W杯サッカー「ロシア大会」顛末


日本の敗退 2018.07,03記述

 2018年07月03日の午前3時、「日本」と「ベルギー」の、ベスト8進出を掛けての試合が始まり、結果、2−0から、2−3と言う大逆転を喰らい、日本チームのW杯サッカー「ロシア大会」が終わった。
 今日は、その纏めを、私なりの視点で書き残しておこう。


<おっさんたちの頑張り>

 「西野」新監督が、「ロシア大会」のメンバーを選び発表した時は、
・未来を志向せず、目先だけに囚われ、
 過去の実績を忖度し、無難におっさんばかりを選んだ、
・こんなおっさん中心では、1勝も出来ないだろう、
などと酷評されたものだ。

 では、そのおっさんたちの実際は、どうだったのだろう?
 年令順に、個別に観て行くと。

川島 永嗣(かわしま えいじ 35歳)
・世界が呆れる守備のミスを、3本もしでかした。
・逆に、ビックリするほどのスーパーセーブも連発。
・監督も、切るに切れず、悩んだことだろう。

長谷部 誠(はせべ まこと 34歳)
・日本代表の主将、頭脳として、チーム全体を纏めた。
・守備の要として、活躍。
・「長谷部のチーム」と言われるほどの存在。

本田 圭佑(ほんだ けいすけ 32歳)
・今大会はスーパーサブとして、
 自我を抑え、チームを鼓舞。
・試合に出れば、
 コーナーキックで大迫のヘディングシュートを成功させ、
 自らも得点した。

岡崎 慎司(おかざき しんじ 32歳)
・今大会は怪我に泣き、目立った活躍は無かった。

長友 佑都(ながとも ゆうと 31歳)
・決勝トーナメント進出全チームの中で、
 一番、距離を走るデフェンダーである。
・また、乾選手のシュートを成功させるなど、
 重要なつなぎ役をこなした。

槙野 智章(まきの ともあき 31歳)
・今回は、今一だった。

乾 貴士(いぬい たかし 30歳)
・敵の守備の隙間を的確に突き、
 美しくセクシーなシュートを2本も決めた。

香川 真司(かがわ しんじ 29歳)
・チームの中心10番を背負い、試合をコントロール。
・コロンビア戦で、先制のペナルティキックを成功。
 チームに弾みを付けた。

 以上のような、素晴らしい活躍だったではないか。
 今大会の躍進は、正に、「おっさんたち」の頑張りで生まれたものだったことに、間違いはない。
 その点で、今の日本サッカーのベストに近い人選だったと思う。

 確かに、若手に経験させ、未来に繋ぐ点では弱い。「おっさんたち」に負けて選ばれなかった有望株も居るから。
 だから、これからは、
・吉田麻也、
・柴崎岳、
・大迫勇也、
などが、今回の経験を基に日本チームを作って行かなきゃ、「おっさんたち」の頑張りが意味を持たなくなるよね。


<西野監督の手腕>

 「ロシア大会」まで、たった2ヶ月ちょっとしかない状況で、日本代表チームの監督を受け、結果を出した「西野」監督。
 その手腕は、本当に素晴らしいものだった。

 「西野」さんにしてみれば、監督を受けた以上は、結果を出したかっただろう。
 それが出来なければ、日本中から、
「大会直前に監督を変えたのが悪い。
 メンバー選びも悪い。負けて当たり前だ。」
などと、批判の嵐が巻き起こったことだろう。


 また、直前で解雇された「ハリルホジッチ」前監督が、いきり立って裁判を起こしたことだろう。

 しかし、グループHの4ヶ国の中で最弱と言われながら、適切な試合運びと最高のタイミングのメンバー交代で、コロンビアに勝ち、セネガルと引き分け、世界を驚嘆させた。
 そして、決勝トーナメントでは、FIFAランキング3位の強豪「ベルギー」にも、あわや勝利を得掛けたほどだった。

