映画 エリザベス

<前書き>

 映画DVD「エリザベス」を買った。一度映画館で観て、その雰囲気に魅せられ是非DVDを買おうと思ったが、定価5,300円と高かったので、買いそびれていた。処が、「一度しか観ていないので綺麗です。」というコメント付きの中古品が出たので、思わず買ってしまった。

<エリザベス一世の功績>

 70歳で死去するまで結婚をしなかったので、「処女王(バージンクイーン)」と呼ばれた女王で、人心の把握にも長け、民衆の人気も得るし、当時「無敵艦隊」と呼ばれる海軍力を持ったスペインを破り、イギリスをヨーロッパ一の大国にした名君である。

 また、自分が処刑した元スコットランド女王メアリの息子スコットランド王ジェームズ6世を後継者に選んだので、彼は、イングランド王ジェームズ1世として1603年に 即位 したため、イングランドとスコットランドが一つになったのである。

<あらすじ>

 エリザベスは、1533年にイングランドの王ヘンリー8世と2番目の妃(きさき)アンの間に生まれる。しかし、母親のアンは、男の子を産まなかったという理由で、夫のヘンリー8世に処刑される。

 異母姉メアリーがイングランドの女王に成ったとき、次の王位継承権順位を与えられるが、カトリック教が力を持っている国の中でプロテスタント教を信仰したため、「異教信仰」や「反逆」の罪でロンドン塔に幽閉されたりした。

 しかし、メアリー女王がガンで死去すると、エリザベスは、イングランド女王の座に着く。そして、カトリックとプロテスタントを一つにする国教の制度を作り上げたため、ローマ法王から破門され、暗殺者まで派遣される。

 この頃のイギリス本土は、イングランドとスコットランドに別れて別々の女王が治めており、イングランドは小国で力も弱く、おまけにスコットランドはフランスと手を結びイングランドを脅かしたりしていた。

 そこで、フランスやスペインの王は、エリザベス女王との政略結婚を迫るが、エリザベスはどちらとも結婚せず、微妙なバランスの外交を続ける。

 それに焦れた反対勢力は、イングランドの有力貴族のノーフォーク卿(きょう)と手を組み、エリザベスを排斥しようとする。それを察知したエリザベスの腹心ウォルシンガム卿の助けを受け、スコットランド女王メアリを暗殺、続いてノーフォーク卿等を反逆罪で逮捕処刑し、女王の地位を安泰にする。

 その後、結婚しないことを宣言し、治国一筋に生きた女王である。

<映画と史実の違い>

(その1)  映画は、ドラマチックになるよう、エリザベスが即位する前後から30年間の出来事を、連続で起こったことのように描いている。

(その2)  映画では、スコットランド女王メアリは、エリザベス女王の腹心ウォルシンガム卿に暗殺されるように描いているが、実際は、メアリはスコットランドを追放されエリザベスに助けを求めて亡命するが、エリザベスに逮捕され、最後は処刑されている。

(その3)  エリザベスは、結婚はしなかったが愛人は数人居たようで、その愛人達と情事を楽しんだようである。映画では愛人はロバート・ダドリー一人ということになっている。

エリザベスの異母姉ブラッディ・メアリー へのリンク