ボーダーライン(国境)シリーズ

 この映画シリーズは、
妻子を、メキシコのカルテル(麻薬組織)に殺され、
今は、暗殺者となって、復讐だけを生き甲斐にする、
元検事「アレハンドロ」を主役にした映画である。

 私は、
「アレハンドロ」の雰囲気に、すっかり魅了されてしまった。


<第一作 「ボーダーライン」>

 今では、復讐の為なら、
どんな汚い依頼でも受ける暗殺者になっている
元検事「アレハンドロ」を主人公にする、
作品の1作目であり、2016年に制作された。


・「ケイト」は、FBI捜査官で、誘拐事件担当のリーダーとして
 実績を挙げて来た。

・「ケイト」が指揮して、或る建物に踏み込んだ時、
 壁の裏に隠された30を超える遺体を発見。
 その建物の持ち主が、メキシコのカルテル(麻薬組織)の
 アメリカ側リーダー「ディアス」らしいと判明。
・それに、殺害して保存する手口から、
 メキシコの麻薬組織「ソノラ」と言うカルテルの仕業と、
 考えられた。

・結果、「グレイヴァー」をリーダーとする特別捜査班が編成され、
 「ケイト」も参加するよう誘われ、
 正義感に燃える「ケイト」は、進んで参加する。

・その班の中に、謎のコロンビア人「アレハンドロ」も居た。

・「グレイヴァー」たちは、「ケイト」を連れて、
 カルテル「ソノラ」の幹部で、「ディアス」の兄を引き取りに、
 メキシコに行く。
 「ディアス」の兄「ギエルモ」がメキシコ警察に逮捕されていて、
 身柄を受け取りに行くのだった。

・テキサス州のエルパソに行くと聞かされていたのに、
 実際は、国境を越えてメキシコに連れて行かれた「ケイト」は、
 この作戦が正常な作戦でないことを堪付く。
・「ギエルモ」を連れて国境を越える時、
 奪還を目指すカルテル「ソノラ」の部下が襲ってくるが、
 全員を射殺する。
・民間人が多数居る中で銃を乱射する「グレイヴァー」たちに、
 「ケイト」は非難するが、
  ”君も、結末を観たいだろう。”
 と言われ、引くに引けない状況に陥る。

・「ギエルモ」をアメリカ国内の移動させた後、
 「アレハンドロ」が「ギエルモ」を拷問し、
 アメリカとメキシコの国境に、トンネルが有ることを吐かせる。
・それを受け、国境を密かに抜けられるトンネルを発見し、
 捜査班は、襲撃する。

・その戦いの中、「アレハンドロ」は、
 カルテルに買収されている警察官を銃で脅し、
 パトカーで、メキシコの大ボスに呼ばれて帰る途中の、
 カルテルのアメリカ側リーダー「ディアス」の車を掴まえさせる。

・「アレハンドロ」は、車を停めさせた後、警察官を射殺し、
 アメリカ側リーダー「ディアス」を捕虜にし、
 メキシコの屋敷に住むカルテルのナンバー3に近付き、
 ナンバー3ボス「アラルコン」と妻と2人の息子を殺害する。

・「アレハンドロ」は、カルテルのナンバー3「アラルコン」に、
 妻は首を切り取られ、娘は酸に放り込まれ、殺された
 検事だった。
 元検事は、妻子の復讐の為に参加していたのである。

・また、捜査班は、実は、FBIでなく、CIAで、
 CIAはアメリカ国内では単独での行動は禁止されているので、
 FBI捜査官の「ケイト」を仲間に入れることで、
 今回の捜査を合法化しようとしたことだった。

・カルテルのナンバー3ボスとアメリカ側リーダーを殺害し、
 捜査が終了した後、「アレハンドロ」が「ケイト」を訪ね来て、
  ”今回の捜査が合法的だったと言う宣言書にサインしろ。”
 と迫るが、「ケイト」は拒否する。

・その「ケイト」に対して、
 「アレハンドロ」は拳銃を突き付け、
  ”サインしなければ、君は自殺したことになる。”
 と脅し、無理矢理サインさせる。
・涙を流す「ケイト」に、「アレハンドロ」は、
  ”ここは、オオカミの住む場所で、君には向かない。
   小さな町に行って、そこで静かに生きろ。”
 と言って去って行く。

