貨幣システム
<三貨制度>
現在の日本では、
紙幣(紙のお金)と硬貨(金属のお金)の
2種類の貨幣を使っている。
とは言っても、
紙幣と硬貨は、矛盾の無い関係が有り、
お互いを、そのまま交換出来る。
しかし、
江戸時代の貨幣制度は「三貨制度」で、
1)大判や小判、分、朱の「金貨」、
2)匁、貫の「銀貨」、
3)天保銭、四文銭、一文銭の「銭貨」、
が有り、ややこしい交換率が存在した。
小判を銀貨や銭貨に交換する、
両替屋が存在した。
<金(小判等)>
高額な買い物や支払いに使われ、
江戸時代の貨幣制度の中心だった。
1)大判は、
・小判10枚分の値打ちが有った。
・通貨として使われることは無かった。
2)小判は、
・経済活動の中心に使われた。
・1両は、
同じ金貨の場合、
2分金なら2枚必要、
1分金なら4枚必要。
2朱金なら8枚必要。
1朱金なら16枚必要。
銀貨の場合、
1分銀なら4枚必要。
1朱銀なら16枚必要。
銭貨の場合、
天保銭なら40枚必要。
4文銭なら1000枚必要。
1文銭なら4000枚必要。
だった。
<物価の比較 1両の値打ち>
1両の値打ちを、現代と比較するのは、
かなり難しい。
と言うのも、
・江戸時代と今と、値段が同じ程度の物、
・江戸時代では凄く高く、今は安い物、
・江戸時代は安かったのに、今は高い物、
などが有るので、比較し難いのである。
そこで、具体的に物で比較してみる。
1)蕎麦(そば)
・屋台を引いて売り歩く蕎麦(そば)は、
二八蕎麦と言った。
何でそんな名前かと言うと、
江戸っ子はシャレっ気が有ったので、
2×8=16で、
16文の蕎麦を、そう呼んだ。
・1文銭1枚の値打ちを現在と比較すると、
約18円くらいではないかと思われる。
・蕎麦1杯を食べると、288円となり、
現在の立ち食い蕎麦よりも安い。
・結果、1両は4000文なので、
18円×4000文=72,000円
となり、1両は7万2千円の値打ちになる。
・時期時代によっては、
蕎麦1杯が500円ほどだった時期が有るが、
500円÷16文=31.25円となり、
1文が31円ほどになるが、
31円×4000文=124,000円となり、
1両は、12万4千円の値打ちが有るとなる。
こんなふうに、同じ蕎麦で考えても、
時期によって、1両の値打ちも変わった。
まあ、現代でも、
インフレやデフレによって、
1万円の値打ちが変わるから、仕方無いけどね。
2)米
江戸時代260年ほどの間に、
米の値段が大きく上下するので、
なかなか比較は難しいが、やってみる。
なお、60kg=1俵=4斗=40升である。
・現在の上等のコシヒカリが、
1俵(60kg)を2万4千円とする。
・江戸時代の或る時期では、
1両で4.25俵買えたので、
今の値段の2万4千円で
4.25俵を買うと、10万2000円、
となるので、
1両の値打ちは、10万2000円だった
と言うことになる。
3)大工の日当(手間賃)
・江戸時代の大工の日当は、
今に直せば、1万2000円ほどだった。
・今の大工の手間賃は、1万5千円ほど。
・これを比較すると、
中断
以上をまとめると、
銭の例にも書いたが、
同じ1両でも、
江戸時代の前期と後期では、
1両の値打ちが1/3に下がったりしている、
ので、一言では言えないのが事実だ。
<銀>
銀の殆どは、商取引に使われた。
・田沼意次が
筆頭老中(今の総理大臣)の時、
1分金や1朱金と同じ価値を持つ、
1分銀や1朱銀を作り、使わせた。
・
中断
<銭>
銭(せん・ぜに)は、
少額な物の支払いに使われた。
武士でも町人でも農民でも、
少額の支払いに使った。
銭の基本は、1文銭である。
それを基本に換算する。
・同じ1文なのに、
江戸時代の各時期で、
値打ちが凄く上下した。
・江戸時代の前期は、
1両が銀貨50匁(もんめ)なのに、
江戸時代の後期は、
1両が銀貨150匁となり、
インフレになったので、
1両の値打ちも1/3に下がったりした。