2016.02.10 倒錯のロンド

 県立図書館から取り寄せてもらった2冊の叙述トリックミステリー小説の、1冊は読み終えて、行き付けの図書館に返した。

 もう1冊も返す期日を守らなきゃならないので、そろそろ読まなきゃならない。
 と言うことで、半日で読み終えた。


 その本は、
・著者:折原一(おりはらいち)、
・著作:「倒錯のロンド」
・発刊:1989年、
・特徴:叙述トリックミステリー小説
である。

 因みに、
・「倒錯」とは、
 1)逆になること、ひっくり返ること。
 2)精神や倫理観の異常によって、反社会的、反道徳的行動をすること。
・「ロンド」とは、
 1)同じメロディが繰り返し出て来る曲。
 2)多くの踊り手が、輪になって踊ること。
である。

 さて、いつものように、粗筋を紹介しよう。

・「山本安雄」は、出版社に5年間勤めた後、退職し、
 推理小説家を志し、その年に、
 「幻の女」と言う題名の作品を書き上げ、
 「月刊推理新人賞」に応募したが、一次予選で落ちて、
 以来、5年になる。
・そして、今年も、第20回月間推理新人賞に応募する為、
 「幻の女」を書き直し、自信作として仕上げた。


・友人の「城戸」に読んでもらったところ、「城戸」は、
 「素晴らしい出来だが、字が汚すぎて、
  審査員の印象が悪くなる。
  おれがワープロで清書してやる。」
 と言ってくれたので、「山本」は「城戸」に原稿を預けた。


・が、「城戸」は、清書完成品と生原稿を電車に置き忘れ、
 「永島一郎」が拾ってしまう。
・最初は本人に返してやろうと思った「永島」だが、
 作品を読んでその素晴らしさと、賞金1千万円に惹かれ、
 行きずりの女が提案してくれた「白鳥翔」の名前で、
 「月刊推理新人賞」に応募してしまう。
・そして、原作者の「山本安雄」が、
 「作品が盗まれ、本当の作者は自分だ。」
 と訴え出てこないように殺すことに決め、
 原稿を持っていた「城戸」を「山本」と勘違いして、
 「城戸」を、小説と同じ方法で殺してしまう。
・ところが、新聞で、
 「城戸明さんが溺死した件について、警察は、
  城戸さんに小説の原稿を無くされた知人を、
  参考人として事情聴取している。」
 と書かれていることを知った「永島」は、
 自分が「山本安雄」を殺すつもりで別人を殺したと知り、
 「山本安雄」も殺そうと企む。

 
・「山本安雄」は、
 記憶を辿って小説「幻の女」を書き直し完成させ、
 「永島」の襲撃を受けて重傷を負いながら、
 何とか郵便局に届け、締め切りに間に合わせる。


・結果、
 「永島」の応募した「幻の女」と、
 「山本安雄」の応募した「幻の女」の、
 2つの「幻の女」が、「月刊推理社」に届くことになった。
・そして、第20回月刊推理新人賞は「白鳥翔」が受賞し、
 賞金1千万円と印税などを手に入れ、ファンも増え、
 元女性ファンの「立花宏美」と婚約し、
 高級マンションに住み、優雅に暮らしていた。


・自分の作品を盗作された「山本安雄」は、
 盗作者「白鳥翔」を陥れる為、
 執拗なイタズラ電話や週刊誌への投書などで「白鳥翔」を苦しめ、
 「白鳥」はノイローゼに陥る。
・「白鳥」のマンションに中傷ビラを配った帰り、
 「山本」はホームで突き飛ばされ線路に落ち、
 もう少しで電車に轢かれるところだったが、
 奇跡的に命を救われる。
・今度は「立花宏美」を使って「白鳥」を追いつめようと考え、
 「山本」は、「立花宏美」のマンションを訪れるが、
 「立花宏美」は殺されていた。
・それを見た「山本」は、「立花宏美」を浴槽に沈め、
 駆け付けた「白鳥」を殴り倒し、浴槽の横に運び、
 警察に電話し、「白鳥」を「立花宏美」殺しの犯人として
 逮捕させる。


・復讐を成し遂げた「山本安雄」は、
 「立花宏美」が捨てた「白鳥翔」のマンションの鍵を使い、
 警察に捕らわれている「白鳥」の部屋に侵入し、
 快適な環境の中で、新たな小説作りに没頭する。
 その筋書きは、
  第一部 白鳥翔の盗作。
  第二部 実作者の復讐と白鳥翔の錯乱、殺人。
 である。
・その作品を完成させ、「盗作の進行」と名付け、
 月刊推理新人賞に応募しようとしていた「山本安雄」は、
 「白鳥」のマンションで、何者かに襲われる。
・その犯人を見た「山本安雄」は、驚く。


 以下は、完全なネタバレになるので、今後、この小説を読むかも知れない人の為に、書くのを止めます。
 しかし、それ以外の人の為に、例によってネタバレを書いていきますので、読んでください。
 次のページでどうぞ。


「倒錯のロンド」ネタバレ