歳時の学習室
「八朔(はっさく)」とは

 「八朔」には、
2つの意味が有る。


<旧暦8月1日のこと>

 「八朔」の意味の1つ目は、
旧暦の8月1日のことであり、
・「八」は、8月のことで、
・「朔」は、「朔日」のことで、
  各月の1日(ついたち)のこと、
である。



 先ず、旧暦は、
太陽の動きではなく、
月の動きを基準に作られた暦で、
「新月」の日を、1日(ついたち)にしている。


 追加だが、
各月の1日目を「ついたち」と呼ぶのは、
新しい月が始まるので、
「月立ち=つきたち」
と言ってたのが、「ついたち」になった
ようである。



 なお、
旧暦の8月1日は、
新暦だと、いつ頃になるのかは、
年によって少しずつずれるので、
何日とは、固定出来ない。

 例えば、
旧暦の2000年を仮定すれば、
・旧暦8月1日は、
・新暦8月29日、
旧暦の2021年を仮定すれば、
・旧暦8月1日は、
・新暦9月8日、
となる。

 この旧暦と新暦の変換には、
それなりの計算式が有って、
変換出来る。

 まあ、変換する必要は、殆ど無いが。



<柑橘類のこと>

 「八朔」の2つ目の意味は、
柑橘類(ミカン類)の1つであること。


 因みに、ハッサクは、
・果皮と袋(じょうのう膜)が厚く、
・独特の苦みと酸味がある味で、
・鮮度の良い物は水分も多い、
柑橘類である。



 この「八朔」は、
・江戸時代に、
・広島県のお寺の庭に生えてたのが
  発見された物だそうで、
・その寺の住職が、
  ”八朔(旧暦8月1日)の頃には食べられる。”
 と言ったので、「八朔」の名が付けられた、
  との言い伝えが有る、
柑橘類である。


 とは言っても、
・「八朔」の収穫と賞味時期は、
  1月〜4月頃なので、
・旧暦8月1日だと、
  まだまだ実は小さく、
その住職が、
何でそんなたわけたことを言ったのか、
分からない。



 ハッサクのルーツは、
・気候が温暖で、育ち易い自然の、
  現在は広島県尾道市因島に、
 村上水軍の城跡が有り、寺が有ったが、
・海賊行為もしていた村上水軍が、
・東南アジアなどから持ち帰った、
  柑橘類の種から自生した、
   と思われる柑橘の木が、
・江戸時代の万延年間(1860年)に、
  浄土寺で発見されたそうで、
・現在の浄土寺には、
  ハッサクの原木の切り株が保存され、
 境内にはハッサク顕彰碑である
  「八朔発祥の地」が建てられている、
そうである。



 八朔の生産が盛んになったきっかけは、
・1910年(明治43年)に、
・柑橘学の世界的権威スウィングル博士が、
・「かいよう病(柑橘の病気)が、
  元から日本に有ったものかを
   調査しに因島を訪れ、
・当時因島に現存した
  約60種類の雑柑を調べていた時に、
   ハッサクも有って、
・ハッサクの優秀性が明らかになって、
  一躍ハッサク栽培の機運が高まった。
のだそうな。


 なお、生産地としては、
・原産地は広島県だが、
・現在の主産地は和歌山県で
  全国の68%を生産する、
そうな。






 中断