確信していたから、観なかったのだ、
と、言いたかったのである。
・裁判中に、
ブローカーの「チャン・ホウォン」から
掛って来た電話を確認すると、
洪川のダム湖の写真が送られて来ていて、
電話を掛けると、「チャン・ホウォン」は、
”「ハン・チョルミン」が、
小物店の息子と接触事故を起こしてなく、
息子の方が、車にぶつかってしまった。”
”主人は、息子を庇う為に、
接触されたと、嘘を言っていた。”
”主人は、「ハン・チョルミン」が、
ダム湖から上がって来たのも観ていた。”
と告げ、「カン・ソンヒ」弁護士は、苦悩する。
<終わりに>
・釈放された「ハン・チョルミン」は、
妻の血が沁み込んだベッドに、
寝転んでいる。
・そこに、「カン・ソンヒ」が尋ねて来て、
”遺体は、どうやって運んだのか?”
などと質問する。
・質問の途中、「ハン・チョルミン」は、
ベランダの手すりに腰を掛け、
質問に答えながら、身を投げる。
・すんでのところで、落ちるのを防ぐ。
・そこに、
「カン」弁護士から連絡を受けてた
警官が駆け付け、逮捕する。
・洪川のダム湖で、
「ジョンア」の遺体の捜索が行われてて、
「カン」弁護士も、「アン」検事も、
駆け付ける。
・「カン」弁護士は、
「ハン・チョルミン」との会話の録音を、
「アン」検事に渡し、交換条件に、
証拠買収の件の取り消しを頼む。
・そんな中、遺体発見を知らせる
笛の音が、鳴り響く。
<感想>
相変わらず、救いの無い映画だった。
しかし、
私なりに探して見ると、
「カン」弁護士が、「ハン・チョルミン」に、
”検察は、最初から間違ってた。”
”夫に脅されている妻が、
結婚記念日に、料理を作って、
帰りを待つわけが無い。”
”妻は、夫を信じていたんだ。”
と伝えた時、
「ハン・チョルミン」は、初めて、
妻の、自分への愛を知ったのだと思う。
だから、自ら身を投げて死のうとした、
と思いたい。
でないと、あまりにも虚し過ぎるから。
完