2016.01.24 ハサミ男

 この冬最大の寒気団が襲って来ているそうで、九州でも積雪が有るそうな。
 もっと凄いのは、奄美大島でも雪が降り、これは明治以来の100年を超えて無かった、驚きの出来事だそうな。
 そんな中、私の住んでいる所は、雪こそ降らないが、風の冷たいこと冷たいこと。肌身に刺さるほどだ。
 そんなわけで、読書報告を。


 さて、その本は、
・著者:殊能将之(しゅのうまさゆき)、
・著作:「ハサミ男)」
・発刊:1999年、
・特徴:叙述トリックミステリー小説
である。

 殺人事件の小説を読んでいながら、
「読後は、けっこう爽やか」
と書いたら命の冒涜になるかも知れないが、1月13日に紹介した「慟哭(どうこく)」の救いようの無さに比べれば、正に
「読んで良かった」
と言えるものであった。
 と言うことで、皆さんにも自信を持ってお勧めします。
 では、いつものように先ずは粗筋の紹介を。


・マスコミや世間で「ハサミ男」と呼ばれている私は、
 氷室川出版でアルバイトとして働く中で、
 会社がデータ管理に関わる模擬試験の成績を見て、
 特に優秀な女子高校生に狙いを付け、
 ロープで首を絞めて殺害した後に、
 磨いて鋭く尖らしたハサミを喉に突き刺し、
 2人の犠牲者を作ったので、
 「ハサミ男」と呼ばれるようになった。


・そして、3人目の被害者として、
 葉桜高校に通う成績優秀な美少女
 「樽宮由紀子」を選び、
 高校周辺や住居のマンションまで出掛け、
 行動パターンを掴んだり、殺害場所を選んだり、
 万全の準備をする。


・いよいよ殺害を決行しようと、ビニール紐やハサミを用意し、
 「樽宮由紀子」を待つが、「樽宮由紀子」が帰って来ず、
 諦めて帰る途中、公園の横を通り過ぎようとした時、
 「樽宮由紀子」が、首を絞められ、ハサミを首に刺され、
 まるで「ハサミ男」に殺されたような死に方をしており、
 その場を去ろうとした時、もう1人の通行者が来てしまったので、
 その人に警察への連絡を頼み、
 その間に、自分は事情聴取に備え、持っていたハサミを捨てる。
 その後、警察の事情聴取などを乗り越え、自宅に帰る。
 マスコミなどは、「三度(みたび)ハサミ男の犯行」と
 大騒ぎを繰り返す。


・因みに、「ハサミ男」である私は、食べることが大好きで、
 デブで頭も良くない。服装も拘らない。
 そんな私は、毎週土曜日毎に自殺を図り、
 クレゾールを飲んだり、タバコを搾ってニコチンを飲んだり、
 カーテンレールにタオルを掛けて首を吊ったりして自殺を図るが、
 失敗を繰り返すだけで、死ぬことが出来ない。
 その時、「医師」と呼んでいる60歳ほどの白髪の男性が現れ、
 私をからかったり皮肉ったりする。
 この「医師」は物凄い博学で、知らないことはないほどである。


・その医師の勧めも有り、私は、私の真似をして 
  「樽宮由紀子」を殺した真犯人を捜し出すことにし、
 雑誌記者と偽って色々と調べる内に、
  「樽宮由紀子」が次々と男と肉体関係を持つ子だったなど知り、
 彼女の親友の女子高生や、体育教師、義理の母や弟などに面談、
 真犯人探しを続ける。
 その中で、40歳くらいで「樽宮由紀子」と親しげにしていた男が、
 告別式に来なかったことに疑問を持ったりする。

・一方、警察も、
 アメリカ帰りの科捜研のプロファイリングの専門家
 「堀之内靖治」警視正を中心に
 目黒西署の「村木刑事」や「磯部刑事」らが捜査に当たり、
 「樽宮由紀子」の告別式で参列者を観察したりする。
 その告別式には、
 遺体の発見者である、肥満体で色白の「日高光一」や
 もう一人の発見者である超美人の「安永知夏」も来ていた。
・そんな中、「樽宮由紀子」の首に刺さっていたハサミは、
 今までの「ハサミ男」のハサミのように丁寧に磨かれておらず、
 逆に、捨てられていたハサミが鋭利に磨かれていたことから、
 遺体の発見者「日高光一」が本当の「ハサミ男」で、
 通り掛かったもう一人の発見者「安永知夏」に姿を見られ、
 慌ててハサミを捨てたと推理し、
 「安永知夏」の事情聴取を再度行う。
 その時、「安永知夏」の美しさに磯部刑事は一目惚れをしてしまい、
 同僚たちの「からかい」のネタになるほどの行動を取る。


・そして、遂に「ハサミ男」の元に、一人に人間が訪ねて来て、
 「君がハサミ男だったんだね」
 と言う。


 この後は、完全なネタバレなので、読む、読まないは、各自の判断でお願いします。

ハサミ男ネタバレ