映画紹介
「祈りの幕が下りる時」 粗筋とネタバレ その1


 最初にお断りしておくが、私の書く粗筋は、映画の流れを無視し、読んだ時に分り易いように、映画のミステリーさを壊してしまう「時系列」的にエピソードを並べているので、映画の流れを大事にする人には
「本当に許せないネタばれ」
になっていることを、最初にお断りしておきます。

 よって、それが嫌いな人は、読まないでください。


<プロローグ母の死>
・日本橋署勤務の刑事「加賀恭一郎」の母「百合子」は、
 水商売上がりなどを原因とする親戚からのいじめ、
 多忙な夫の家庭を省みない態度などに、
 鬱病を発症し、
 息子を道連れに無理心中を図りそうになり、
 息子に危害を加えるのを避ける為に、黙って家を出る。
・仙台に向かった「百合子」は、旧姓の「田島百合子」として、
 「宮本康代」の経営するスナックで働くことになり、
 客への接し方も上手で、客との淫らな付き合いもしない為、
 人気が出て、スナックの柱となる。
・小さなアパートで、孤独に生きる「百合子」だが、
 客の一人で日本全国を渡り歩く「綿部」と恋仲になる。
・しかし、「百合子」は、「綿部」が遠くに働きに行っているある日、
 心不全で死亡する。
・スナック経営者の「宮本康代」は、
 「綿部」から教えられた住所に連絡して、
 一人息子「加賀恭一郎」を呼び寄せ、遺品を渡す。
・「綿部」は、どうやって「恭一郎」の住所を知っていたのか、
 「百合子」は、大人になった「恭一郎」の住所を知らないはずなのに。
 これが、この物語の柱となる謎の1つでもある。

<女性殺人事件の発生>
・東京都葛飾区のアパートで、
 腐乱した女性の絞殺死体が発見され、
 被害者は、滋賀県在住の「押谷道子」と分かったが、
 殺害現場のアパートの住人「越川睦夫」も行方不明で、
 操作は難航する。
・「恭一郎」の従兄弟で、警視庁捜査一課の刑事「松宮」たちは、
 必死の捜査を続け、「押谷道子」が、
 昔の同級生で有名な女性演出家「浅居博美」を訪ねて、
 東京に来たことを突き止め、
 「浅居博美」を調べるも、アリバイが有ることが分かる。
・そんな折に、河原で、首を絞められ殺された上に、
 ガソリンを掛けられ、黒焦げにされた、浮浪者の焼死体が発見される。
・捜査が進展しない中、捜査会議で、「松宮」は、
 焼死体の浮浪者の住まいも、「押谷道子」が殺されたアパートも、
 人が生活する場ではなく、「仮の住まい」であるとの共通性を見付け、
 再び、「押谷道子」が殺された「越川睦夫」のアパートに行き、
 壁に掛かっていたカレンダーの月毎に、
 日本橋を囲む12の橋の名が書き込まれていることを発見する。
・そして、橋を訪ねる時に偶然出会った「加賀恭一郎」に、
 各月に書かれた橋の名前を告げた時、
 「恭一郎」は、激しく動揺しながら、全ての月に書かれた橋の名前を当てる。
・「恭一郎」の母「百合子」が残したカレンダーにも、橋の名前が書かれており、
 「押谷道子」が殺されたアパートに残されていたカレンダーの筆跡と、
 「百合子」が残したカレンダーの筆跡鑑定をした結果、
 カレンダーに書かれた字が同一人物の書いた物と判明。
・アパートの住人「越川睦夫」が、「百合子」の恋人「綿部」と判明する。

<演出家「浅居博美」の過去 早々とネタバレ>
・「浅居博美」は、滋賀県に住んでいたが、
 母親が不倫をし、夫の実印を使って多額の借金をし、男と逃亡。
・「博美」が14歳の中学生の頃、
 父「浅居忠雄」は、借金催促で暴力団に脅され、耐え切れず、
 「博美」と夜逃げをし、彼方此方を彷徨っていた。
・仙台まで逃げて来た時、ある食堂で夕食を食べていた時、
 原発労務者で日本全国の原子力発電所を渡り歩いてる
 「綿部」と言う名の男と遭遇。
・食事の後、「綿部」は、「博美」に、
 「アルバイトをしたら、お金をいっぱいやる。」
 と誘い、自分のワゴン車に「博美」を連れ込み、犯そうとする。
・「博美」は、恐ろしさのあまり、近くに有った箸を「綿部」の首に刺し、
 「綿部」を殺してしまう。
・それを知った「博美」の父は、
 「この死体は、海へ落とす。
  自分は、これから「綿部」の名前で生きて行く。
  警察が来たら、
   ”お父さんは、崖から飛び降りて死んだ。”
  と言いなさい。
  博美は施設に送られるだろうが、頑張って幸せになってくれ。
  決してお前のことは忘れない。
  ”近藤恭子”の偽名で、手紙を出すから。」
 と伝え、本物の「綿部」の顔を石で打ち砕き、判明出来ないようにし、
 遺体を持って去って行く。
・「綿部」の遺体は発見され、「博美」の
  ”お父さんは、崖から飛び降りた。”
 との証言から、死んだのは「博美」の父「浅居忠雄」と信じられ、
 「博美」は養護施設に送られ、高校を卒業する。
・その間も、「近藤恭子」の偽名で、父「忠雄」からの手紙は届く。
 父「忠雄」は、原発労務者として全国の原発を渡り歩き、
 高濃度の放射能の中で働き続け、身体を壊していく。
・その後、「博美」は大人になり、演劇の世界に入り、
 20歳の頃から俳優として成功し、次に、演出家を目指し、成功する。

<「博美」と恩師「稲村」との繋がり>
・「博美」が中学生の頃、母親が男と逃げたことや借金のことで、
 いじめに遭う。
・そんな時にかばってくれた先生がいた。「稲村誠三」である。
・「稲村」は、「博美」の父がビルの屋上から飛び降り自殺したとか、
 「博美」が養護施設に入ったとか、
 「博美」に手紙を書いてやろうとか、クラスの生徒に呼び掛けたりした。
・「稲村」は施設で暮らす「博美」と交流を維持してきたが、
 高校を卒業した「博美」と男女の関係になり、
 何十万円もする十字架のネックレスを贈るなどし、
 それが妻に知れたりし、離婚する。
・その後、教師も辞め、蒸発した状態になる。
 それが、この連続殺人が起きた時から19年前のことである。


 「祈りの幕が下りる時 解説2」へのリンク
http://komox2.sakura.ne.jp/eiga/inorinomaku/inorinomakuga-netabare-02.htm