エンジンオイル規格
「4サイクル」ガソリンエンジンを載せた機械を持っていると、
エンジンオイルの点検や交換が、欠かせない。
それを怠ると、
・エンジンが長持ちしなかったり、
・エンジンが壊れたりする、
からである。
とは言っても、それぞれのエンジンに合ったエンジオイルを選ぶのは、
素人には難しい。
まあ、機械を買った時に付いて来る説明書には、
適合するエンジンオイルが書かれているので、
それを買えば良いのだけど、
・指定された純正のエンジンオイルだと高かったり、
・近くに、販売店が無かったり、
することも出て来る。
結果、私は、ついついインターネット通販で買おうとするのだが、
色々な種類が有り、悩むことになるのである。
で、エンジンオイルを選ぶ時の知識を書いて、
自分の為にも残しておこうと思う。
<SAE(アメリカ自動車技術協会)>
オイルの違いが出て来る大きな理由の1つに、
使われる環境が、
・暖かい所か、
・寒い所か、
の違いが有る。
と言うのも、
・粘り気の少ないオイルは、外気温が低い場合に向いていて、
・粘り気の多いオイルは、外気温が高い場合に向いている、
のである。
そこで、エンジオイルの規格基準が作られ、
環境に合わせて使い分けをするようになった。
その規格を作ったのが、
「SAE(Society of Automotive Engineers アメリカ自動車技術協会)」
である。
<SAE規格の説明>
例えば、エンジンオイルを買おうとすると、
「SAE 10W−30」
などと書かれている。
これを例に説明すると。
1)SAEは、アメリカ自動車技術協会の規格であることを表している。
2)10Wは、
・寒さ(低温度)の粘度指数を表し、
・この数字が小さければ小さいほど、
粘り度が低い柔らかなオイルであることを示し、
寒さに強い、
エンジンの始動が良い、
燃焼効率が良い、
など特徴が有り、
この数字が小さいほど、寒冷な冬向きエンジンオイルと言える。
これを表で表すと、
外気が低温での指数 | 外気温 |
0 W | -30度 |
5 W | -25度 |
10 W | -20度 |
20 W | -10度 |
となる。
3)一番右の数字の30は、
・暑さ(高気温)への適応基準を示すが、
・ただし、30は30度Cではなくて、粘度(濃さ=粘り度)を示し、
高温側の粘度指数 |
cSt(mm2/s) |
水が常温の場合 | 1.0 の粘度とすると |
20 の表示は | 5.6〜9.3 の粘度 |
30 の表示は | 9.3〜12.5 の粘度 |
40 の表示は | 12.5〜16.3 の粘度 |
50 の表示は | 16.3〜21.9 の粘度 |
60 の表示は | 21.9〜26.1 の粘度 |
と言うことになる。
で、この数字が「60」などと大きければ大きいほど、
・高温時でも硬く、耐摩耗性に優れ、
・熱に強く、
・高速走行に適する、
夏などの暑い時向きなエンジンオイルと言える。
<纏めてみると>
例1)「0W−20」のエンジオイルは、
・粘り度が一番低く、柔らかいオイルで、
・−30度Cまで外気温が下がっても対応出来、
・エンジンの掛かりが良く、
・燃費も良くなる、
と言うことだ。
例2)多く使われる「10W−30」だと、
・−20度Cの寒さまで使え、
・柔らかさも2番目で、
一般的なエンジオイルなので、
・「プチな」や「スノーグレーダー」などで使われる。
のだろう。
例3)「5W−50」と言うエンジンオイルは、
・−25度Cの低温度から、
・高温となる高速走行まで、
カバーする、利用幅の広い良いエンジンオイルとなるが、
こんなエンジンオイルを使わなければならないエンジンは、
滅多に無いのではないかと思う。
違うか?
<我が家に当てはめてみると>
<ミニ耕運機「プチな」のエンジンに合うオイル>
適合オイルが「SAE10W−30」と書かれているので、
・外気温の低さが−20度まで、
・外気温の高い側の粘度が、そんなに高くない
9.3〜12.5の粘度、
と言うことになる。
<スノーグレーダーのエンジンに合うオイル>
適合オイルが、「5W−20」となっているが、これは、
・外気温が−25度Cまで下がっても良くて、
・高温側が5.6〜9.3の粘度が一番低い、
規格で、やっぱり寒さの厳しい冬に使う除雪機のオイルだね。
ただ、「SAE10W−30」でも良いと書かれているので、
「プチな」と同じエンジオイルを流用することも有りだね。
<オーガ&ブロー式除雪機のエンジンに合うオイル>
適合オイルが「SAE 5W−30」と書かれているので、
・外気温が−25度Cまで下がっても良くて、
・高温側が9.3〜12.5の、粘度がそれほど高くはない、寒冷向き、
となって、やっぱり冬に使う除雪機のエンジンに対応したオイルだ。
まあ、我が家は比較的暖かい所に有るので、
「10W−30」のエンジオイルでも良さそうだね?
以上のようなことが分かったので、
インターネット通販のアマゾンで、
「ホンダ純正ウルトラU 汎用 SAE10W−30」
を買って、3台ともに使おうかと思う私だ。
<API規格の説明>
ところで、エンジオイルには、もう1つの規格が有る。
それは、「品質」の規格である。
と言うのも、どんな物にも、
・品質の良い物、
・品質の良くない物、
が有るように、同じ「10W−30」規格のエンジオイルでも、
質の良い物、そうでない物が有る。
その規格を決めているのは、
「API(American Petroleum Institute=米国石油協会)
などである。
で、その規格は、
・SNが、最新で最高レベルの基準。
・SMは、その前の基準。
・SLは、SMの前。
・SJは、近年のエンジンの標準。
と定められていて、
SJ→SL→SM→SNの順に、新しく、グレードアップしている。
グレードアップすると、
・省燃費、
・酸化対策、
・低温や高温対策、
などの性能が高くなるようだ。
まあ、農作業や除雪作業に使う機械なら、標準のSJ基準で良いだろう?
記号 | 説明(この表を借りました。) |
---|---|
SA | 昔の基準なので、略 |
SB | |
SC | |
SD | |
SE | |
SF | |
SG | |
SH | |
SJ | エンジンメーカー推薦下で運転される1996年以降のガソリン車に適用。SHの最低性能基準を上回る性能を有し、耐ブラックスラッジ性能、耐酸化性能、耐摩耗性能および耐さび性能、防食性能でSHに代わるもの。 |
SL | エンジンメーカー推薦下で運転される2001年以降のガソリン車に適用。SJの最低性能基準を上回る性能を有し、高温時におけるオイルの耐久性能・清浄性能・酸化安定性を向上すると共に、厳しいオイル揮発試験に合格した環境対策規格。 |
SM | SL規格よりも、省燃費性能の向上、有害な排気ガスの低減、エンジンオイルの耐久性を向上させた環境対応オイル。またこれまで試験の無かった劣化油の低温粘度を計る試験が追加され、低温流動性、酸化劣化に優れたベースオイルを使用する必要がある。 |
SN | これまで一番厳しい規格であったSM規格よりも、省燃費性能、オイル耐久性、触媒システム保護性能の改善が求められる。省燃費性能はSM規格対比0.5%以上の改善。オイル耐久性はデポジットの発生をSM規格対比14%以上改善。触媒システム保護性能の改善は触媒に悪影響を与えるリンの蒸発を20%までに抑制することが求められる。 |
と言うことで、エンジオイルを買う時は、
・API基準が「SJ」以降で、
・説明書に書かれたSAE規格に合った、
物を買うことである。
以上。