 恐らく、
・選手の個性や能力を理解し、
・選手とのコミュニケーションを大切にする、
「西野」監督でなければ、今回の成果は上げられなかったことだろう。

 「ハリルホジッチ」前監督が、自分の首切りで日本サッカー協会を訴えれば、「西野」監督との比較で、自分の至らなかった点を浮き彫りにされ、恥をかくだけだろう。


<3点目を取られた状況>

 前半に2点を取り、日本国内のみならず世界中を驚かせた日本だったが、後半に入ると、「ベルギー」に押しまくられ、劣勢に。
 そして、2点を取られ、2−2の同点になった。

 その後、本来の試合時間は過ぎ、アディショナルタイムに入ったが、その時、日本チームは、3点目を狙って、積極的に攻撃に出た。
 しかし、惜しかった攻撃をかわされた後に、一瞬の隙を狙われ、「ベルギー」の速攻で逆転の1点を取られた。


 私は、日本チームの最後の攻撃は立派だったと思う。
 テレビの解説には、
「あそこは無理をせず、延長戦に行くべきだった。」
と言うようなことを言う人もいるが、フィジカルや身長で勝る「ベルギー」に延長戦で勝つことは難しく、本戦内で1点を取りに行く方が現実的だったと思う。

 それが分かっていたから、選手たちも全力で攻撃していた。
 結果が伴わなかったけど、 惜しくて、素晴らしい攻めだった。


 そして、グループリーグ予選で、負けているにも関わらず、
「反則の少なさで2位に入るため」
ポーランド相手に11分間もパス回しをし、汚い戦略に世界中からバッシングを受けた日本だったが、最後に、
・一人一人が全力で、
・組織としての連携も保ちながら、
力の限り戦う姿を見せ、再び、世界の称賛を受けるチームに戻った。

 負けたことは残念だが、美しい負け方だったことが嬉しい。

 スポーツは勝つことが大切だし、勝つことで成長もするだろう。
 しかし、どんな手段でも勝てば良いのでは、スポーツはスポーツでなく、単なる手段になる。
 スポーツは、「スポーツが目標」だと思う私であるから。


 さて、
・4年後は、どんなチームが出来上がるのか、
・その時は、私は生きているのか、
果てさて。


日本の事情 2018.07,02記述

 今更、私が書くことも無いほど、メデイアやSNS(ソーシャルネットワークサービス)で物議を醸し出し議論されまくった、W杯サッカー日本代表の活動。
 遅れ馳せながら、書き残しておこう。


<「ロシア大会」出場までのトラブル続き>
 今回の日本代表チームは、本大会出場まで、トラブル続きのチームだった。
 と言うのも、
・2014年、「ザッケローニ」監督の下に、
 何とかアジア・オセアニア代表として「ブラジル」大会に出場したが、
 グループリーグで1勝も出来ず敗退し、
 決勝トーナメント進出は出来なかった。

・そこで、元メキシコ代表監督の「アギーレ」を新監督として招いたが、
 「アギーレ」には、過去に八百長疑惑が有り、
 2015年2月に、「アギーレ」監督を解任した。

・その後、2015年3月に、
 元アルジェリア代表監督の「ハリルホジッチ」を新監督に招き、
 2017年8月に、オーストラリアに勝利し、
 6大会連続6度目のW杯サッカー本大会出場を獲得した。

・しかし、「ハリルホジッチ」監督が独断的で、
 選手とのコミュニケーションが取れていないと、
 本大会2か月前に「ハリルホジッチ」監督を解任し、
 技術委員長だった「西野」を新監督に就任させた。
 監督を選ぶ立場の上の人間が降りて来て、
 監督になったようなものだ。

と、トラブルが続いたのである。

 本大会の2ヶ月前に監督を交代させるなんて、有り得ないよね。
 そんなわけで、今回の日本代表への期待と関心は、極めて低かったのである。
 こうして書いている私も、同じだった。



