牛蒡(ゴボウ)掘り

 私は土曜日の休日出勤の代休を貰い休みだと言うのに、カミさんは知人が事務局を務めている福祉団体のお手伝いに出掛け、独りぼっちに成ってしまった。

「さて、この休日をどう過ごそうか?」
と考えたが、カミさんが頼んでいた「ゴボウ掘り」をすることに。
 ゴボウは地中に長く伸びるので、途中で折らないように掘るには、ゴボウの周りを深く深く掘らなければならない。しかし、女であるカミさんは力が無いので、深く掘れない。
 そこで、私の出番となるのである。

 ゴボウ掘りだが、
・先ずは葉っぱを飛ばし、
・次に、ゴボウの周りの土を深く掘り、
・ゴボウがグラグラするようになってから抜き、
・空気中に置いておくと乾いてしまうので、土の中に埋めておく。
と言う手順でゴボウを掘っていく。
 丁寧に掘っていくので、かなり手間が掛かる。

 しかし、こんなに丁寧に掘っても、良いゴボウが出て来ない。
 と言うのも、
・我が家の畑は元々は山だったのを、土が欲しいという業者に土を上げて、
・山が無くなった所を畑にしたのだが、
・作土(さくつち)はマッシュルームの床堆肥などをいっぱい入れて柔らかくしたので、
 普通の野菜はとても良い物が出来るようになったのだが、
・作土の下の地面がとても硬くて、ゴボウが充分に地中まで伸びられないので、
 長い良いゴボウが出来ない。
のである。

 しかし、自分の家で食べる分については、短くて不格好でも関係無いし、それなりの量が穫れるので、買わずに済むのが有り難い。

 と言うことで、私一人で掘り始めたのだが、元々は畑に打ち込んでいる訳ではないので、一人で仕事をしていると寂しい。
 それに12時を知らせる町の有線時報チャイムの音を聴いたら途端に嫌になって、畝(うね)の半分を掘って止めてしまった。
 根性無しだねえ、我ながら。
 でも、これだけでもカミさんは喜んでくれるだろう。