映画「22年目の告白(私が殺人犯です)」のネタバレ


 この映画は、
・2012年に韓国で公開され、
 観客動員数270万人を突破した
 大ヒット作「殺人の告白」を、
・監督:入江 悠
 主演:伊藤英明(刑事役)、
     藤原竜也(殺人犯)、
     仲村トオル(報道番組キャスター)
 でリメイクし、
・2017年6月に上映開始された作品、
である。

 リメイク版は、「殺人事件の時効廃止」などの社会情勢などを取り込んで、緊迫感の有る上質のサスペンス大作になっている。


 スリラーサスペンス映画なので、真犯人は最後に明かされるようになっているが、私は、そんな製作者の意図を無視して、最初から犯人を明らかにしたネタバレを書いていく。
 と言うことで、それが嫌な人は、読まないようにしてください。


 とは言っても、既に上映開始から4年近くも経っているし、テレビで放映されているので、今更、ネタバレに文句を言う人がいるとは思えないけどね。
 ではでは。



<仙堂俊雄のトラウマと殺人の動機>

・「仙堂俊雄(仲村トオル)」は、
 22年前、国際フリージャーナリストとして海外で活動。
・しかし、親しくなったドイツ人ジャーナリストとともに、
 反政府組織に拘束される。
・その時、友人となったドイツ人ジャーナリストは、
 「仙堂俊雄」が見ている前で、絞殺される。
・そして、「次は自分だ。」と覚悟していたのに、
 この殺害テロを世界に証言する「目撃者」として、
 無傷で釈放される。
・命が助かった「仙堂俊雄」だが、
 それ以来、深い心の傷を負う。
・そして、自分と同じ苦しみを持つ人間を増やして癒しとする為に、
 2人の人間を拘束し、
 1人が見ている前で、もう1人を絞殺し、
 殺さなかった1人が、事件の証言者となるようにする、
 連続殺人を行なう。
・そして、殺人の一部始終を、映像やノートに記録し、
 遺族に取材を行なうなどして、自分のPTSDを解明しようとする。


<仙堂俊雄の連続殺人>

 「仙堂俊雄」の殺人は、
1)殺害方法が縄で首を絞める絞殺、
2)被害者に近い者に、殺害の様子を目撃させる、
3)目撃者は殺さず、殺害状況を伝えさせる為、生かしておく、
の3つのルールを徹底し、自分と同じような境遇を経験させることにあった。

 その結果、生き残ったもう一人は、それぞれ心に深い傷を持つ。

第1の殺人:飲食店店主殺害(1995年1月4日)
・足立区の飲食店で、
・夫の店主と妻が縛られ、
・妻の目の前で、夫が絞殺される。
・ベテラン刑事「滝幸宏(平田満)と新米刑事「牧村航(伊藤英明)」は、
 ペアを組み、捜査を行なう。

第2の殺人:会社員殺害(1995年2月14日)
・世田谷区の団地で、
・会社員の岸幸生が妻の目の前で絞殺される。
・5歳の娘「美晴」は、別室に閉じ込められていた。

第3の殺人:ホステス殺害(1995年3月15日)
・銀座の高級クラブで、
・暴力団橘組の組長である「橘大祐」が拘束され、
 愛人のホステスが絞殺される。
・二人の間の息子「戸田丈」が遺される。

第4の殺人:病院長夫人殺害(1995年3月31日)
・練馬区の病院で、
・院長の「山縣明寛」の妻が、夫の前で絞殺される。
・警察は、犯人をおびき出す作戦で事件の発表をせず、
 結果、殺人犯人の「仙堂俊雄」は現場に戻って来て、
 張り込んでいた「牧村航」が追い掛け、
 揉み合いになって、「牧村航」は「仙堂俊雄」を、
 拳銃で撃ち、肩に傷を負わせる。
・傷を負わされた「仙堂俊雄」は、
・次のターゲットを「牧村航」に定める。

第5の殺人:警察官殺害事件(1995年4月27日)
・「牧村航」は、大田区のアパートに、
 妹「里香(石橋杏奈)」と婚約者「小野寺拓巳(野村周平)」と
 住んでいた。
・「仙堂俊雄」は、「牧村航」のアパートに忍び込み、
 「里香」を誘拐し、近くのビルの屋上に縛り付け、
・警察に居た「牧村航」を自分のアパートに呼び寄せ、
 妹の「里香」に見せながら、「牧村航」を殺害しようとする。
・アパートに駆け付けた「滝幸宏」と「牧村航」だが、
 先に「滝幸宏」が踏み込み、首に縄を掛けられながら、
 「牧村航」の目の前で、ガス爆発で殺される。
・それ以降、妹の「里香」は行方不明になる。