<グループ予選での活躍>
 ところが、予選グループリーグ戦の「グループH」は、ポーランド、コロンビア、セネガル、日本の4ヶ国だったが、2戦を終えた時点で、
・一番強いと言われたポーランドが2連敗し、
 予選リーグでの敗退決定。

・一番弱いと言われた日本が、
 コロンビアに2−1で勝利し、
 セネガルに2−2と引き分け、
 グループHで予選1位になった。
のである。
 これで、日本は、俄かファンも含め、大盛り上がり。
 ここまでは本当に良かったよね。


<第3戦の混乱と決断>

 問題は、第3戦だった。
 と言うのも、
・日本は、ポーランドに0−1でリードされ、負ける気配。
・コロンビアは、セネガルに1−0でリード。
 結果、コロンビアが2勝1敗で1位で通過しそう。
・日本とセネガルのどちらが2位になり、
 予選通過出来るか、予想が出来ない、
と言う複雑な状況になったのである。


 そして、第3戦の進行中、
・日本はポーランドに0−1で負けているし、
 セネガルもコロンビアに0−1で負けているし、
・そうなると、
   第1条件の、勝ち点も同じ、
   第2条件の、得失点差も同じ、
   第3〜第6の、その他の条件も同じ、
 となり、
・最後の第7条件の「ファール(反則)」の少なさで、やっとのこと、違いが出て来た。
のである。

 詳しく書くと、2位で予選突破か、3位で予選敗退かになる条件は、次の表のとおりだった。

条件 項目 日本 セネガル 備考
第1条件 勝ち点 1勝で3ポイント、1分けで1ポイント
第2条件 得失点差 お互い、4点取り、4点失点したから
第3条件 得点 全く同じだった
第4条件 お互いの対戦での勝ち点 引き分けだったから
第5条件 お互いの対戦での得失点差 2−2だったから
第6条件 お互いの対戦での得点の多さ 2−2の引き分けだったから
第7条件 反則ポイントの少なさ 日本のファールが少なかったから

 この状況を受け、日本の「西野」監督は、
・日本が、ポーランドに0−1で負けても、
 セネガルも、コロンビアに0−1で負ければ、
 1〜6の条件は同じで順位が付けられないから、
・ファールの少なさで日本がセネガルを上回れる、
と考え、これ以上、ポーランドに点数を入れられないよう、11分間も、自陣でボールをパス回しし、敵に攻められないようにしたのである。

 すると、せめて1勝してプライドを守りたかったポーランドも、このままなら1−0で勝てるので、日本チームがパス回しをするボールを取りに来ず、それを観てた観客と、世界中のメデイアやサッカーファンから、罵りまくられたのである。



<さて本題>

 長い前置きだったが、今日の本題を書こう。
 日本チームは、混乱のグループリーグを勝ち抜き、明日7月3日午前3時から、ベスト8進出を掛けて、FIFA順位3位の強豪ベルギー戦うことになった。

 しかし、世界中から非難を浴びたのも事実。

 皆さんは、
・世界中から非難を受けた11分間のパス回しだったが、
 ルールを破ったわけではない。
 決勝トーナメント出場は、とても大きくて大事なこと。

・ルールの範囲内で、違法なことをしたわけではないが、
 正々堂々と戦わず、スッキリとしない決勝トーナメント進出は、
 受け入れにくい。
 2点目を入れられて決勝トーナメント進出が出来なくなっても良いから、
 ポーランドと、正々堂々戦ってほしかった。

のどちらの気持ちで、ベルギー戦を迎えますか?

 なお、私も、事業所で指導的立場だったことも有るので、
「トップは、自分の能力と権限で物事を決め、責任を持つ。」
と思っているので、「西野」監督の判断と指導は評価し、認め、受け入れます。


 ただ、自分の気持ちのレベルでは、
「最後までポーランドと必死に戦い、
 例え2点目を入れられ、グループ予選で敗退しても、
 日本国民とファンは、監督と選手を熱く讃えただろう。」
と思います。
 どんなもんでしょう?