2016.02.18 弁護側の証人
読み続けている「叙述式トリックミステリー小説」も、有名な物は殆ど読み終えてしまい、
「これから何を読もうか?」
と不安になる。
と言うのも、「叙述トリックミステリー小説」ばかり読んでいると、普通のミステリー小説では物足りなくなりそうだからである。
それはさておき、その「叙述トリックミステリー小説」の名作と言われている本を、県立図書館から取り寄せてもらった。
これは返す期日を守らなきゃならないので、半日で読み終えた。
その本は、
・著者:小泉 喜美子(こいずみ きみこ)、
・著作:「弁護側の証人」
・発刊:1963年、
・特徴:叙述トリックミステリー小説
である。
因みに、筆者は、
・職場結婚、離婚、再婚、離婚を繰り返し、
平凡でない人生を歩み、
・1985年に新宿の酒場の階段から転落し、脳挫傷で死亡、
・文筆活動25年間、享年51歳、
と言う人生を送った人である。
さて、いつものように、粗筋を紹介しよう。
・ヌード・ダンサー(ストリッパー)の
「ミミイ・ローイ」こと「漣子(なみこ)」は、
・莫大な資産を持つ八島産業の御曹司「八島杉彦」に、
会って間も無いのに求婚され、
・結婚し、御曹司の嫁「八島漣子」となる。
・ところが、「杉彦」は、
働きもしない浪費家の道楽者で、
父親の怒りを買っている存在で、
・肉親なども、ヌード・ダンサーとの結婚に猛反対し、
2人の結婚式には「漣子」の元同僚の「エダ・月岡」だけが出席
と言うような状況だった。
・八島家に嫁いだ「漣子」は、
女中たちや運転手たち従業員の注目を浴びながら、
慣れない生活に戸惑っていた。
・また、「杉彦」の父「八島龍之介」との初会見で、
「龍之介」に啖呵(たんか)を切ってしまうなど、
失敗もして、「龍之介」との関係修復に悩む。
・「龍之介」はリュウマチを病んでいて、頑固で怒りっぽく、
離れに閉じこもっていて、「漣子」は近づくことも出来ない。
・離れには鍵がかかっており、勝手に入ることも出来ず、
鍵は女中頭の「志瀬」が預かって、定まった場所に仕舞ってあるが、
八島家の嫁として認めてもらっていない「漣子」は、
鍵の仕舞い場所も教えてもらえないほどだ。
・6月の日曜日、
顧問弁護士の「由木卓平」が、
「龍之介」の遺言状作成で呼び出され、屋敷に来た。
・加えて、「杉彦」の姉「洛子」と、
その夫で八島産業専務の「飛騨則秋」も来る。
・さらに、飛騨家の親族の「美紗子」も来る。
「美沙子」はみんなが「杉彦」と結婚させたい女性だった。
・姉夫婦と「杉彦」は、離れに行き、
「龍之介」と財産相続の件で話し合うが、
良い話し合いにはならなかったようで、
夕食の時、話し合いの結果が公表されたが、
「杉彦と漣子の結婚を認めるかわりに、
杉彦に、会社と家を出ていけ。」
と言う厳しい言葉だったらしく、
腹を立てた「杉彦」は、
「どうしても出ていけと言うなら、
ぼくはおやじを殺してやる」
と言い、姉の洛子は、
「殺したらいい。
うまく処理して遺産を山分けにしよう。」
と言うほどだった。
・この話を聞いて、「漣子」は、
「家を出て、私も働く。」
などと言うが、途中で気を失って倒れてしまう。
・「蓮子」は、数日前から吐き気がしていたが、
実は妊娠していたのだ。
・大喜びした「杉彦」は、
「赤ん坊のことを含めて、
もう一度おやじに頼んでみる。」
と言う。
・目を覚ました「蓮子」が時計を見たら0時3分。
隣で夫がぐっすり眠っているが、
離れにまだ明かりがついている。
・話し合いはどうなったのか気になった「蓮子」は、
階下に降り、応接間を通り抜ける時に、
眠っていたお抱え医師の「竹河」を起こしてしまう。
・「竹河」は、
「漣子の妊娠は4カ月目に入っているが、
杉彦と出会ったのは2カ月前なので、
お腹の子は杉彦の子ではないだろう。
その秘密を黙ってやるから、抱かせろ。」
と迫る。
・「竹河」医師に身体を与える約束をし、逃れた「漣子」は、
「龍之介」に直接会って話をしようと離れに向かい、
頭から血を流しうつぶせに倒れる「龍之介」を発見。
「杉彦」が殺したと思った漣子は、
凶器の文鎮の血と指紋を拭ったりの証拠隠滅を図り、
ハンカチは、紫陽花の挿してあった花瓶に隠した。
・この殺人事件を捜査に来た「緒方」警部補は、
現場の状況や関係者の証言から、犯人を特定。
・結果、裁判でも、全ての関係者が、
その容疑者に不利な証言をし、容疑者は有罪となり、
死刑の判決を受ける。
・そして、冒頭の刑務所での2人の面会となり、
「蓮子」は、「杉彦」に、
「諦めるのは早いわ。まだ控訴もあるわ。上告だって。」
と励ます。
・その「蓮子」の元に、元同僚のダンサー「エダ・月岡」が、
「清家洋太郎」と言う、見掛けはだらしない弁護士を連れて来る。
・「清家」弁護士は、「蓮子」と捜査主任だった「緒方」警部補を会わせ、
隠された殺人事件の真相を暴いていく。
では、犯人は誰で、どんな陰謀が隠されていたのか?
このミステリー小説の神髄です。
それでは、いつものように別のページで「ネタバレ」させていきますが、これからこの本を読もうと思っている方は、「ネタバレ」を読まれないように忠告します。
逆に、「ネタバレ」も読んでやろうと思ってくださる方は、次のページでどうぞ。
ミステリー小説「弁護側の証人」ネタバレ