<時効の発生>

 日本においては、殺人事件であっても、事件発生から15年が過ぎれば、殺人の罪は問わないと言う「時効」制度が有った。

 ところが、
・2010年(平成22年)4月27日に、
 公布・施行された改正刑事訴訟法により、
・殺人事件については、時効が廃止された。
のである。

 よって、
・「仙堂俊雄」が行なった5つの殺人事件は、
・1995年4月27日に行なわれた殺人が、
 2010年4月27日午前0時でちょうど丸15年過ぎた為、
 時効となり、
・「仙堂俊雄」は、罪に問われなくなったのである。
・その時、捜査陣は、「滝幸宏」刑事の敵を討てず、号泣する。

 また、
・阪神大震災のトラウマで、
 精神状態が不安定になった「牧村里香」を連れて
 一緒に上京した「小野寺拓巳」は、
・自分が「里香」を東京に行こうと勧めたこと、
・自分が「里香」を守れなかったこと、
で自分を責め、「里香」が拘束されていたビルの屋上から、
身を投げて自殺したのである。


<小野寺拓巳の復活>

・「里香」が拘束されていたビルの屋上から飛び降り、
 自殺を図った「小野寺拓巳」だが、車の屋根に落ちたことで、
 一命を取り留め、
・第4回の殺人事件で殺された女性の夫で医師の「山縣明寛」に、
 整形手術をしてもらい、新たな顔と人格で、
 愛する「里香」を殺した犯人を探し出す決意をする。
・そして生まれたのが、「曾根崎雅人」である。


<連続絞殺犯の登場>

・事件発生から22年が過ぎた2017年、
・「小野寺拓巳」の生まれ変わりの「曾根崎雅人(藤原竜也)」が、
 派手な記者会見を行い、
・”はじめまして。私が殺人犯です。”
 と告白し、
・事件の全容を書いた、
 告白本『私が殺人犯です』を出版する、
と発表。

 世間は、
  ”時効とは言え、殺人犯が、本を出版し、
   金を稼いでも良いのか?”
  ”誰にでも、表現の自由が有る。”
など、賛否両論で、大騒ぎになる。

 また、その格好良さで女性ファンが多く生まれ、猟奇的な面での興味と人気も高まり、告発本は爆発的に売れる。


<連続絞殺犯のパフォーマンス>

・「曾根崎雅人」は、テレビに登場したりして、
 本の売り上げを伸ばすよう、マネージャーにも要請。
・本人も、第4番目の殺人事件の被害者である、
 妻を殺された病院院長「山縣明寛」の病院に行き、
 「山縣明寛」の前で土下座謝罪をするパフォーマンスをする。
・その時、たまたま居た「牧村航」が掴み掛り、大騒動になる。
・警備員が「牧村航」を押え、何とか収取する。
・「曾根崎雅人」は、続いてサイン会に向かう。
・そのサイン会では、第3の殺人事件の被害者である
 ホステスだった愛人を目の前で殺された橘組組長が居て、
 加えて、拳銃を持った組員男が、「曾根崎雅人」に発砲する。
・発砲したのは「戸田丈(早乙女太一)」で、
 橘組組長「橘大祐」とホステスだった愛人との子どもだった。
・「戸田丈」が逃げ去った後、一人になった「曾根崎雅人」を、
 第2殺人事件の被害者の娘「美晴」が、
 ナイフで「曾根崎雅人」を刺そうとして、「牧村航」に止められる。


<ニュース番組キャスター仙堂俊雄>

・1995年に起きた5件の連続絞殺事件は、自分が起こしたのに、
 事件を追い掛け続ける正義感溢れる実力ジャーナリストとして
 評価され、地位を高めて行き、
 ニュース番組のメインキャスターまで上り詰めた「仙堂俊雄」は、
・自分が行なった連続殺人なのに、
 偽物が名乗り出て、人気を高め、本も売れまくる状況に我慢が出来ず、
・自分がメインキャスターを務めるニュース番組「NEWS EYES」に、
 「曾根崎雅人」を招き、追及する。
・追及の内容は、
  ”第5番目の殺人で、「滝幸宏」刑事をガス爆発で殺害した時、
   「牧村航」の妹「里香」を殺したのではないか?
   だから、連続殺人は、5件ではなく6件有ったのでないか?”
 と言うものだった。
・「仙堂俊雄」は、
 「牧村航」のアパートが見下ろせるビルの屋上に、
 「里香」が拘束され、泣き悶える「里香」と、
 ガス爆発で燃え上がる「牧村航」の部屋の映像を映し出し、
  ”貴方は、本当に真犯人なのか?”
 と追及したのである。
・それに対して、「曾根崎雅人」は、
  ”連続殺人は、5件しかやっていない。”
 と否定する。


