サナキの森 粗筋とネタバレ 粗筋その5

<「東条龍子」から「荊庭零」への手紙 最終章>



 神社の祠の床下に隠されていた「東条龍子」から「荊庭零」に書かれた手紙には、事件の概要が書かれていた。
 その手紙は、
・今から10年前に「東条泪子」の祖父が亡くなって、
・「龍子」にすれば養子とした子が亡くなって、
 「赤鳥神社」にお参りする為に外出出来た貴重な日、
に、神社の祠に隠した物だった。


1)「東条龍子」の手紙
・「お勢」殺しの密室殺人のトリックが見えた「荊庭紅」と「東条泪子」は、
 「赤鳥神社」に行き、再度、残された物を探す。
・「泪子」が祠の床を、持って来た金槌で壊し、弄ると、
 「荊庭零 様」
 と書かれた黄ばんだ封筒が出て来た。
・そこには、「東条龍子」の告白が書かれており、
  〇「小野行春」への思い、
  〇「小野行春」の自殺の原因、
  〇「荊庭零」への怒りと謝罪、
 など、複雑な思いが書かれていた。 

2)行き違った三人の思い 「龍子」の手紙から
・最初は、「荊庭零」が「東条龍子」に恋して、
 ラブレターと共に、鼈甲の帯留めを、縁側に置いておいた。
・しかし、「荊庭零」が名前をラブレターに書いておかなかったので、
 「龍子」は、フランクに接して来た「小野行春」がくれたものと誤解。
 「小野行春」に返事を書き、それが元で、二人は恋に落ち、
 「龍子」は、「小野行春」の子を妊娠する。
・嫉妬に駆られた「荊庭零」は、東条家の人たちに、
 二人の不倫をばらし、二人は追い詰められ、
 「龍子」は、「荊庭零」を恨む。
・作家としても評価し、親友だと思っていた「荊庭零」に裏切られ、
 失意のどん底に落ちた「小野行春」は、東京に帰り自殺する。
 それを知り、「龍子」は、ますます「荊庭零」を憎む。
・不倫の子を妊娠した「龍子」は、
 家を追い出され路頭に迷う恐ろしさから、「お勢」を殺す計画を立て、
 自分への嫌がらせが「お勢」の所為だと騒ぎ、
 「お勢」が自ら納屋に入る状況にさせ、「お勢」を殺す。
・そして、身内が死んだ時だけ外出を許されるしきたりから、、
 「赤鳥神社」にお参り出来る機会をとらえ、
 トリックに使った南京錠と鍵を、祠の中に隠す。
・その後、「小野行春」との間に出来たお腹の子を流産し、
 再び、「赤鳥神社」に行って、南京錠と鍵を探したが、
 無くなっていて、その内、自分の犯罪が明かされると覚悟した。
・しかし、何年たってもそうはならず、
  〇十数年後に、「荊庭零」の書いた小説「サナキの森」を読んで、
  〇「荊庭零」が、「龍子」の犯した犯罪を見抜き、
  〇「龍子」が「赤鳥神社」に隠した南京錠と鍵を持って帰り、
    犯罪がばれることを防いでくれたこと、
 を知る。
・また、「小野行春」が自殺した後、「荊庭零」が「龍子」を訪ね、
  〇謝罪の涙を流したこと、
  〇鼈甲の帯留めを踏んづけて割ろうとした時も、
    「足を怪我すると止めてくれた優しい人だった。
  〇鼈甲の帯留めを返そうとした時、
    「これから先も私を許せないと思うなら、
     鼈甲の帯留めを、次の外出の時、
     赤鳥神社の祠に置いてほしい。」
    「十年に一度は、祠を見に行く。」
   と頼んだこと、
 などが書かれていた。
・最後に、
  〇義兄夫婦も亡くなったので、その息子を私の養子にし、
    東条家を守って来た。
  〇その養子は良く頑張って、家を守り、子を育て、
    孫(泪子の父)も生まれた。
  〇そして、その孫夫婦に女の子の曾孫(泪子)が生まれ、
    東条家は男の子ばかりだったが、初めての女の子で、
    とても嬉しかった。
  〇しかし、サナキに涙(泪)を持って行かれたのか、
    左目は涙が出ず、常に乾いて充血しているので、
    私の因果がこんなふうに表れたのかと心が震える。
  〇鼈甲の帯留めは、有り難く頂戴する。
    そして、今の時代、帯留めはしないだろうから、
    髪飾りなどに変えて、曾孫に渡したい。
 などが書かれていた。


3)「荊庭零」のお墓にお参りし
・数日後、「東条泪子」の提案で、祖父「荊庭零」のお墓に、
 鼈甲の帯留めだったバレッタを、お供えに行くことになった。
・そこに「陣野先生」も呼んだので、「荊庭紅」は化粧して臨む。
・「陣野先生」も墓地には来たが、二人は近付けない。
 そこで、「紅」は、携帯電話で思い切って告白するが、
 「陣野先生」は、「有り難う」と言って、去って行く。
・二人は両思いだと思っていた「東条泪子」は、唖然とする。
・「紅」は、家に帰ったら、祖父の書斎で、
 もう一度、「サナキの森」を読み返そうと思う。

 「お終い」
 長い文章を読んでくださり、有り難うございました。