 ・去って行く男に拳銃を向けるが、結局は撃てない「ケイト」だった。


 日本では作れない、内容と感覚の映画だった。


<第二作 ボーダーライン(ソルジャーズディ)>

 元検事で暗殺者になった「アレハンドロ」を主人公にした
 第2作目であり、2018年に制作された。

・アメリカ国内で、自爆テロが発生し、多数の市民が死亡。
・アメリカ政府は、
 メキシコの麻薬組織(カルテル)が行なう越境ビジネスで、
 自爆テロのメンバーが送られて来ると考え、
 裏の資金で、裏の組織を組織し、
 カルテルの力を弱らせる陰謀を進める。

・陰謀リーダーに選ばれた「グレイヴァー」は、
 カルテルに妻子を殺された元検事で、
 今は暗殺者として生きている「アレハンドロ」を、雇う。
 「グレイヴァー」と「アレハンドロ」は、旧知の仲であり、
 その力を信頼しているからである。

・加えて、「アレハンドロ」は、
 コロンビアのカルテル(麻薬組織)からの、
  ”メキシコの麻薬組織の勢力を弱らせてほしい。”
 との依頼を受けており、作戦に参加する。

・「グレイヴァー」たちの作戦は、
 メキシコの麻薬を牛耳る
 2つの巨大カルテル同士を戦わせるもので、
   1)1つのカルテル「タマモロス」の弁護士を殺害し、
     敵対する「カルロス・レイエス」が率いる
     カルテル「ライミ」の仕業に見せ掛け、
   2)次は、
     「ライミ」のボス「レイエス」の娘「イザベル」を誘拐し、
     「タマモロス」が、弁護士を殺された仕返しをした、
     と見せ掛け、
 復讐させ合うものだった。

・作戦は上手く行ったが、
 移動中に、ボスの娘の奪還を狙うカルテルに襲撃され、
 銃撃戦の最中に、「イザベル」が逃げる。
・そこで、暗殺者「アレハンドロ」1人が娘を追い掛け、
 捕まえる。

・そして、二人で行動する間に、
 「イザベル」には、「アレハンドロ」への信頼の感情が芽生える。
・「アレハンドロ」の娘は、聾唖者だった。
 自分の娘とのコミュニケーションの為に、
 「アレハンドロ」も手話を身に着けており、
 助けてくれた農夫が聾唖者で、
 「アレハンドロ」が手話で農夫と話すのを見て、
 「イザベル」は、心を動かされたりする。

・そんな中、自爆テロは、メキシコからの不法移民ではなく、
 アメリカ国内に住んでいた者たちと判明し、
 司法長官は、作戦の中止を決める。
・困ったのは、
 誘拐したカルテルの大ボスの娘「イザベル」をどうするかだ。
 そこで、司法長官の部下は、
 「イザベル」と「アレハンドロ」を消してしまうことで、
 問題の解決を図ろうとする。

・「アレハンドロ」と「イザベル」は、
 国境を越えてアメリカに入ろうとする時、
 対立するカルテルに捕まり、
 「イザベル」は連れ去られ、「アレハンドロ」は、
 重傷を負ってしまう。
・「グレイヴァー」たちは、
 「アレハンドロ」が殺されたと思い、
  ”手間が1つ省けた。”
 と言う仲間も居たが、「グレイヴァー」は複雑な顔をする。

・「グレイヴァー」たちは、
 「イザベル」を移送中のカルテルグループを襲撃し、
 「イザベル」を取り戻す。
・仲間が、
   ”娘も消してしまうのではなかったのか?”
 と尋ねるのに対して、「グレイヴァー」は、
   ”証人保護を適用する。”
 と、「イザベル」の命を助ける。

・重傷を負った「アレハンドロ」だが、
 カルテルの追跡を逃れ、復讐の行動を開始する。
・「アレハンドロ」は、
  ナンバー2であるアメリカ側のボス「ディアス」と、
  ナンバー3で、メキシコに住んでいた「アラルコン」を、
 殺害するが、ナンバー1である「レイエス」は残っており、
 「レイエス」を殺害しない限り、復讐は終わらない。


 「アレハンドロ」の人間性が見られ、好きにさせる映画だった。
 第3作を期待したい。