<仙堂俊雄の2弾目の追及>

・「曾根崎雅人」の嘘を暴きたい「仙堂俊雄」は、
 「牧村航」と「曾根崎雅人」を「NEWS EYES」に招き、
 加えて、本当の真犯人と名乗る男を招待する。
・この男は覆面を被り登場。
 その時に、DVDを渡すが、それをテレビに流す前に
 スタッフが中身を確認すると、
 「里香」が絞殺される映像が記録されていた。
・「仙堂俊雄」は、
  ”残虐過ぎる映像なのでテレビでは流せないが、
   この部屋の中の人間だけで観ましょう。”
 と提案し、映像を観る。
・「里香」が絞殺される姿を観た「曾根崎雅人」は激高し、
 「仙堂俊雄」の持っていたペンを奪い、覆面人物を襲う。
・覆面男は、覆面を取られ素顔を暴き出され、
  ”俺は何でも請負屋で、金を貰って引き受けた。”
 と白状するので、「牧村航」が服をめくると、
 肩には、「牧村航」に撃たれた傷跡が無く、
 男は、逃げて行く。
・「牧村航」に抑えられた「曾根崎雅人」は、
  ”私は、真犯人ではない。告発本も書いていない。”
 と白状し、「牧村航」が、
  ”告白本を書いたのは私だ。
   捜査の情報を元に書いたものだ。”
 と告げる。
・「牧村航」と「曾根崎雅人」は、協力して告発本を出し、
 真犯人を刺激して、新たな動きをさせようと考えたのである。


<逮捕される仙堂俊雄>

・「仙堂俊雄」は、「曾根崎雅人」の嘘を暴き出し、満足する。
 そして、密着ドキュメンタリー番組の撮影の為に、
 別荘にカメラスタッフを招待する。
・しかし、そこには、
  ”「仙堂俊雄」こそが真犯人”
 と突き止めた「曾根崎雅人」が待っていて、
 ナイフで殺害しようとする。
・「曾根崎雅人」が「仙堂俊雄」を真犯人だと判断したのは、
 「里香」が絞殺される動画が再生される前の、
 誰もが動画の中身を知らない段階で、
 「仙堂俊雄」が、ニュース番組の中で、
  ”婚約していた「里香」さんが・・・・・・”
 と言った言葉からであった。
・と言うのも、婚約したのは2人しか知らないことで、
 「仙堂俊雄」が「里香」を殺害した時に、「里香」の指から
 婚約指輪を抜き取ったから、知りえたことだからである。
・揉み合いを観て、カメラスタッフは逃げて行く。
・そこへ「牧村航」が駆け付け、「曾根崎雅人に、
  ”「仙堂」を殺すな。「仙堂」は法律で裁けるから。”
 と言って、殺害を止める。
・「曾根崎雅人」が、
  ”時効は成立しているから、裁判にはかけられない。”
 と言うのに対して、「牧村航」は、
  ”午前0時になった時点で東京タワーのライト点灯は終わる。
   DVDに記録されていた映像を観ると、
   「里香」を殺した時、東京タワーのライト点灯が終わってた。
   だから、「里香」が殺されたのは、
   4月27日中でなく、午前0時を越えた4月28日で、
   1995年4月28日からの殺人は、時効が撤廃されている。”
 と説明し、「曾根崎雅人」を止め、「仙堂俊雄」を逮捕する。


<襲われる仙堂俊雄>

・逮捕された「仙堂俊雄」は、精神鑑定の為に入院している。
 そして、入院中に自叙伝を書き、発売が目前となっていた。
・そこへ、「仙堂俊雄」が入院する病院に、
 清掃員に化けて入り込んだた「戸田丈」が、ナイフを出し、
 「仙堂俊雄」を殺害しようと、体当たりして行く。


 映画は、その場面で終わっている。
 多分、「仙堂俊雄」は殺され、肉親を殺された敵を取られたのだろう。


 とても見応えの有る映画だった。
 皆さんにもお勧めします。